「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」ロケ地・横浜市立盲特別支援学校より弱視あるある 第15回

フロアバレーボールの面白さって何だろう? 第2回

文●横浜市立盲特別支援学校専攻科/横浜LOVEWalker

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

横浜市立盲特別支援学校

 日本テレビ系で2021年に放送された「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」は、弱視の高校生が主人公のドラマです。その舞台となった横浜市立盲特別支援学校は、創立134年を迎えた歴史ある学校です。視覚に障害のある幼児児童生徒への教育活動を行なっています。

 まったく見えない全盲の人と、見えにくいロービジョンといわれる弱視の人がいますが、本校では在学者の多くが弱視です。

 本校で行われている視覚障害者スポーツ「フロアバレーボール」に興味をもった、西寺尾小学校の児童との交流を本校公認キャラクター「しもん」と、弱視の職員で「みゆき」と「まちこ」の3人が紹介していきます。

 もしもお目めに合いましたら、読んでみてください。

前回の記事はこちら
「フロアバレーボール」って何だろう?

※過去の連載記事はこちら
「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」ロケ地・横浜市立盲特別支援学校より弱視あるある

しもん:フロアバレーボール顧問の中谷先生が、西寺尾小学校5年1組の児童にフロアバレーボールを教えに行くんでしょ?

まちこ:リモートで西寺尾小学校のみんなからフロアバレーボールについてのインタビュー受けてたもんね。

しもん:次は実践編ですね。

みゆき:私も行ってくる。

まちこ:同じく顧問の大山先生と3人で行くんでしょ?

しもん:3人で27人に教えるんだね。

まちこ:障害者スポーツしっかり広めてきてよ。

西寺尾小学校体育館

中谷:皆さんこんにちは。フロアバレーボールの調べ学習をして、どれくらいできるようになったか見に来ました。

北嶋:西寺尾小学校5年1組担任の北嶋です。クラスは27名で、フロアバレーは6人制なので、4チームに分けました。更に前衛と後衛にも分けています。

みゆき:チームに名前もついてる!! レインボースター、無限みかん、ハッピース、ブラックホール。かっこいい。

中谷:実際に動いてみてください。

みゆき:前衛はアイシェードの代わりにバンダナで目隠ししてるんですね。ナイスアイディア!でも、アイシェードも盲学校から持ってきましたよ。

中谷:大まかなルールは学習できているんですね!

みゆき:こんな短時間でルールを覚えてすごい!!

西寺尾小学校の児童に説明する中谷先生

中谷:それでは細かいところを練習していきましょう。

みゆき:後衛から前衛のパスが難しいので練習しましょう。転がすだけでなく、声かけも必要です。

中谷:目隠しした前衛が3人いるので、必ず誰にパスするか名前を呼んでください。それだけじゃなく、ボールが左右にそれたら、前衛の向きに合わせて右、左と伝えてあげよう!

大山:後衛から見ての左右と、前衛から見ての左右が逆になっているから、試合中はあせって声かけを間違えてしまうことがあります。

みゆき:前衛にとって右側なのか、左側なのか、とっさに逆のことを考えなきゃならないから、頭もフル回転です。

前衛のブロック練習

みゆき:前衛のブロック練習をしていきましょう。

中谷:前衛は3人が同じテンポで動いてブロックします。

みゆき:なぜかと言うと、3人がバラバラに動くと、間が空きます。するとその隙間をボールが通って得点されてしまうからです。

中谷:だから隣り合う二人の腕をクロスして動くとうまくボールをブロックできます。

西寺尾小学校の児童に説明する大山先生

みゆき:目隠しをしていると、よく試合中に攻撃なのか、守備なのか分からなくなることがあるんですよ。

中谷:見えないと、ボールの音が周りの音で消されて、状況が分からなくなってしまうんです。

大山:後衛は、今どこにボールがあるのか、ブロックなのか、パスなのか、常に前衛に伝えながらプレーすることが大切です。

みゆき:そうそう。前衛は状況がわかると安心してプレーできます。

中谷:後衛のアタックはコントロールが大事です。

みゆき:味方の前衛にぶつけてしまわないようにね。

中谷:次は実際に試合をしてみましょう。

しもん:フロアバレーボールってルールが難しそうだけど、声かけがうまくできたら、見えなくても楽しめそうだね。

まちこ:目隠しをした前衛と、状況が見えている後衛が、いかにコミュニケーションをとるかが重要なのね。

みゆき:練習していくうちにチームの一体感が生まれて、かすかな音も聞き分けられるようになって、集中力が高まります。

まちこ:楽しそう。私もやってみたくなっちゃった。

みゆき:見える人も、見えない、見えにくい人もみんなで楽しめる面白いスポーツだから、ぜひ体験してみてね。

しもん:いよいよ試合みたいだね。

まちこ:楽しみ~。

 こうしてまだまだ3人、いやっ2人と1羽の話はつづきます。

 次回も読んでいただけたらうれしいです。

 もしも、お目めに合いましたら。

文/横浜市立盲特別支援学校専攻科
「みゆき」と「まちこ」のイラスト/関口 千秋
「しもん」のイラスト/横浜市立盲特別支援学校

プロフィール
しもん:横浜市立盲特別支援学校、略して市盲が名前の由来。校章の幸福の青い鳥がご先祖様。公認キャラクター就任2年目。
まちこ:13歳で網膜色素変性症(色変)と診断。徐々に視野狭窄が進行。黒猫をめでながらお酒を飲むのが大好き。
みゆき:生まれつき弱視。右目は緑内障で13歳の時失明。ハンドミルでコーヒーを入れてその香りと共にチョコレートを楽しむのが習慣。