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Cybozu Media Meetupは2回目となる地銀との連携にフォーカス

地銀が地方の中小企業をデジタル化 滋賀銀行と伊予銀行が振り返る

2023年07月14日 11時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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いよいよ地方DXコンサル子会社まで設立した伊予銀行

 続いて登壇したのは、いよぎんデジタルソリューションズ 代表取締役社長の小野和也氏。2000年に伊予銀行に入行し、営業勤務や中小企業向けの再生支援、一般事業会社への出向を経て、いよぎんホールディングの準備に携わる。

 伊予銀行がICT支援をスタートしたのは2018年3月。地場の20社程度のICT関連企業と提携し、業務の見える化や顧客や営業管理、インターネットEB/でんさい、POS端末導入などを手がけてきた。まずは課題の聴き取りや現状分析を行なった後、改善案の検討や実行、システムの導入サポートや操作のレクチャー、運用・定着支援を行なう。5年間でのコンサルティングの実績は、相談件数は2013件で、支援実績は218件に及ぶ。「以前は4名だったので、相談件数は一人あたり年間100件。だいたいは伊予銀行の営業所のトスアップによるもの」と小野氏は語る。

伊予銀行のICT支援の実績

 伊予銀行の事例は100名超の食品メーカー。売上高は50億円超で、全国に営業拠点を展開している。こちらは労働環境のデジタル化がテーマで、まずは労働環境の基盤を整えるために、伴走支援を行なうことになった。具体的には紙申請が多く、対応スピードと書類保管に苦戦し、可視化されていない分、多額のコミュニケーションコストが発生していた。

 伊予銀行のコンサルティングにより、申請業務を電子化した結果、承認依頼通知がリアルタイムに上司に送信され、決裁期間は平均4営業日/月削減された。また、決裁と同時に、申請書への通知と電子保存が自動的に行なわれるので、紙の保管場所も不要に。年間2万枚のペーパーレス化も実現した。

 現在は支援も3年目になり、1回程度の頻度で小さな改善を積み重ね、銀行のアドバイスもkintone議事録アプリに記録している。モデル営業所で複数回テストを繰り返すことで、申請業務以外の新アプリも投入し、デジタル化の範囲はすでに13業務に拡がった。現在は内製化を見据え、若手社員5人を選出し、社内BPR推進担当者の育成を開始している。

継続的な改善も3年目、内製化を見据える

 こうした取り組みにより、伊予銀行は内閣府から地方創生に資する金融機関の事例として表彰を受けた。「われわれの取り組みが対外的な評価をいただけるレベルにまで来たと、地方銀行グループとしての喜びを感じている。愛媛県内での講演機会も数多くいただけるようになり、地方中小企業のDXマインドの醸成にお役に立てていると思います」と小野氏は語る。

 そして、2022年10月、伊予銀行は事業領域の拡大を目的に持ち株会社に移行し、いよぎんホールディングスを設立。全国比で先行している生産年齢人口の減少が経営課題になると考え、デジタル化や業務の効率化を推進するいよぎんデジタルソリューションズを2023年4月に設立。小野氏が社長に就任したという経緯だ。

デジタルコンサルティング子会社の設立まで

 設立して3ヶ月、現在は7人のメンバーで地方の持続可能性を高めるデジタル化を進めている。「多くの地方中小企業はDX以前のデジタル化の段階。紙などの老朽化した業務インフラに過度に依存している。人手もふおくし、まとまったイニシャル投資は難しい。これに対してはSaaSを活用した生産性の向上、業務改善の支援がもっとも有効策だと考えている。、われわれならではの独自の視点でのコンサルティングを活用し、地方としての持続可能性に挑戦していきたい」と小野氏は語った。

 最後、渡邉氏は地元企業を支える地銀の強みとして、「地域課題解決のプロフェッショナル」「豊富な経営支援ノウハウ」「お客さまとの信頼菅家」の3つを挙げる。その上で、「地銀が変われば、地方が変わる。地方が変われば、日本が変わる。」を掲げ、銀行(Bank)が中小企業の基盤(Base)を固め、地方の経済活動(Business)を変革していく「BX(Bank Transformation)」によって、魅力はあふれる地域社会を拡げて行きたいと抱負を語った。

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