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高伝導性の有機伝導体を開発、有機デバイス開発に革新=東大など

2023年07月05日 07時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学などの共同研究チームは、電気を流すプラスチック(導電性高分子)をモデルとして、室温以上で金属化する新種の高伝導性オリゴマー型有機伝導体材料を開発。既報物質と比べ100万倍の伝導度を達成し、オリゴマー(比較的少数のモノマーが結合した重合体)の構成ユニットの種類と配列の設計によって、集合体の立体空間と電子機能性を制御するという、材料開発の新たなコンセプトを確立した。

東京大学などの共同研究チームは、電気を流すプラスチック(導電性高分子)をモデルとして、室温以上で金属化する新種の高伝導性オリゴマー型有機伝導体材料を開発。既報物質と比べ100万倍の伝導度を達成し、オリゴマー(比較的少数のモノマーが結合した重合体)の構成ユニットの種類と配列の設計によって、集合体の立体空間と電子機能性を制御するという、材料開発の新たなコンセプトを確立した。 核酸やペプチドなどに代表されるオリゴマー材料は、その構成ユニットの種類、配列情報によって立体空間を制御して機能を発現する。研究チームは今回、オリゴマーの配列を使って集合体の立体空間と電子機能を制御するアイデアを着想。溶解性補助などの特徴ある機能を持つ複数のユニットを並べた数々の配列を精査し、オリゴマー有機伝導体の中でトップクラスの室温伝導度を持ち、室温以上では、金属的な電子状態を示す物質を見い出した。 今回の成果は、オリゴマーのユニットの種類および配列によって、集合体の立体空間と電子機能を制御できることを実証したものであり、このコンセプトによって、有機伝導体材料開発における新たな潮流が生まれる可能性がある。さらにこうした、構造が明確で、分子設計度に優れ、レアメタルフリーで安価な原料から合成できる新種の伝導体材料の実現は、有機電子デバイス開発の技術革新をもたらしうるものと期待される。 研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に2023年7月3日付けで掲載された

(中條)

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