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ラットの恐怖を緩和するフェロモンを同定、駆除に=東大など

2023年06月28日 06時41分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学などの共同研究チームは、実験用ラットが放出する匂いから、それを嗅いだ他のラットの恐怖を緩和するフェロモンを同定。さらに、実験用ラットと同一種である野生ドブネズミにも、同じ物質がフェロモンとして機能することを明らかにした。

東京大学などの共同研究チームは、実験用ラットが放出する匂いから、それを嗅いだ他のラットの恐怖を緩和するフェロモンを同定。さらに、実験用ラットと同一種である野生ドブネズミにも、同じ物質がフェロモンとして機能することを明らかにした。 研究チームは、ラットから放出される匂いは恐怖反応を緩和するフェロモンが含まれているという仮説を立案。実験用ラットから放出される匂いに2-メチル酪酸が含まれていることを見い出した。そして、ラットに2-メチル酪酸を嗅がせたところ、以前に嫌悪刺激と関連づけられたブザー音に対して恐怖反応を示さなくなることがわかった。さらに、2-メチル酪酸は非常に微量で効果を発揮することや、ラットから放出された匂いと同じ脳内反応を引き起こすことも明らかになった。 続いて、東京都の2地点でそれぞれドブネズミを捕獲して放出される匂いを分析し、いずれの地点でも多くのドブネズミが2-メチル酪酸を放出していることを確認。ドブネズミは馴染みのない物体を避ける行動である新奇性恐怖を示すが、2-メチル酪酸を嗅いだドブネズミでは新奇性恐怖が減弱することを野外実験で明らかにし、2-メチル酪酸はラットやドブネズミの恐怖を緩和するフェロモン、すなわち「安寧フェロモン」であるとを結論付けた。 安寧フェロモンを同定したことにより、ラットやドブネズミの習性に基づいた効率的な研究や駆除に繋がると期待される。研究論文は、アイサイエンス(iScience)に2023年6月8日付で掲載された

(中條)

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