松屋のおかずを複数人でシェアしたっていい
アスキーグルメ編集部のモーダル小嶋です。先日、松屋のペルー料理「“松屋風”ロモサルタード定食」の発表会に行ってまいりました。
ロモサルタードとは、肉と野菜を醤油・酢・スパイスなどで炒めたペルー料理。ペルーに移住した中国人の影響で生まれた、「チーファ」と呼ばれるペルー料理の中の1つ。
“松屋風”ロモサルタード定食は、日本のお米に合うように、ポン酢、ニンニク、スパイスの風味で仕上げたメニューになっています。
さて、この“松屋風”ロモサルタード定食は、肉の量を1枚(4切)から4枚まで選べます。
発表会では、「どうして肉の枚数が選べるのか?」という質問がありました。それに対して、松屋フーズの企画部担当者は「年代などに関係なく、多くのお客様に選んでいただきたい。たくさん食べたい方には、お腹いっぱい食べてほしい」といった返答をしていました。
一人一人に合ったものを……というニュアンスの話で、アスキーにいる人間としては、「最近のスマホの料金プランのようだなあ」などと考えていました。たぶん、違うと思います。
そこから続けて、松屋フーズの担当者は「たとえば4枚盛を家族でシェアするなど、楽しみ方を探していただけたら」とも語っていました。
松屋の定食のおかずを、家族や複数人でシェアする惣菜のように使うというのは、たしかに面白いかもしれません。よくあるハンバーグや焼肉などではなく、「ペルー料理」ともなれば、希少性もありますから。
まあ、コストパフォーマンスにすぐれているかどうかは、意見が分かれるところでしょうが……。
筆者は東京で一人暮らしのため、記事を書くときの視点がどうしても「都市部の単身者」になりがちです。“松屋風”ロモサルタード定食の4枚盛を、初見では「よく食べる人」向けだと考えていました。
しかし、松屋のメニューをテイクアウトする層は、さまざまでしょう。4枚盛を「家族で食べるもの」と考えることもできるわけです。
そういえば、松屋は2019年に「お肉どっさりグルメセット」を発売していました。これが2020年に復活した際、松屋の公式Twitterアカウントが「お持ち帰りを家族みんなでシェアできる超お得なボリューム」と提案していたのですよね(実際にそうやって利用していた人はいたのでしょうか?)。
松屋が「多くのお客様に選んでいただきたい」と考えているなら、みんなでシェアするという方法だってアリなわけです。スーパーやデパ地下などの惣菜売り場では当たり前ですが、牛丼チェーンのおかずだって、量が十分ならその使い方が成り立つはずでして。
……と、ここまで書いたところで、松屋のキャッチコピーが「みんなの食卓でありたい。」であることを思い出しました。1人で食べようが複数人で食べようが、いずれにしても松屋の望んでいるあり方なのかもしれません。
テイクアウトの“活用”方法が変わってきた
先日、ある飲食チェーン店の広報の方と会話した際に、テイクアウトの話題になりました。
そのチェーンも、2020〜2022年はコロナ禍もあり、テイクアウトに力を入れていたとのこと。2023年の現在ですが、店舗に来るお客さんの数はかなり戻ってきているそうです。しかしながら、相変わらずテイクアウトの需要もある。
イートインをやります、テイクアウトも手を抜きません……というスタンスは、現代の飲食チェーン店の多くに求められるものです。ただ「テイクアウトができる」だけでは、ちょっと弱いのかも。
たとえば丸亀製麺は、コロナ禍で“中食”の需要の高まりを受け、2021年4月に「丸亀うどん弁当」を売り出して好調とのこと。
そして、2023年5月にはアフターコロナを見据えたテイクアウト商品として、「丸亀シェイクうどん」を発売しました。
テイクアウト商品はこれまで実用性が主役だったところ、一歩進化した「感動テイクアウト」という新コンセプトのもと、シェイクする楽しさをプラス。「新たなうどん体験」を目指したということです。
丸亀うどん弁当の場合、おだしの小袋を開ける必要などがあるので、テーブルなどに置いて食べるのがベターでした。対して丸亀シェイクうどんは、立ったたままでも難なく食べられる。つまり、屋外で食べるテイクアウト商品としてもなかなか便利です。
テイクアウトといえばオフィスや家などで食べるものという考えがあるかもしれません。しかし、外出する機会が増えた昨今、丸亀シェイクうどんは公園や海辺、行楽地などでも立ったまま食べられるのです(もちろん、ゴミは持ち帰るなど、その場のマナーは守る必要がありますが)。
テイクアウトできるのは当たり前。自分で完成させる(シェイクする)楽しみがある、立ったままでも食べられる、「ペルー料理」の大盛りを惣菜として使える……。この数年で、テイクアウトの“活用”方法が、徐々に変わってきているのでしょう。
コロナ禍においてテイクアウト需要が高まったのはご存知の通りでしょうが、アフターコロナの時代では、一口にテイクアウトといっても、いろいろな使い方があるものです。
さまざまなチェーン店から毎週のように新メニューが登場していますが、そのあたりに注目すると、見方が変わってくるかもしれません。
モーダル小嶋
1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願い申し上げます。