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6月20日から登場「“松屋風”ロモサルタード定食」:

松屋のペルー料理「ロモサルタード」担当者はペルーに行ったことがない!? “松屋風”とはいったい何か

2023年06月20日 16時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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「“松屋風”ロモサルタード定食」
松屋
6月20日発売
790円〜
https://www.matsuyafoods.co.jp/whatsnew/menu/49573.html

松屋、ペルー料理に挑む

 松屋では6月20日10時から「“松屋風”ロモサルタード定食」(790円〜)を発売しました。

 「世界中の珍しい料理を、松屋を通して知ってほしい。日本にいながらさまざまな国の料理を味わってほしい」という思いにより、2020年よりスタートしたという世界料理シリーズから登場です。

“松屋風”ロモサルタード定食1枚盛

 今回は“梅雨のジメジメした時期にさっぱりしてごはんが進むもの”というテーマから、ペルー料理「ロモサルタード」が発売されます。

 ロモサルタードとは、肉と野菜を醤油・酢・スパイスで炒めたペルー料理。ロモ=肉、サルタード=焼いた、という意味があるそうです。ペルーに移住した中国人の影響で生まれた、「チーファ」と呼ばれるペルー料理の中の1つ。

 「“松屋風”ロモサルタード定食」は、日本のお米に合うように、ポン酢、ニンニク、スパイスの風味に仕上げたメニュー。豚焼肉、タマネギやパプリカなどの野菜、フライドポテトをスパイスの効いたソースで炒めています。

 お肉の量を1枚(4切)から4枚まで選べるのも嬉しいポイントでしょう。

 “松屋風”ロモサルタード定食1枚盛:790円
 “松屋風”ロモサルタード定食2枚盛:890円
 “松屋風”ロモサルタード定食3枚盛:990円
 “松屋風”ロモサルタード定食4枚盛:1090円

ミツカンとタッグを組んで
「誰もペルーに行ったことがない」けど開発

 発売に先駆けて実施された、説明会に行ってまいりました。

説明会のテーブルに松屋の定食が出てくると、なんだか出前を取ったような気分ですね

 今回の商品が登場したきっかけは、ミツカンの「わたしのお酢活キャンペーン」だそうです。推し活ではなくて、“お酢活”です。ミツカンによれば、酢が一番売れるのは6〜7月。この時期にお酢活をやろうということで、いろいろな企業を巻き込んで実施するキャンペーンの一環として、松屋とタッグを組んだわけですね。

 ミツカン側が松屋に酢を使った世界のさまざまな料理を提案し(20〜30種類も提案したそう)、その中からロモサルタードが選ばれたとのこと。松屋の世界料理シリーズ路線としても、バッチリのチョイスといえます。

こちらが“松屋風”ロモサルタード。写真は1枚盛

 ただ、実のところ、ミツカンの担当者も松屋の担当者もペルーに行ったことがないとのこと。そこで、都内のペルー料理専門店のロモサルタードをテイクアウトするなどして、イメージを膨らませていったそう。

 なお、ペルー本場のロモサルタードは牛肉が使われることがもっぱらなのですが、松屋は豚肉(肩ロース)。ペルーでも、家庭だと豚肉を使うことがあるようです。一方、ペルーではトマトを入れることが多いそうですが、松屋では使用していません。

ソース(タレ)はかなりニンニクが効いています

 食べてみればわかりますが、ニンニクが効いています。イメージとしては、しょうが焼きに近い印象。しょうがではなくて、ニンニクですが。そこにポン酢の酸味が加わるといったところ。

 辛味もそれなりにあります。スパイスの刺激もそうなのですが、何しろニンニクが効いているので、それ自体の辛さが目立っています。全体的に、「そこそこ辛い、ちょっとすっぱい」といった塩梅。

豚肉は2023年5月にリニューアルした「肉厚豚焼肉定食」と同じもの

 豚肉はリニューアルした豚焼肉と同じ、厚めのものです。ニンニクが効いたソースとポン酢の酸味によく合っていると思います。歯ごたえがソースの濃さに負けていません。

 中華料理の影響を受けていることもあり、「甘辛い味付けなのかな?」と思っている人もいるかもしれません。ですが、ベースになっているのは、辛味とほのかな酸味。

 味としては濃い目といえそうですが、ポン酢の酸味もあり、塩辛いというほどではないでしょう。厚めの豚肉とタマネギ+パプリカのシャキシャキ食感の食べごたえも手伝って、ごはんとの相性を重視した味わいになっていると感じました。

ごはんに合う味付けになっている……ということは確かですね

 皮付きのフライドポテトも入っていますが、ペルーでもロモサルタードに入っていることが多いのだそう。豚肉やパプリカの食感とは異なるホクホク感がアクセントになっており、さほど違和感はありませんでした。

フライドポテトが入っています

 ミツカンの説明によると、使用しているポン酢は市販のものと同じだとか。ただ、いわゆる醤油などで味付けした「味ポン」ではなくて、かんきつ果汁と酢で作られた、黄色いポン酢です。

 なお、ソースは焼くときに絡めるだけでなく、盛り付けるときにも絡めて、2度がけして味を付けています。松屋でポン酢を使ったメニューは「おろしポン酢牛めし」などがありますが、炒めものには初めて使用したとのこと。

松屋らしい味を説明するのは難しい……らしい

 開発の苦労に関しては、松屋フーズの商品開発部 商品開発グループ チーフマネジャーの磯﨑裕史氏が説明してくれました。「ミツカンさんからいただいたレシピ案で出すと、(味としてはよいのだけれども)“松屋風”にならない、ごはんに合わない」という問題があったと言います。松屋で出すには、“松屋風”にしないといけないわけです。

 そこで、クミンを効かせるなど、味の微調整に取り組むことに。ロモサルタード自体は醤油(中華醤油)を使う料理なので比較的作りやすかったそうですが、問題はお酢。「お酢だと味が決まらない」ということで、ポン酢を使用したそう。

商品開発グループ チーフマネジャー、磯﨑裕史氏がソースをかけるというデモンストレーションもありました

ロモサルタードの味付けを来場者たちが見守るという、なんだか不思議な光景でした

 では、“松屋風”、松屋らしい味とは、どういうものなのでしょうか。質疑応答では、そんな質問が飛び出しました。

 松屋フーズ 販売促進企画部の中村祐輔氏は「それに答えるのは難しいんですけれども……」と前置きしつつ、松屋フーズでは、代表取締役も参加する開発・試食が毎日のように繰り返されていると説明。そこにいる人間が満足いくまで、単純に「おいしいと思うもの」を日々考えている……と答えていました。

松屋フーズ 販売促進企画部、中村祐輔氏

 中村氏からは、「ニンニクが強いというのは、当社の色」という話も出ました。実際、松屋が2023年5月に「ホワイトソースハンバーグ定食」を販売したときも、「ニンニクを効かせすぎでは?」という意見があったとのこと。

 松屋フーズに勤めている人でも、松屋らしい味を一言で説明するのは難しいわけです。ただ、「定食」として提供する必要があることや、ニンニクを効かせている姿勢を認めていることなどから、やはり、ごはんとの相性を重視しているのかな……という考えは成立しそうでしょう。

松屋風のロモサルタードは、みそ汁にも合う味でした。醤油とポン酢を使っていますからね

 松屋がメニューにしたことで話題になったジョージア料理の「シュクメルリ」などもありますが、あれも本場の味を再現するというよりかは、松屋が定食として出す際にアレンジしていたものです。

 “松屋風”ロモサルタードも、何しろ名前に“松屋風”とあるわけで。商品開発を担当した皆さんはペルーに行ったことがないそうですし、本場の味とは違うかもしれませんが、日本のごはんに合う定食としてアレンジしているのです。そこに、松屋らしい味のヒントがあるのかもしれません。

 まあ、難しい理屈は抜きにして、「ニンニクとポン酢が効いた、豚肉野菜炒め」と考えて選んでみるとよいかと思います。ニンニクが苦手な人には勧めにくいですが、お好きならば、かなりお気に入りになる可能性があるメニューでしょう。

 もし機会があれば、本場のペルー料理店(もしくは、もちろん本国で)ロモサルタードを食べて、比較してみるのもよいかもしれません。そうすることで、松屋が本場のロモサルタードをどうアレンジして“松屋風”にしたのかが見えてくるはずです。

モーダル小嶋

1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願い申し上げます。

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