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シリコン量子ビットを正確に初期化する手法を開発=理研

2023年06月07日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所の研究チームは、シリコン中の電子スピンによる量子ビット(キュービット)を、測定結果に基づくフィードバック操作によって正確に初期化する技術を開発した。量子コンピューターを実装する上で解決すべきデバイスの不完全性に対する解決策を示す成果であり、大規模な量子コンピューターの実現に貢献すると期待される。

理化学研究所の研究チームは、シリコン中の電子スピンによる量子ビット(キュービット)を、測定結果に基づくフィードバック操作によって正確に初期化する技術を開発した。量子コンピューターを実装する上で解決すべきデバイスの不完全性に対する解決策を示す成果であり、大規模な量子コンピューターの実現に貢献すると期待される。 量子コンピュータのフィードバック操作は、量子誤り訂正をはじめとした重要なプロトコルに要求される技術である。研究チームは今回、シリコン量子ビットのフィードバック操作を実現し、量子ビットの初期化処理に利用して性能を評価。デバイスが不完全で正確な測定が困難な場合でも、必要な量子操作を正確に実行できることを示した。 初期化処理ではまず、初期化したい量子ビットの状態を量子非破壊測定(測定される物理量に乱れを及ぼさない測定)で測定する必要がある。量子非破壊測定は繰り返し実行することで、量子ビットの状態をより正確に見積もれる。そこで研究チームは、この性質をフィードバック信号生成に利用するため、初期化処理に複数回の測定を組み込む手法を開発。この手法を用いて量子ビットを初期化したところ、単発の測定よりも大幅に正確に初期化を実行できた。 研究論文は、科学雑誌「npjクォンタム・インフォメーション(npj Quantum Information)」オンライン版に2023年6月1日付けで掲載された

(中條)

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