レッキでありえない大失敗!
周りが見えず、笑顔も消え……
道中、松井監督から「0カーはみんなの模範となる走りをしないといけないから、ミスコースとかやめてよ!」とプレッシャーをかけられたが、基本楽観主義者の筆者は「大丈夫だっつーの!」と根拠のない自信に満ちあふれていた。
朝、サービスパークやヘッドクオーター(運営事務局)が設置される「スキージャム勝山」の駐車場についてから状況は一変する。実際、レーシングスーツを着てヘルメットを被り、0カーであるマシンに乗り込むと頭の中はプレッシャーで真っ白になってしまった。昔、生放送が止まってしまったときにいつもテンパっていたが、まさにその再来だ。
村田選手とともにレッキに出発したのだが、「早くマシンに乗り込まなきゃ」という思いが先行したせいか、なんとペースノートを忘れてしまったのである。いきなりコドライバーの仕事を半分ちかく放棄しているようなものだ。とはいえ、ノートは作らないといけないので、車内に持ち込んでいたコマ図の空きスペースに村田選手の言うとおり記入していく。
ペースノートは人によっては英語だったりするが、村田選手は日本語なので「右6」とか「左1」みたいに感じで記入する。右左は言うまでもなくコーナーの向きだが、数字は1~8まであり、1が一番キツイコーナーで8になるに従って緩くなっていく。ステアリングに1~8までの数字をつけている人もいるが、村田選手は慣れているのでつけていなかった。また、滑るポイントや落下物などは「!」(コーション)で、!の数が多くなるほど危険ということ。今回はそんなに多くなかったのが幸いだ。
今回の勝山ではSSが3つ(午後は同じ場所をもう1度走るので合計6SS)なのだが、そのうちのひとつが駐車場にパイロンを立てたジムカーナコースだったため、村田選手は「ここはノートいらないっす」とのこと。仕事がひとつ減ってちょっとホッとした。
レッキはあくまで下見なので、爆走は禁じられている。ゆっくり走って、コーナーごとに「右3」とか「左6」と、ノートに書いていく。なのでコーナーの角度や状態もじっくり見られるため、途中から筆者は落ち着きを取り戻していった。SSとSSの間を移動するリエゾン(一般道区間)はレッキ、本番関係なく交通ルール遵守。スピード出しすぎや一時停止違反などがあった場合、即失格となる。
ラリーは地域の理解が必要であり、暴走行為はラリー界全体のイメージに繋がるため、厳格に処分される。SNSの発達により、違反しているところ写真に撮られて拡散されるなんてこともある。まあ、法定速度で走って違反をしなければいいだけの話だが。
レッキが終わりサービスパークに戻ると、松井監督から「ペースノート忘れていくコドラとかいないよ!」などと言われたが、頭の中はノートをどうやって清書するかでいっぱいだったので、右から左へと流していた。コマ図に書いたものを村田選手に見せると「縦書き!? 初めて見た。面白いからコレでいきましょう」とのコメント。本当は左から右に向かって横に書いていくものを、筆者は上から下に書いていたのだ。後日、この件は梅本まどか選手や別のコドラの方から笑われてしまったのだが。
ホテルに戻って、夕飯を食べたあとは飲みの誘いを断ってペースノートの清書に取りかかる。最初は横に書き直そうと思ったのだが、村田選手も梅本選手も「だがそれがいい!」と言ってくれているので、縦に書いていく。スペースがかなり余るので、コーナーの形状みたいなものを覚えている限り書いていく。アレ、意外とこっちのほうが読みやすいんじゃないか? そう思ってた時期が俺にもありました……。これがテンパる原因になってしまったのだ。
清書が終わった後、ベッドに横になっていたら気がついたら寝てしまっていた。慣れないこと続きで疲れていたのかもしれない。その証拠に、同行しているレースクイーンの東堂ともちゃんと鈴乃八雲ちゃんの写真をまったく撮っていなかった。いつもなら女子の写真をバンバン撮ってリアルタイムにSNSにあげているのに……。なお、ふたりともASCII.jpのグラビアコーナーに何度か登場していたりするので、検索してみてほしい。

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