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「HPE GreenLake for Block Storage/File Storage」発表、柔軟な拡張性やクラウド管理などの特徴

HPE、データ管理の“現実解”目指しGreenLakeにブロック/ファイルストレージ追加

2023年05月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレットパッカード(HPE)は2023年5月17日、ストレージ分野の新製品/サービスとして、ミッションクリティカル向けのスケールアウト型ブロックストレージ「HPE GreenLake for Block Storage」、およびエンタープライズグレードのスケールアウト型ファイルストレージ「HPE GreenLake for File Storage」を発表した。

 これらは、従量課金型(OPEXモデル)による導入/利用への対応、ブロック/ファイルストレージのハードウェア共通化、コンピュート/ストレージノードの分離による柔軟なスケーラビリティと高い可用性、ストレージ/データ管理サービス「HPE Data Services Cloud Console(DSCC)」経由での管理といった特徴を持つ。

 今回の発表において、HPEは「データのライフサイクル管理の変革を促進する」とアピールしている。記者発表会では、企業においてデータ活用が進む一方で大きな課題になっているデータライフサイクル管理について、HPE GreenLakeが示す“現実解”が紹介された。

「HPE GreenLake for Block Storage/File Storage」など、今回の発表内容(New、Updateの部分)

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 データサービス事業統括本部長兼 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長の根岸史季氏、データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部本部長の尹成大氏、ストレージ製品本部製品部(兼)HPE Ezmeral事業部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏

HPE Alletra Storage MP+DSCCで構成、高い拡張性とクラウド一元管理

 HPE GreenLake for Block Storage/File Storageは、新発表のストレージハードウェア「HPE Alletra Storage MP」とDSCCにより構成される。

 Alletra Storage MPのハードウェアは、2Uサイズのシャーシに2つのIOモジュール、NVMe SSD(EDSFFまたはU.2)スロット、冗長電源などを搭載する。IOモジュールは、必要な構成に応じてコントローラーノード、フラッシュストレージ専用ノード(JBOF:Just a Bunch of Flash)を選択できる。

Alletra Storage MPのハードウェア概要

Alletra Storage MPのシャーシ

 Alletra Storage MPの「MP」はMulti Protocol、つまり多様なストレージプロトコルへの対応を意味しており、コントローラーノードにインストールするストレージOSによってブロックストレージにも、ファイルストレージにも対応する。将来的にはオブジェクトストレージにも対応予定だ。

同一のハードウェアに、HPE独自開発のブロックストレージOS、またはVAST DataのOEM提供を受けたファイルストレージOSをインストールして構成する

HPE GreenLake for Block Storage/File Storageは、スタンドアロンシステムとスイッチを介したマルチノードシステムの両方を構成可能だ

 一方で、コントロールプレーンはクラウド型で提供される。具体的には、現在提供中の「HPE Alletra 9000/6000/5000」と同じくDSCC経由での管理を行う。DSCCによって、オンプレミスインフラでありながら“フルクラウド管理”が実現するほか、主要パブリッククラウドとの管理の一元化も可能になる。

HPE Data Services Cloud Console(DSCC)は、オンプレミスインフラを含め、ストレージ/データサービスを一元管理するコンソール(黄色地部分が今回の発表)

 なお、DSCCにはSaaS型のバックアップサービス/DRサービス(HPE GreenLake for Backup and Recovery/Disaster Recovery)も統合されており、これらを利用してAlletra Storage MP上のデータ保護をシンプルに実現できるようになっている。

 GreenLake for Block Storage/File Storageでは、調達モデルとして通常の製品購入型(CAPEXモデル)と従量課金型(OPEXモデル)が選択できる。販売開始時期は、CAPEXモデルが6月1日から、OPEXモデルが2023年下半期からとなっている。

「適材適所のデータ配置」や「クラウドライクなIT」を実現するDSCC

 HPE 執行役員 データサービス事業統括本部長兼 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長の根岸史季氏は、企業におけるデータ活用が進み、その用途が広がると同時に大きくなる「データマネジメントの課題」を説明した。

 従来オンプレミスで管理されていた企業のデータだが、保有するデータ容量が爆発的に増え、他方ではさまざまなシステムにデータが散在(サイロ化)し、データ利用者の増加によってパフォーマンス劣化も生じている。こうした課題を解消すべく、データを全面的にパブリッククラウドへ移行する企業もあるが、それだけでは本質的な問題は解決されないと根岸氏は指摘する。クラウドにもまた、コスト、ベンダーロックイン、セキュリティといった別種の課題があるからだ。

 こうした状況における「現実解」として根岸氏が示すのが、データの用途や利用期間、コストなどに応じてデータ配置を適材適所で考えるハイブリッドクラウドだ。ただし、オンプレミスとパブリッククラウドが分断されたままでは、柔軟なデータ活用の妨げになる。両環境を完全に連携させることができ、なおかつ管理が複雑にならないような仕組みが必要だ。

 そこでHPEが提案するのが、オンプレミスとパブリッククラウドのストレージ/データを一元管理できるDSCCである。インフラからサービスまで、またプロビジョニングからデータ移行、データ保護、API、セキュリティまで、幅広くカバーする管理コンソールとなっている。

 「“適材適所”でいろんなものを組み合わせて最適解を作る、それをサポートするソリューションがDSCCだ。単一のルック&フィールを持つ管理プラットフォームを通じて、情報をまとめてダッシュボード化する、バックグラウンドでAIが管理をサポートする、クラウドライクなOPEXモデル、as-a-Serviceモデルでインフラ管理やデータ利活用の多様なサービスを提供する。このようにデータの複雑な問題を一元的に管理する、DSCCというプラットフォームが鍵となる」(根岸氏)

ハイブリッドクラウドを使った適材適所なデータ配置を実現するために、DSCCが重要な鍵を握ると根岸氏は説明した

 HPE データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部本部長の尹成大氏は、今回の製品の特徴として、調達時にDSCCから必要なストレージの種類やSLA(性能や可用性)、容量、利用年数を選択することで、ハードウェア構成などを意識することなく“クラウドライクに”リソースを調達できる点を挙げた。

 またHPE ストレージ製品本部製品部(兼)HPE Ezmeral事業部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏は、今回のHPE GreenLake for Block Storage/File Storageではハードウェアが共通化されており、これまで技術的な制約があった“シングルソリューションによる適材適所”が実現されていると説明した。

 なお、GreenLake for Block Storageはスケーラビリティが高く、既存製品であるAlletra 5000/6000/9000がカバーしてきたシステム規模をすべてカバーできる。ただし、導入前の検証期間を十分に取ってもらうために、今後も数年間はAlletra 5000/6000/9000を引き続き販売していく方針だと説明した。

HPEのブロックストレージポートフォリオ。既存製品群(Alletra 5000/6000/9000、Primeraなど)も引き続き販売していくと述べた

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