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TikTok creator academy 第4期|第4回講義 「ギズモード・ジャパン」

ウケるTikTok動画の制作はチャンネルの「テーマ」と「台本制作」が命!情報型動画の達人

2023年06月09日 12時00分更新

文● 佐藤ポン 編集●金子拓郎(ASCII)

提供: TikTok

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 次世代TikTokクリエイターの発掘と支援を目的にした「TikTok creator academy」では、現在TikTokで活動しているクリエイターを対象にセミナーやワークショップを行なっている。このセミナーでは、第一線で活躍中の人気クリエイターが講師として登場。TikTokで成功するための秘訣やアイデア、動画の制作方法など、クリエイターにとって有益な情報が紹介されている。

 現在、「TikTok creator academy」は第4期が進行中。本稿では最近開催された「ギズモード・ジャパン」のセミナーをレポートする。

以下記載内容はクリエイター個人の見解であり、TikTokの公式見解ではありません

 ギズモード・ジャパンのセミナーは、動画事業を担当する山本勇磨氏とメインパーソナリティのリチャード氏が登場。セミナーの内容としては、ギズモード・ジャパンが動画を制作する際に、どのような工程で作られているかが紹介された。

 セミナーの冒頭で、山本氏はTikTokの動画を投稿するまでのワークフローを紹介した。ギズモード・ジャパンでは、工程のなかで「ネタ決め」と「台本執筆」を重要視しており、作業時間の約8割りはこのふたつの工程だという。

人々が見てしまう情報型の動画は
解決してくれる動画と、知識を得られる動画

 ギズモード・ジャパンがTikTokに投稿している動画のほとんどは、流行に乗って再生数を稼いだり、他のアカウントとコラボレーションを行って注目度を上げる動画ではない。山本氏は「流行に乗るのは悪いことではないが・・・」と前置きした上で、ギズモードは「自力で視聴数を伸ばしていく戦略をとってきている」と語る。

 TikTokに投稿されている動画は、「情報型」と「エンタメ型」に大別できる。ギズモード・ジャパンが公開している動画は役に立つ情報や勉強になる動画なので、言うまでもなく前者の情報型だ。山本氏は「では、人が情報を欲するときはいつか?」を論理的に紐解いていった。

 山本氏の答えは「困っているとき」と「知らなかったことを覆してくれるとき」のふたつ。特にふたつめの条件は、なにげなくTikTokやその他プラットフォームやSNSを眺めているときに目に入ると、ついつい見入ってしまう。なので、ギズモード・ジャパンの動画は、「思い込みを覆したり、言われてみれば気になること」を必ず入れるように制作されている。

アカウントには統一感が大切
「小テーマ」と「大テーマ」を決めるべし

 人が見たくなる動画の解説の次は、どのようなテーマの動画を制作するかについて。TikTokアカウントの土台となるテーマを決めておくことで、「アカウントの統一感が出てファンを増やせる」と山本氏は語る。

 これからTikTokで活動しようとしている人は、「僕たちは何をやっている人なのか」をひとことで伝えられるようなテーマを定義すると数字を伸ばしやすいそうだ。

 アカウントに必要なテーマは、大きなテーマをひとつと、小さなテーマをふたつ。ギズモード・ジャパンに例えると、大テーマは「科学・技術」で、小テーマは「宇宙」と「科学ニュース」だ。山本氏の言う通り、これだけでギズモード・ジャパンのアカウントが、何をやっている人たちなのかすぐ理解できる。

 セミナーでは、テーマを決め方にも言及された。テーマを決めるには、まず初めに小テーマから考えると全体のテーマを決めやすい。小テーマは頭で考えるのではなく、自分が好きなことや詳しいジャンル、誰かに頼まれずとも日常的にやってしまうことなどを、ずらずらと書き出すとよい。そして、一通り書き出したらそれぞれの項目に共通していることや、近いものなど、関連性を見つける。

 小テーマをふたつに絞り込んだら、おのずと大テーマが決まる。山本氏はTikTokの人気アカウントを例に出して、どのような大テーマと小テーマで運営されているかを解説した。紹介された4つのアカウントは、「大テーマと小テーマのかけ合わせの法則が上手く働いているアカウント」と山本氏は分析した。

 このようにしてアカウント全体に統一感を持たせておくことが、フォロワー数の獲得に有効だそう。一般的にアカウントをフォローするときの視聴者の感情は、1本の動画に対してではなくてアカウント全体の世界観に共感しているときが多い。なので、投稿している動画に統一感を出しておくとフォロワーが増えやすく、その結果、動画1本あたりの再生数も伸びやすいそうだ。

難解なテーマは見せ方を変えて柔らかく!
視聴者の心にスッと入るテクニック

 TikTokアカウントのテーマが決まったら、動画の作成方法について。ギズモード・ジャパンでは、視聴数を伸ばすために最重要視しているは「台本」だ。台本の元となるネタを考える際に大事なのは以下の3要素。

1 自分が好き・得意であること
2 みんなが誤解していること
3 他人に聞きづらいこと

 自分では当たり前だと思っていることも、他人にとっては貴重な情報。ただし、情報をそのまま伝えるのではなく、身近な問題に置き換える必要がある。ギズモード・ジャパンが行っているテクニックとして、山本氏はいくつかの例を挙げた。

【Before】浮力ってなぜあるのか? ↓【After】船はなんで浮くか知ってる?

【Before】プライベートブランドが安い理由は? ↓ 【After】トップバリュはなぜ安いか知ってる?

【Before】折り畳み傘はコンパクトなので鞄に入れてもかさばらない ↓ 【After】絶対に傘を忘れない方法を知ってる?

 以上のように、動画のなかで伝える内容や情報は同じでも、見せ方次第で視聴者の導入しやすさが変わる。特に自分が詳しかったり得意なジャンルの動画を作る際は、より多くの人に興味を持ってもらえるように「見せ方を変えるとよい」(山本氏)とのこと。

ギズモード・ジャパンが最重要視する
おもしろい「台本」の作り方

 続いては動画に重要な台本の作り方。TikTokは最初の数秒で動画の視聴数が決まるので、台本の特に序盤の数秒の設計はとても重要。ギズモード・ジャパンの台本は、「1、問題提起」、「2、結論」、「3、詳細」の順に構成している。

 山本氏はギズモード・ジャパンが過去に作成した台本を例に、具体的な台本の書き方を解説した。いまでも台本制作には制作フロー全体の約8割の労力を注いでいるそうだ。作成した台本は会議にかけてブラッシュアップをするため、完成までに2時間はかかっているとのこと。

 ギズモードのショート動画は多くは1本50~60秒程度で組み立てられている。1分の動画の場合、台本の文字数は約400文字。もしもひとつのネタで400文字に収まらなかった場合は、自分に知識が足りていないか、ネタに優しさが足りていないことが多いそうだ。リチャード氏が台本を作るときは、動画の尺は1分でも、10分くらいの動画を作れる情報量のリサーチをしている。

 それだけ膨大な量の情報からおもしろい部分だけを抽出しているので、凝縮した動画を完成されられる。リチャード氏は「どんなネタでも噛み砕いていけば1分で解説できる」と持論を展開し、まずは400文字台本の1分動画に慣れるアドバイスをした。

台本ができたら忘れずに!
この4項目で最終確認

 台本を作っておくと、撮影前にチェックができる利点もある。ギズモード・ジャパンは台本が完成したら、以下のチェック項目に照らし合わせて最終確認を行っているそうだ。

1 問題提起、結論、詳細の順になっているか?
2 結論を一言で伝えられているか?
3 「なぜ」を解説するとき、結論に不要なものは入っていないか?
4 わかる人だけにわかる動画になっていないか?
(視聴数を稼ぐ動画の場合)

 ここまでしっかりと考えて台本を完成させれば、冒頭で述べた「思い込みを覆したり、言われてみれば気になる」動画になっているはずだ。しかも、TikTok動画制作の8割は終わっている。あとは撮影と編集をして、公開するだけだ。

情報型チャンネルはカメラよりマイク
聞き取りやすい音声が大切

 セミナーの終盤では、簡単に撮影と編集のテクニックについても解説された。ギズモード・ジャパンが撮影に使っているカメラはiPhoneだった。以前はレンズ交換式のカメラを使っていたが、情報型動画ではむしろiPhoneなどのスマートフォンで撮影するほうが視聴者が普段から見慣れた映像になり、親近感が醸成できる。

 「カメラ機材に投資をするよりも、マイクと音声にこだわるべき」と山本氏。セミナーでは実際に、iPhoneの内蔵マイクで収録した音声と、外付けマイク(ピンマイク)で収録した音声を紹介し、聞きやすさの違いを解説した。

 撮影場所で気を使うべきことは、音声が聞き取りやすい静かな場所と、出演者の顔がしっかり見える明るい場所。これさえ守っていれば、簡単な撮影機材でも十分なクオリティの動画を制作できるそうだ。

 そして撮影後の編集については、以下の3つに気を使っている。

1 話の間(えー、あー などの発言)の間を詰める
2 テロップと写真を入れて伝わりやすく
3 写真の著作権に気をつける

 また「TikTokアカウントの統一感を考えながら編集すべき」と山本氏は語る。統一感を演出できる要素はとても多く、映像のカラーバランスとフォントの種類、色、写真のレイアウト、効果音を例に挙げた。そして、使用する写真については「権利元を細かくチェックすること。著作権をクリアしていないものは絶対に使わないように」と強調した。

週に3本の動画を公開できるか!?
まずは400文字の台本を書いてみよう

 最後に山本氏とリチャード氏は、「アカウントのテーマを決めたら、明日から400文字の台本を書いてください」と受講者にエールをおくった。TikTokアカウントをスタートした始めの1~2ヶ月は、週に3本を目標に動画を公開すればよいそうだ。ギズモード・ジャパンは初めから週に5本の動画を公開していたそうだが、「かなりきつかった……(笑)」と振り返る。

 初めのうちは動画のテイストを3~5パターンくらい決めて、週に3本くらいずつ公開するのがおすすめ。パターン数を3~5種類に絞る利点は、再生数やコメント数の検証ができるから。山本氏は「いくつかのパターンの動画を公開していくうちに、ネタが枯渇しないとか、撮影がしやすい、視聴数が多いなど、傾向がわかってくると思います」とセミナーを締めくくった。

セミナーの後半は質疑応答コーナー

 セミナーの最後は、受講者からの質問にギズモード・ジャパンの山本氏とリチャード氏が答えるコーナー。ここではいくつかの質問と回答を紹介する。

【問1】
ファンを増やす施策の失敗談は?
【答1】
自分たちが知っている情報を出している動画なので、つい上から目線になってしまった。偉そうな人にならないように気をつけていいます。

【問2】
出だしの2~3秒のコツが掴めません
【答2】
いろいろ試してきましたが、我々もいまだに苦労しています。つねにみんなが何に興味をもっているのかを突き詰めて考えています。多くの人が気になっていることを、一番おもしろい(おもしろく聞こえる)見せ方で動画にすれば掴めると思います。台本でもそこに一番時間を使っています。とても⼤変なことです。

【問3】
コメント数を増やすための仕掛けは?
【答3】
コメントや質問してくれた方に対して、ポジティブに応えるようにしています。あとはコメントしやすい雰囲気づくりと、いただいたコメントを否定しないこと。見てくれた方が「この人たちは答えてくれるんだろうな」と感じられるような土壌を作るのが大切だと思います。

TikTok creator academyとは?

 TikTok creator academyとは、次世代のTikTokクリエイターを発掘、支援することを目的にしたプログラムです。第4期はオープンコース・エデュケーションコースの2コースでTikTok creator academy生を募集し、応募者の中から選ばれたクリエイターには、コース別に2023年1月末よりセミナーやワークショップを通して、動画再生数を伸ばすためのコンテンツ戦略について学ぶ機会を提供しています。

【TikTokについて】
TikTokは、モバイル向けのショートムービープラットフォームです。私たちのミッションは、創造性を刺激し、喜びをもたらすことです。TikTokには、ロサンゼルス、シリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ドバイ、トロント、シンガポール、ジャカルタ、ソウル、東京などの国と地域にグローバルオフィスがあります。

(提供:TikTok)

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