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アリババクラウド、中国語に対応する大規模言語モデル「通義千問」を発表

2023年04月12日 14時35分更新

文● 田口和裕

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 アリババグループのクラウドコンピューティング部門を担う子会社アリババクラウドは4月11日(現地時間)、中国語と英語に対応した最新の大規模言語モデル「通義千問(Tongyi Qianwen)」を発表した。

 現在公開されているモデルが扱えるのはテキストのみだが、近日中に画像理解やテキストから画像への変換を含むマルチモーダル機能も追加される予定だという。

まずは中国国内の開発者向けにベータ版を提供

 同モデルは現在のところ、中国の一般企業顧客向けにベータ版として提供されており、APIとして国内の開発者がベータテストに応募することも可能になっている。

 将来的には企業や開発者向けにクラウド上の通義千問へのアクセスを提供し、企業独自の方法でカスタマイズされたAI機能を作成できるようになるという。

 また、同モデルはアリババが提供するビジネスアプリケーションにも順次統合されていく予定で、まずは、企業用メッセージングアプリ「DingTalk」と、スマートスピーカー「Tmall Genie」に試験的に導入される。

 例えば、DingTalkでは、会議メモの要約、文字起こし、メールの下書き、ビジネスの提案、企画立案などが、Tmall Genieでは、子ども向けの物語を生成して読み聞かせたり、BGMをレコメンドしたりといったことができるという。

高まる非英語圏に対応するLLMの需要

 中国ではすでに検索大手のBaidu(百度)がAIチャットボット「文心一言(Ernie Bot)」を発表しているが、完成度があまり高くなく同社の株価は一時下落した。

 だが、中国をはじめとする非英語圏テック企業のAIへの注力や投資は衰えていない。

 なぜなら、OpenAIのGPT-4をはじめとする従来のLLMは、学習データ量の関係で、英語とそれ以外の言語の間に精度の大きな隔たりがあるからだ。

 通義千問や文心一言は、世界最大の利用者数を持つ中国語をメインにトレーニングされているため中国語に強く、その点は大きなアドバンテージと言える。

 同様に日本でも日本語をベースにしたLLM開発の機運も高まっている。ビッグテックが注力する言語を問わない汎用的なLLMと、今回のように非英語圏の企業が開発する特定言語に特化したLLM、将来的にはどちらが主流になっていくのだろうか。

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