バッグの片隅に入れておけるような、小さくて軽い望遠ズームレンズってないかなあ……。あ、そういえば昔買ったアレがあるじゃん、と思い出し、防湿庫の奥から1本発掘したのである。
それが、2011年にパナソニックが出した「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH./ POWER O.I.S.」という長い名前のレンズ。マイクロフォーサーズ用の望遠ズームレンズなのだが、これがなかなかいいのだ。
まず、細くて軽くてコンパクト。約210gと超軽量なので、バッグの片隅にさっと入れておける。ズーミングしてもレンズが伸びない。これは扱いやすくていい。しかも、電動ズームである。電動かどうかはさして重要ではないのだけど、ズーミングが滑らかで使いやすいのだ。
このパナソニックのレンズ(これを買ったときはLUMIXユーザーだった)を、同じマウントの「OM SYSTEM OM-1」に装着して使うのである。
35mm判換算だと「90-350mm」となる望遠ズームが、このサイズ感で収まるってなかなかすごい。そんな12年前のレンズを持って、自転車で走り回ったのである。運がいいことに10匹以上の猫と出会えたのだが、その中で、とあるお寺で出会った猫たちにフォーカスしたい。
この日、昼飯を食べ損ねたのでコンビニでおにぎりを買い、お寺の境内にあるベンチに座って食べようと思ったのである。1つめのおにぎりを食べた頃、1匹の猫が顔を出し、それにつられて別の猫も顔を出し、いつの間にかいろんな猫が顔を出したり引っ込めたりを始めたのだ。1匹が出てくると、ほかの猫もつられるところがまた面白い。
遠巻きにこちらを見てるのだけど、近寄ってはこない。そんなときは望遠ズームの出番なのだ。最初にやってきたのがハチワレ、次にきたのがキジトラだ。
食べ終わったので、のんびりとカメラを持って境内散策。一度顔を出した猫たちは、ちょっと引っ込みつつ、思い思いに過ごしてる。
そういえば、さっき日なたに若い猫が顔を出してたなと思い、そちらへ向かうと、いきなり這いつくばった猫が見つめ合ってるシーンに遭遇。なんというか、春ですなあ。春ですよ。春だ。これは邪魔しちゃいかん、とそっとしゃがんで望遠で撮るのだった。
うららかな春の日に、これは微笑ましすぎるではないか。白とキジトラのブチ(まだら模様)のほうは首輪をしてるので飼い猫、ハチワレのほうは勝手に住みついてるのか。そんなことを考えてたら、ガン見しすぎたのか、見てるのがバレてしまった。2匹同時に「こっち見んな」って顔してるのがまたたまらん。
見られてることに気づいたとたんに首輪をしてるほうは隠れちゃって、残されたハチワレはしょうがないなと身繕い。身ぎれいにするのは大事です。
したらば、そこへやって来たのが2匹のキジトラ。邪魔するな、とハチワレに頭突きされるのだった。
そして、やってらんないわとなったハチワレは、石の上で昼寝を始めたのだった。
冒頭写真は、そのアップだ。
うららかな春の若い猫たちも堪能したし、猫たちも引っ込んでしまったので、そろそろ次の目的地へ移動しようと自転車にまたがると、後ろのほうで何やら猫の気配が。振り返ると、最初に出会ったハチワレとキジトラ、さらに子猫っぽいキジトラが参道に出てきてるではないか。
そうして、後ろ髪を引かれつつ、そのお寺を出たのだった。
最後に、12年前に買ったレンズの話に戻る。
これ、古いこともあって最新のレンズに比べると劣るところはあるけど、小さくて細くて軽くて扱いやすくて、そのうえ安い(実売価格で3万円台!)ので、LUMIX Gシリーズや、PENやOMといったマイクロフォーサーズカメラのユーザーで、カジュアルに使える望遠ズームが欲しい(けど、レンズに10万円以上出すのはちょっと無理な)人にひそかにおすすめします。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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