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小惑星「リュウグウ」の試料からRNAの核酸塩基を検出=北大など

2023年03月23日 06時36分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学や九州大学らの国際共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子から、全ての地球生命のRNAに含まれる核酸塩基の一つであるウラシルの検出に成功した。さらに同一サンプルから、生命の代謝に関する重要な補酵素の一つ、ビタミンB3(ナイアシン)も検出した。

北海道大学や九州大学らの国際共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子から、全ての地球生命のRNAに含まれる核酸塩基の一つであるウラシルの検出に成功した。さらに同一サンプルから、生命の代謝に関する重要な補酵素の一つ、ビタミンB3(ナイアシン)も検出した。 研究チームは今回、独自に開発した超高感度分析手法により、10ミリグラムほどのリュウグウ試料を分析。試料1グラムあたり最大で32ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)のウラシルと、同1グラムあたり最大で99ナノグラムのビタミンB3(ナイアシンまたはニコチン酸)を検出した。 ウラシルとビタミンB3は、最表層サンプルよりも地表下サンプルで濃度が高く、研究チームによるとこの分析結果は、小惑星リュウグウの最表層での宇宙線や真空紫外光による分解の影響を強く示唆しているという。これらの窒素複素環化合物の分布は、極低温の星間分子雲を模擬した環境での光化学反応生成物とよく一致しており、少なくとも一部は太陽系形成前の光化学反応で生成したと推測される。 今回の研究成果は、生命誕生前の原始地球上でどのように最初の生命が誕生したのか、という科学における究極の謎について、炭素質隕石(=小惑星の破片)などの地球外物質によって供給された成分がその材料となったという説を強く支持するとしている。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications誌)に2023年3月22日付けでオンライン掲載された

(中條)

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