前々回(「EOS Kissの後継機、軽くてかわいいキヤノン「EOS R50」の猫AFは非常に賢いのだった」)の記事で、もう「Kiss」の名が付いたカメラは出ないんだろうなと書いた。このグローバルな時代に、日本だけ「Kiss」ってわけにもいかないだろうから(海外では同じカメラを別の名称で販売しているのだ)、いいタイミングだったのだろうけど、日本ではエントリー向け一眼カメラの代名詞として定着していたので残念な気持ちはある。
そこで、デジタル一眼入門機として人気だった「EOS Kissシリーズ」で撮った猫写真を振り返ってみよう。EOS Kissが登場したのは1993年(ちょうど30年前)。フィルムカメラだ。ファミリー向けの、軽くて使いやすくて安い一眼レフとして大ヒットしたのだが、さすがにその頃の猫写真はないので割愛。
1990年代後半になるとデジタル一眼レフが登場し、2000年の「EOS D30」で、本格的なデジタル一眼レフ時代が始まる。徐々に価格が下がり、最初の「EOS Kiss Digital」が誕生したのが2003年。今から20年前のことだ。
そして、うちのハードディスクから初代EOS Kiss Digitalで撮った猫写真が発掘されたのである。画素数は約630万画素。今のスマートフォンの半分くらいだ。Kissの名が付くのだから、初心者向けで軽くて安いカメラだった。
その後、2008年の「EOS Kiss X2」で、製品名から「Digital」の文字がなくなり、EOS Kissといえばデジタル一眼レフ、となる。2012年の「EOS Kiss X6i」ではバリアングルモニタを搭載。これ以来、Kissの主力モデルには「i」が付くようになった。
EOS Kiss Xシリーズのヒットで、Kiss Xもラインアップを広げる。いちばん多かったのが、2013~2014年。「EOS Kiss X7i」「EOS Kiss X7」「EOS Kiss X70」と3機種も登場したのだ。
キヤノンが初めてミラーレス一眼を手がけたのが、2012年の「EOS M」。いずれミラーレス版のKissも出るはず、と思われ続けて6年。やっと登場したのが「EOS Kiss M」だ。これがまた、ファインダー部がぴょこんと飛び出た愛らしいデザインで、ホワイトモデルもラインアップし、一眼レフよりぐっと小さくて魅力的だったのである。
ミラーレス版のKissが登場したのちも、一眼レフのKissは続く。2019年には、「EOS Kiss X10」。これは当時の世界最軽量ボディで、約2410万画素だった。
2020年には「EOS Kiss X10i」が登場。これが最後の一眼レフ版Kissだ(たぶん。この先、もう新製品が出ることはないと思う)。
同じ2020年の11月には、EOS Kiss Mの後継機となる「EOS Kiss M2」が登場する。このときは、すでにフルサイズセンサー採用の「EOS R5」と「EOS R6」が発売されており、キヤノンは「M」と「R」の2つの互換性がないミラーレス一眼を持つこととなった。
おそらく、今後も”EOS Kiss M3”は出ないだろう。RシリーズのEOS Kiss相当モデルが「EOS R50」となったことで、Kissシリーズは終了し、同時にキヤノンのミラーレス一眼はRシリーズに集約されると考えられる。
なので、(たぶん)最後のEOS Kissということで冒頭写真にも使わせてもらった。最後の1枚も、EOS Kiss M2で。
今回は、2003年のEOS Kiss Digitalから、2020年のEOS Kiss M2まで、Kissシリーズの猫写真で振り返ってみた。
カメラを持って楽しく撮影に出かけるって状況ではなかったコロナ禍もいったん落ち着き、EOS R50が登場したことで、また新たにデジタル一眼を手に撮影を楽しむ人が増えてくればいいなあと思う次第である。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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