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プロの知見でユーザー企業もレベルアップできる

kintoneパートナーが語る「日本のエンタープライズあるある」が本音過ぎた

2026年05月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●永山亘

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 中小企業向けのイメージが強いkintoneだが、最近は1000名以上のエンタープライズでの事例も増えている。前回に引き続き、今回もコムチュア、クオリカ、ジョイゾーという3社の「kintoneエンタープライズパートナー」に集まってもらい、エンタープライズにおけるkintone導入について聞いてみた。同じようなシステムの同居、事業部門ごとのルールの違い、内製化とアウトソーシングの文化の違いなど、エンタープライズならではの「kintoneのはまりポイント」が見えてきた。

エンタープライズにも実績ある3社のkintoneパートナー

 エンタープライズでも採用が相次ぐサイボウズのノーコード開発ツール「kintone」。従業員1000人を超えるエンタープライズでのkintone導入を支援するのが「kintoneエンタープライズパートナー」になる。今回は3社の担当者に集まってもらい、エンタープライズの導入事例や各社の取り組みを聞いた。

 1社目は東証プライムに上場し、社員2000人規模を誇るシステム構築会社であるコムチュア。同社のサイボウズ事業は最大100名程度を擁する規模で、サイボウズがエンタープライズと定義する1000名企業の導入支援を数多く手がける。コムチュアの木原直哉氏は、「もともと前任の中谷(隆太氏)がグローバルに打って出たいという青野氏の講演に感銘を受け、2015年からkintoneを大規模SI案件で扱ってきました(関連記事:kintoneの大規模SI案件で成長し続けるコムチュアのこだわりとは?)。」

コムチュア コラボレーション本部 コラボレーション第三部長 木原直哉氏

 同社はトータルソリューションが大きな特徴だが、サービスは内製化支援やガバナンスガイドラインの策定、教育がメインとなる。kintoneだけではなく、さまざまな製品・サービスを扱っている点が強みで、Notesからの移行やkintoneを入り口とした業務改善アプリの開発なども手がけている。「エンタープライズ規模の企業における業務整理から導入・運用まで含めた大型の開発案件が弊社の得意分野になります」と木原氏は語る。

 2社目はTISインテックグループのクオリカ。建機で知られるコマツのソフトウェア開発部門からスタートしており、現在は製造業や外食業向けのパッケージ・システム開発を手がけている。もともと自社がkintoneユーザーだったところからパートナーへの道がスタートする。クオリカの村越晃一氏は「長らくNotesを使っていたのですが、その移行先がkintone。営業のSFAから始まり、現在では経理、業務連絡、社内申請などの業務機能を、全社的に利用しています」とのことだ。

クオリカ インダストリービジネス事業部 インダストリービジネス3部 エキスパート 村越晃一氏

 その後、新規顧客案件をとるためのツールとしてkintoneを提案するようになった。「今まではパッケージ前提で大きなビジネスを展開してきましたが、kintoneを提案するようになり、小さい案件からの横展開が可能になりました。kintone以外の商材もいろいろ扱っているので、ビジネス展開の幅が拡がっています」(村越氏)。要件定義から業務整理、システム構築、保守まで一貫して提供できるのが大きな売りとなっている。

 3社目は2010年創業で長らくkintone専業でSIerとしてビジネスを展開してきたジョイゾー。2時間×3回の対面開発を39万円定額で提供する「システム39」で、顧客とともにkintoneのシステムを構築してきた。星野リゾート、京王百貨店などエンタープライズ企業の導入も多く、人材含めた内製化支援の実績も豊富だ。

 エンタープライズにおいても、システム39のスタンスは変わらないという。ジョイゾーの笹川茉衣氏は、「お客さまの話を聞いて、その場で課題解決できるシステムをいっしょに作っていく。今では伴走支援と言われているビジネスを昔からやってきたと思います」と語る。システム開発のみならず、「導入したけどうまくいかない」「運用に課題がある」といった案件にも対応するという。

ジョイゾー 笹川茉衣氏

エンタープライズは移行元となるシステムがすでにある

 前回のパートナー対談(関連記事:なぜ大企業でkintoneの導入が増えているのか? DX推進と「脱・属人化」を実現するエンプラパートナーに聞いた)でも同じ質問を投げかけたが、kintoneの導入や運用で、エンタープライズと中小企業では、どのような違いがあるのだろうか?

 コムチュアから見ると「内製でアプリを作りたい」というのは、中小企業もエンタープライズも、基本的に共通しているニーズだという。その上で、エンタープライズならではの特徴は「移行元のシステムがすでに存在している」という点だ。kintoneが得意とする中小企業の場合、移行元は紙やExcelの業務が圧倒的に多いが、エンタープライズの場合、 Notesやスクラッチのレガシーシステムがすでにあり、そこでの課題をkintoneで解消したいというニーズが多いわけだ。

 実際、コムチュアでも内製化では難しい既存システムからの移行を支援することは多いという。「NotesやSalesforce、あるいはスクラッチで開発した既存システムから乗り換える際に、どのようにkintoneアプリ化していくか。あるいは社内の複数部門で用いられているkintoneをどのように統合的に運用していくか、などを相談いただく場合が多いです」と木原氏は語る。

 特にコムチュアも自社利用していたNotesは、kintoneへの移行が親和性も高いという。木原氏は、「他のシステムはアプリの背後にリレーショナルDBがありますが、Notesはアプリ=データベースなので、kintoneと構造が近い。アプリを作りやすい分、野良アプリが増えがちな点も、kintoneと似ています。その運用経験があるので、管理のノウハウは同じだと思っています」と指摘する。

 具体的にはkintoneアプリを統合運用するためのガバナンスガイドラインの策定だ。「ガイドラインはお客さまごとに大きく異なります。どのユーザーに現場で作らせたいのか、申請制を採用するのか、アクセス権も部門単位か、全社単位化か、などをヒアリングして、お客さまに最適なガイドラインを策定します」と木原氏は語る。

 ガバナンスガイドラインは単に策定するだけにとどまらず、定着させていくことが重要だ。「定着するまで伴走支援を行ない、場合によっては、ガバナンスガイドラインも変更していきます。実際に運用を進めたら、実態に合わないとか、申請の対応が大変といった場合もあるので、定期的にアップデートしていきます」と木原氏は語る。

 一方、クオリカで多いのは、サービス終了によるシステム移行のほか、基幹システムでカバーできない業務やメールやExcelでやっている社内申請のシステムでkintoneを利用したいというニーズだ。「弊社でお手伝いしているUTグループさん(後述)も、ある程度内製化はできているのですが、kintoneではまりがちなルックアップや関連レコードの使い方の最適化について、ご相談をいただいて支援しています」(村越氏)。

 クオリカも要件定義の段階で運用前提のセキュリティ設定を詰めていくという。「弊社は全社利用の経験があるので、その運用ノウハウも参考に共有しながら、要件定義のタイミングで、IPアドレス制限やシングルサインオン等のセキュリティ要件を整理・合意していきます」と村越氏。保守サービスも展開しているので、ユーザーからの要望を聞きながら、現場にフィットしたルールや運用提案を継続的に行なっている。「とにかく現場の話を聞いて、要件を固め、導入からアフターサービスまで提供できるのがうちの強みだと思っています」(村越氏)。

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