生産工程の可視化や機器の予兆保全、データ分析など活用例やデバイスが多数展示
製造業でのIoT活用例が一堂に会したソラコムの「IoT Solution Day」
2023年2月21日、ソラコムはIoTソリューションの展示会である「IoT Solution Day~製造業編~」を開催した。工場の見える化、機器の予兆保全、センサーデータの分析など、活用がますますディープになってきている製造業でのIoT。会場の東京・大崎ブライトコアホールに展示された製造業向けのIoTソリューションの一部を紹介する。
製造業で旬な可視化ソリューション
今回のIoT Solution Day~製造業編~は、ソラコムとパートナーが提案する製造業向けIoTソリューションを披露する展示会になる。ソラコムの認定済みパートナーであるSPS(SORACOM Partner Space)の中から、導入支援、デバイス、ソリューションを担う15社(アイレット、アットマークテクノ、アムニモ、NSW、金沢エンジニアリングシステムズ、旭光電機、神戸デジタル・ラボ、コネクシオ、シーエーシー、システムフォレスト、センチュリー・システムズ、たけびし、パーソルAVCテクノロジー、Fusic、MAGLAB)が出展した。展示をいくつかピックアップしていこう。
製造業でさまざまな実績を持つMAGLABは、ウイングアーク1stのBIツール「Motion Board」を用いた工場での見える化デモを披露した。Motion Boardを採用している理由はリアルタイム性が高いから。「通常のBIツールは分析に強いが、リアルタイム性は弱い。でも、Motion Boardはリアルタイム性も高いし、いい意味で汎用的なので、スクラッチ開発も不要」(MAGLAB)。今後、IoTにおいてもAIによる認識や判断も増えてくるが、人が判断する場面においては、こうしたBIツールが重要になるという。
クラウドインテグレーターとして知られるFusicは、工場や施設内のデータ可視化や異常を検知するソリューションをミニチュア模型で展示していた。製造業に関しては、画像検知の案件が増えているが、具体的にやりたいことが明確になっていないことも多いという。「具体的な課題解決よりも、むしろ要件があいまいな案件の方が得意」(Fusic)とのことで、IoT開発を効率的するテストツール「mockmock」を活用しながら、顧客と試行錯誤しているという。
新デバイスでより深まるIoTの活用
受託開発を中心にしたSIを手がけるNSWは、産業用スマートグラス「RealWear」を披露した。RealWearはAndroidを搭載し、目の前に移した出された情報を音声で操作できるため、危険な場所、手が汚れる場所、両手が離せない場所などで100%ハンズフリーを実現するという。NSWとしても、医療機器や冷凍庫など既存ハードウェアのIoT化のほか、クラウド連携、AIによる分析などさまざまなIoT事例を持つ。Azure IoTを代表とするマイクロソフトのソリューションに強いのもNSWのアピールポイントだという。
神戸デジタル・ラボは同社がビジネスプロデュースを行なっている帝国通信工業のフィルム型センサーを用いた漏水検知ソリューションを披露していた。フィルム型のセンサーなので薄くて、軽くて、伸びやすい。現場で簡単に取り付けることができるので、期間限定のニーズにも応えられる。水槽や池、溜め池での水位を検知し、SORACOM経由でアラートを上げることが可能。定期的に水の入れ替えを行なう水族館での導入が進んでいるという。
その他、会場では組み込みデバイスやセンサーデータを集約するIoTゲートウェイやルーターなどの通信機器、可視化や開発支援サービスなど幅広いサービスが披露されていた。また、IoTによる温湿度の可視化、クラウドカメラサービス「ソラカメ」を用いたワークショップも開催され、実際のIoTの体験を行なっていた。以前に比べて、具体的なユーザー事例が増え、製造業IoTの活用がディープになっていることがうかがえた。