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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第804回

EOS Kissの後継機、軽くてかわいいキヤノン「EOS R50」の猫AFは非常に賢いのだった

2023年02月22日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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布団の向こうからひょこっと顔を出したキジトラ。2023年2月 キヤノン EOS R50

 初心者やファミリー向けのポップで扱いやすいデジタル一眼の超定番といえば、キヤノンの「EOS Kiss」シリーズ。今年は、初代Kiss誕生からちょうど30年なのだ。すごいね。

 で、30年目に出たカメラが「EOS R50」である。どう見てもKissっぽいのだけど、Kissという愛称じゃなくなったのだ。たぶん、よほどのことがない限り、もうKissを冠するカメラはでないんじゃないかな。わかんないけど。まあ名前がKissだろうがそうじゃなかろうが、この白くて丸っこくてかわいくて小さなボディのミラーレス一眼が誕生したのである。

ホワイトモデルがかわいいキヤノン「EOS R50」。レンズキットに付属するレンズも小さくて軽い。

 今回、発売前ということもあって短期間しか借りられなかったので、保護猫シェルター QUEUEでの写真を中心にいく。

 このカメラ、小さくて軽くて安くて白い(ブラックモデルもあるけど、やっぱ白だよね)から、なんか親しみやすくていいんだけど、それ以上にEOS Rシリーズなので猫検出AFが非常に賢いのだ。しかも、人も猫も犬も鳥も一部の乗り物も自動検出してくれるので、ややこしい設定をしなくても、フルオート(シーンインテリジェントオート)のままでOKというカメラ慣れしてない人に最高なのである。

自動検出の対象について、一部表現を修正しました。(2/23 17:30)

入門機だけど、自動被写体検出AFで猫の顔もバッチリ。目を開けていれば瞳を、閉じていても顔を見つけてそこに合わせてくれる。

 しかも、レンズも含めてめちゃ軽いので扱いやすい。ただ、まあ上位機種に比べると暗所には弱いので、飼い猫をこれで撮るときは部屋を明るく、ですな。そして気楽に撮るべし。

 まずは、這いつくばって猫さんに挨拶。

這いつくばってレンズを向けたら「なになに?」って感じでカメラ目線してくれた。2023年2月 キヤノン EOS R50

 片手で気軽に持てるくらい軽いので、細かいところはカメラに任せて気軽に撮るべし。この日は、常連さんが猫と仲良くしてたので横から撮らせてもらったり。

撫でられて気持ちよさそうにしてるハチワレ。撫でてるところを撮らせてください、と声をかけて1枚。2023年2月 キヤノン EOS R50

 猫と遊びながら撮ったり。そうそう猫と遊ぶコツはいくつもあるけど、有用なのは「おもちゃ隠し」。おもちゃなりなんなりを座布団の下などに隠すと、急に気になって探しに行くのだ。

 ちょっとその技を使ってみたの図。猫用の布団があったので、そこにしゅっと隠してカメラを構えたらいい感じに突っ込んでいってくれた。

隠されると追いかけたくなるのが猫のサガ。思い切り顔をツッコンだ瞬間。2023年2月 キヤノン EOS R50

 レンズキットに付いてくるズームレンズは小型・軽量でいいけど、室内で気軽に猫を撮るには性能的にちょっと弱い。そんなときは、単焦点レンズを用意すべし。今回は、「RF85mm F2 MACRO IS STM」という望遠系のレンズだったけど、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」というのもEOS R50にはおすすめだ。

小さなEOS R50にはいささか大げさなんだけど、「85mm F2」は、猫を撮るにはいい組み合わせなのだ。

 冒頭写真もそれ。カメラは完全にフルオートにして、よろしくってんで構えてもこのクォリティで撮れるのだ。ちゃんと鼻じゃなくて目にピントが来てるのが素晴らしい。このレンズは、かなり近くまで寄ってアップで撮れるので、カッコいい横顔も。

横顔をアップで。もちろん自動的に瞳にピントが合うのだった。横顔は顔の立体感が出てカッコいい。2023年2月 キヤノン EOS R50

 そしてそろそろ帰宅しようと思ったら、なんとカメラリュックがぎゅっと足で押さえつけられ、占領されていたのだった。

愛用のカメラリュック。思いっきり押さえつけられてしまった。背当てのクッションが気に入ったらしい。これでは帰れないではないか。2023年2月 キヤノン EOS R50

 確かに、リュックの背中に当たるところはやわらかくて、爪研いだりしたくなるんだろうけどね。でも、なんとか誘惑を振り切って脱出。最後は、外で出会った猫を1枚。

 保護猫シェルターからの帰り、自転車で走ってたら、なんかもこっとしたものが見えたのである。ただもこっとしてるだけなら気づかずに通り過ぎてたと思うけど、鉢の中の草をはんでいたので、そのちょっとした動きを目の隅が捉えたのだ。

 ちょっと離れたところに自転車を止め、望遠ズームレンズに付け替え、そーっと近づいて鉢越しに1枚。ちゃんと目を捉えてくれた。にしても、ふさふさふっさふさな長毛猫でありました。耳はカットされてるのだけど、このおうちで世話してるのかもしれない。

見られているのに気づいて、鉢の裏からそっと様子をうかがう姿がかわいかったので、カメラを向けたら、ちゃんと瞳にピントが合ってくれた。2023年2月 キヤノン EOS R50

 新製品が出るたびに、「それは猫を撮るのにどうか」って視点で取り上げてるんだけど、難しいよね。キヤノンのカメラでいえば、画質と確実に猫を捉える能力を求めるなら「EOS R6 Mark II」がいいけど、でも、気軽に持ち歩いて「ねこだー」となったとき、すぐにレンズを向けてさくっと撮れるのは、小さくて軽い「EOS R50」なのだ。

 かくして、カメラにハマるとどれもこれも試したくなり、いろんなレンズが欲しくなり、でも一度に持ち歩ける数に限りがあるわけで、沼はどこまでも深いのである。

 
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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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