みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。
2022年7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」と、2022年11月7日より、1994年のラー博開業時の8店舗(現在出店中の熊本「こむらさき」を除く)が、3ヵ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度“94年組”」がスタートしました。おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。
前回の記事はこちら:
あの銘店をもう一度第11弾 これぞ「博多とんこつ」の神髄 博多とんこつ「麺の坊 砦」
過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話
第12弾は、知る人ぞ知るご当地ラーメン、岐阜県高山市に古くから根付くラーメン文化「飛騨中華そば」を代表して1948(昭和23)年創業の老舗「やよいそば」さんです! 1996(平成8)年の出店以来となりますので約27年ぶりの登場です! 出店期間は2023年2月21日(火)から3月13日(月)。
まずは、飛騨高山の場所からご説明です。
高山市は、日本列島のほぼ中央に位置し、岐阜県の北部(飛騨地方)にある市。全国の市町村で最も面積が広い。その広さは東京都とほぼ同じ面積を有しています。江戸時代から続く歴史的建造物や伝統文化が今もなお残る、風情ある町並みが人気です。また、車で50分ほど北に進むと世界遺産となった白川郷があります。
飛騨中華そばの歴史についてです。
飛騨中華そば(高山ラーメン)の歴史は今から80年以上遡り、1938(昭和13)年に創業した「まさご」が発祥。高級料亭の板前であった坂口時宗氏が、東京・芝浦での料理修業中、中国人が作る麺料理を見て中華麺の打ち方を学び、屋台を引き商売を行ったのが始まりと言われています。
京文化の影響を色濃く受ける高山の蕎麦やうどんは関西風ですが、中華そばは関東風です。もちろん、「まさご」の坂口氏が東京で修業したからですが、高山が江戸幕府の天領となり、醤油文化が発達したという土壌も影響していると考えられます。
飛騨高山で「そば」と注文すると「中華そば」が出てきます。いわゆる「蕎麦」を頼む場合は「日本蕎麦」又は「生蕎麦」と呼ばなければ伝わりません。高山は蕎麦の歴史も古いのですが、店舗数は中華そば店のほうが圧倒的に多く、地元の人も中華そばを常食します。
そして飛騨中華そばの特徴です。
●スープとタレを一緒に煮込む
ラーメンはスープとタレを別々に作り、丼にタレを入れてスープを注ぐことが一般的ですが、飛騨中華そばでは、寸胴の中でスープとタレを合わせて煮込みます。そのため、午前中と夕方では煮込み時間により味わいが変化し、地元の人は好みの時間帯にお店を訪れます。
●年越しは日本蕎麦ではなくラーメン
飛騨高山では、年越しに日本蕎麦でなく、ラーメンを食べる習慣があります。シーンと静まった大晦日の夜、外には人通りがありません。そして12時近くになり除夜の鐘が鳴るや否や、急に大勢の人が次から次へと外出し始めます。その目的はラーメン店。飛騨高山では、厳密にいうと年越しではなく年を迎えてからラーメンを食べる習慣があります。
今回出店する「やよいそば」の創業は1948(昭和23)年。現存する飛騨中華そば店の中では2番目に古い老舗店となります。屋号「やよいそば」は、すぐそばにある「弥生橋」からきております。
1996(平成8)年10月5日、新横浜ラーメン博物館にオープン。約5か月の出店期間中、当時全国的にあまり知られていなかった「飛騨中華そば」を求めるお客様で連日賑わいを見せました。
やよいそばの特徴をまとめました。
●麺
全国的に見てもかなり珍しい平打ち細ちぢれ麺。低加水(小麦粉に加える水分が少ない)のためスープとよくなじみ、のど越しと歯切れが良いです。飛騨高山は水が美味しいこともあり、今回の出店ではその水で作った自家製麺を本店から取り寄せます。
●スープ
鶏ガラ、野菜等で十分にダシを取り、そこへ鰹節等の節類を加えて更にダシを引き出したスープに、醤油などで味付けし、丸二日以上煮込みます。こうすることで、「やよいそば」独特のコクと旨味を兼ね備えた色濃いスープが完成します。
●具材
至ってシンプルな具材ですが、濃い醤油スープの味を引き立てる重要な役割を果たします。昔ながらの中華そばに欠かせないメンマ、油分の少ないスープに旨味を加えるバラチャーシュー、そして飛騨中華そばに無くてはならない「飛騨一本太ねぎ」。岐阜県の伝統野菜にも認定されており、柔らかく粘りがあり、甘みが強いのが特徴です。寒い季節にしか味わう事が出来ない食材のため、この時期の出店になったのです。
次回は銘店シリーズ第13弾は博多「元祖名島亭」さんについて発表させていただきます。
お楽しみに!!
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