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ショウジョウバエの細胞死を引き起こす「サヨナラ遺伝子」、理研らが発見

2023年02月12日 06時24分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所(理研)、リヨン癌研究所、リヨン第一大学、モンペリエ大学、宮崎大学の研究グループは、ショウジョウバエの細胞死を引き起こす遺伝子を発見し、「サヨナラ遺伝子」と命名した。ショウジョウバエの細胞死を引き起こすアポトーシス関連遺伝子はこれまで見つかっておらず、20年以上にわたって存在しないと考えられていた。

理化学研究所(理研)、リヨン癌研究所、リヨン第一大学、モンペリエ大学、宮崎大学の研究グループは、ショウジョウバエの細胞死を引き起こす遺伝子を発見し、「サヨナラ遺伝子」と命名した。ショウジョウバエの細胞死を引き起こすアポトーシス関連遺伝子はこれまで見つかっておらず、20年以上にわたって存在しないと考えられていた。 研究グループは、線虫と哺乳類で見つかっているアポトーシス関連因子「BH3オンリータンパク質」に似た遺伝子がショウジョウバエのゲノムに存在しないか、コンピューターを使用して探索した。その結果、ヒトのBH3オンリータンパク質と部分的に似たアミノ酸配列をコードする遺伝子を発見した。この遺伝子は378個のアミノ酸から成るタンパク質をコードすると推定できるものだという。発見した遺伝子をショウジョウバエの羽の細胞で強制的に発現させたところ、実際にアポトーシスが起こった。この実験結果によって、今回発見した遺伝子がショウジョウバエのアポトーシス関連遺伝子であることが分かった。 研究成果は2月2日、欧州分子生物学機関誌にオンライン掲載された。今回の発見は、教科書の細胞死に関する記述を書き換える大きな発見であり、この遺伝子の機能をさらに詳細に解析していくことで、哺乳類を含む普遍的な細胞死の分子機構の解明につながる可能性があるという。

(笹田)

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