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100歳以上の「百寿者」、エピゲノム年齢若く=岩手医科大など

2023年02月09日 06時15分更新

文● MIT Technology Review Japan

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岩手医科大学、慶應義塾大学、KDDI総合研究所の共同研究チームは、超並列型DNAシーケンサーを利用した、日本人に適した年齢推定法を新たに開発。百寿者(100歳以上の人)94名のエピゲノム(後天的にゲノムに加えられた修飾)の状態を解析した結果、百寿者の推定年齢は暦年齢よりも若いこと、特にがん関連遺伝子と認知機能にかかわる遺伝子群のエピゲノム状態が若い人と同程度に維持されていることが明らかになった。

岩手医科大学、慶應義塾大学、KDDI総合研究所共同研究チームは、超並列型DNAシーケンサーを利用した、日本人に適した年齢推定法を新たに開発。百寿者(100歳以上の人)94名のエピゲノム(後天的にゲノムに加えられた修飾)の状態を解析した結果、百寿者の推定年齢は暦年齢よりも若いこと、特にがん関連遺伝子と認知機能にかかわる遺伝子群のエピゲノム状態が若い人と同程度に維持されていることが明らかになった。 研究チームは、「東北メディカル・メガバンク計画」参加者のうち20歳から79歳までの健常な421名のデータを使って、新たなエピゲノム年齢推定法を開発。同手法を用いて、「東京百寿者研究」または「全国超百寿者研究」に参加した101歳から115歳までの94名のエピゲノム年齢を計算し、実際の年齢と比較して老化が進んでいるか、抑制されているかを評価した。 その結果、百寿者のエピゲノム年齢は若い状態に維持されており、100歳を超える突出した長寿の背景には特徴的なDNAメチル化状態が存在することが分かった。さらに、タンパク質機能に着目したネットワーク解析の結果、百寿者で若く維持されていた部位はがんのほほか、認知機能に関わる領域にも存在することを示した。 一方で、一方で百寿者の抗炎症に関与する遺伝子周辺のエピゲノム状態は、より老化が進んだような状態にあることを明らかにした。研究チームによると、突出した健康長寿の達成には、若いエピゲノム状態を維持するだけでなく、特定のエピゲノム領域がより老化が進んだ状態になる変化も重要であると考えられるという。 今後は、今回の研究で開発した年齢推定法を指標にした健康長寿を達成するための生活習慣改善や予防方法の開発が期待される。研究論文は、国際科学雑誌ランセット・ヘルシー・ロンゲビティ(Lancet Healthy Longevity)誌に2023年2月1日付けでオンライン公開された

(中條)

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