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四次元ポケットや宝箱のような存在

参加しやすいPTAを作るために 杉並第二小PTAのLINE WORKS活用

2023年03月01日 09時00分更新

文● 重森大 編集●MOVIEW 清水

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 PTAの活動には、役員や会員との多くの連絡がつきまとう。学校を通じて配布する手紙の数も多い。これらを効率化するためにLINE WORKSを取り入れたのが、東京都杉並区立杉並第二小学校のPTAだ。会長の栃谷 千恵さんが、保護者が参加しやすいPTAにするためのLINE WORKSの活用方法について教えてくれた。

杉並区立杉並第二小学校 PTA会長 栃谷 千恵さん

個人情報保護法の適用やコロナ禍を背景にLINE WORKSを導入

 栃谷さんは2017年度に杉並第二小学校のPTA会長を経験し、「委員をするだけではない」「できる範囲での協力をお願いする」というPTAの在り方を求めて「S4(杉二スクールサポートスタッフ)」という団体を立ち上げた。S4では有志を募って登録してもらい、学校やクラスの手伝いをする。そうした経験をしたのち、2022年に2回目のPTA会長に就任。PTAをより参加しやすい団体にするために活動を続けている。

 LINE WORKSは、前年度の書記の方から紹介され知ったという栃谷さん。話を聞いた時点でいいツールだとわかったものの、それだけでは全員に導入を促すのは難しかっただろうと語る。しかし、いくつかのできごとが、良いきっかけになった。

 「個人情報保護法がPTAにも適用されるようになり、学年名簿が廃止されました。合わせて、地区班ごとに配布していた班名簿も廃止。コロナ禍を通して保護者同士の関わりが少なくなってしまったところに、名簿がなくなってさらに連絡を取りにくくなってしまいました。こうした不便を解消するツールとして、PTA会員にとって便利なツールとしてLINE WORKSの導入を進めました」(栃谷さん)

保護者同士が連絡を取りにくい不便さを解消するツールとしてLINE WORKSを導入

 PTA会員の一人ひとりにとって便利なツールであることは、間違いがない。栃谷さんはそれに加えて、PTA委員が抱えるいくつもの課題の解決を目指していた。

・LINEがプライベートとPTAでごちゃ混ぜ
・LINEのグループトークだけで意見交換をすることが多く、決定に時間がかかる
・意見交換にあとから参加した人はやりとりを遡って追う必要があり、理解が難しい
・集まってから意見を出し合うため、会議に時間がかかる
・各委員への連絡はBCCでメール送信するため、PCが必要
・会議への出欠は、委員長が個別に取りまとめ

 「これらの課題が、LINE WORKS導入で解消されました。プライベートのLINEとは、完全に区別できるようになりました。意見交換にはノートを使うことにして、議題ごとにノートを作成しました。LINE WORKSで事前に意見を出し合う習慣ができたので、対面での話し合いでは確認が中心となり、とてもスムーズに。各委員への連絡もグループトークで一斉に配信できますし、会議への出欠確認もアンケートで簡単に回収できます」(栃谷さん)

 特に便利なのは、トークグループ内に議題ごとに作られたノートだという。トークで意見交換をすると会話が流れてしまい、あとから見返すのは難しい。議題ごとのノートならすぐに見つかるので、決まった事項を確認するのも簡単だ。

 LINE WORKSの運用は、PTA執行部が担当している。といっても、大きな負担にはなっていないようだ。学年の始まりに、クラス分けが決まるのを待って会員を学年とクラスにグループ分けする。地区班のグループも作成しているが、こちらは大きく変わることがないため、新入学生を登録したり卒業生を削除したりする以外のメンテナンスはほぼ不要だ。

LINE WORKS導入前と導入後の違い

掲示板やノートの機能をうまく使ってPTA会員との連絡を効率化

 PTA活動を支えるS4でも、LINE WORKSは使われている。特に役立っているのが、ノートによるシフト管理。まず、栃谷さんがノートを作り、活動内容と日程表を書き込む。このとき各行には、活動がある日付と空欄の( )が並んでいる。活動を手伝ってくれるメンバーはコメント欄に参加希望日を書き込むと同時に、ノートの共同編集機能を使って該当の日付の場所に自分の名前を書き込んでもらう。

ノートによるシフト管理でPTA活動を効率化

 「以前は活動に参加可能な日を聞き取ってまとめるために、毎月数日かけていました。いまはノートで活動内容と日程を告知して、参加希望日を収集したらそのままシフト表ができあがっているので、とても楽になりました。コメントにも書き込んでもらっているのは、編集にミスがあったときの確認用です」(栃谷さん)

 会員への情報共有も効率的で、確実になった。手紙で配布していた通知内容を、掲示板を使って配信するようにしたのだ。学校を通じて配布するPTAの手紙は、子どもが保護者に渡すのを忘れたり、家庭内で紛失したりということがあった。そうしたことを避けるためにメールを使ったこともあったが、メールアドレスの収集に手間がかかるという課題が残った。

 「掲示板で配信すれば通達漏れがなくなり、必要なときに確実に見返せるようになりました。配信数が多すぎて必要な情報が埋もれてしまわないよう、必ず目を通して欲しいものには【必須】や【重要】と書き加えることで、見落としを減らす工夫もしています。ペーパーレス化にも成功し、前期収支決算で昨年度の同じ時期より印刷費にかかる費用が9万円ほど減りました」(栃谷さん)

 アンケートにもLINE WORKSを使い、紙で実施していた頃よりも回答率が向上した。回答期間が終わると同時に集計も終わるので、結果を共有するのも簡単だ。アンケート機能は会議の出欠確認にも使っている。メールで案内していた頃にくらべて堅苦しさがなくなり、回答も早くなった。

アンケートの作成・集計も簡単。回答率もよくなった

 栃谷さんは、一般会員メンバーのLINE WORKS活用について紹介してくれた。先に書いた通り、PTAの学年名簿が廃止されたため、クラスが違う家庭の連絡先を知るのが難しくなってしまい、気軽に電話連絡ができなくなっている。そこで役立っているのが、LINE WORKSの通話機能だ。友だちの家に遊びに行ったお礼や、間違えて友だちのものを持ち帰ってしまったときの連絡など、様々なシーンで活用されているという。

 「便利に使ってもらうだけではなく、使い方についての注意も促しています。たとえば子ども同士のトラブルに関しては、保護者同士の連絡で対応するのではなく学校を通じての対話を徹底するようお願いしています。PTA執行部がやりとりを確認できる監査機能があることも伝え、何かあったときには管理者がチェックできるとお話ししてあります」(栃谷さん)

100%を求めず、LINE WORKSを使って少しでもPTA活動を理解してもらえるよう努力

 LINE WORKSの活用にも課題は残っている。最大のハードルとなっているのが、会員の間に残る温度差だ。LINE WORKSを積極的に使ってくれる保護者もいれば、登録しただけでまったく既読にならない保護者もいる。それでも、登録してくれたことだけでも嬉しいと栃谷さんは語る。

 「発信側と受け取り側の温度差は、どうしても残るものです。100%を求めるつもりはないし、少しでもPTA活動を理解してもらえるよう努力するだけです。全員ではないにしても、アンケートを通して意見を聞く機会もあり、どうにかしようと考えてくれている人がいることも伝わってきます」

 PTA活動を支えてくれるLINE WORKSは、栃谷さんにとってはドラえもんの四次元ポケット、あるいは宝箱のような存在だという。そのうえで、LINE WORKSの活用を通してさらにPTA活動の理解者を増やしていきたいとして、最後は保護者への感謝の言葉で締めくくった。

100%は求めないが、LINE WORKSを通じてPTA活動の理解者を増やしたいという栃谷さん

 「役を引き受けてくださる方、声を上げてくださる方、少しでも興味を持ってくださる方を大切にして今後も活動を続けていきます」(栃谷さん)

「PTA効率化 学びウィーク」のアーカイブ動画 配信中

 500名以上が参加した、PTA運営効率化のヒントを紹介する「PTA効率化学びウィーク」のアーカイブ動画を配信中。杉並第二小学校PTAのLINE WORKS導入ステップの紹介動画も公開しており、PTAユーザーが活用や導入の経験談を紹介する動画がオンデマンドで視聴できる。視聴期限は3月31日(金)まで。これからのPTA改革や運営効率化のヒントにぜひお役立ていただきたい。

⇒申し込みページ

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