メインフレームはいまが一番の伸び盛りという理由
販売されたメインフレームのMIPS数(出荷処理能力)は、過去10年間で3倍以上に成長しており、フォーチュン100社のうち67社が、IBM Zを採用。世界の銀行トップ50行のうち45行、保険トップ10社のうち8社、航空トップ5社のうち4社、グローバル小売トップ10社のうち7社、通信トップ10社のうち8社が、IBM Zを採用している。また、GDP上位25カ国中24カ国の政府において、IBM ZおよびIBM Linux ONEが稼働する公共部門を有しているという。
また、IBM Zには、最新の7nmのプロセスによって製造された高性能CPUが搭載されているほか、AIチップが搭載され、新たなワークロードにも対応。省電力化でも大きな進化を果たしている。
「メインフレームの中身は、この10年で大きく変わっている。そして、IBM Zは、世界で最も重要なインフラとして不可欠なシステムになっている」と胸を張る。
DXの流れに逆行しないのか?
その一方で、メインフレームの存在はDXの足かせになるとの指摘もある。だが、それに対しても、日本IBMの山口社長は、「それは誤解や間違った認識によるものだ」と一蹴する。
ひとつめは、「メインフレーム=オンプレミス」という誤った認識がある点だ。
山口社長は、次のように語る。
「一般的に、メインフレームはレガシーなものであり、モダナイズされたクラウドと対比されることが多い。しかし、この対比そのものが間違っている。メインフレームはハードウェアであり、IAサーバーやストレージと同じカテゴリーに捉えられるものである。それに対して、クラウドは、オンプレミスと対比でき、使い方の違いを示すものである。つまり、メインフレームはオンプレミスでの利用に限定されたものではなく、クラウドでも利用されるものであることを理解しておくべきである」
たとえば、日本IBMのパブリッククラウドサービスであるIBM Cloudは、x86サーバーほかに、IBM ZやIBM i、AIX、量子コンピュータなどのハードウェアでサービスを提供しており、用途に合わせて選択することができる。現時点でも最新技術となる127量子ビットの量子コンピュータをIBM Cloudで利用できる。そして、セキュアにクラウドサービスを利用したい場合には、IBM Zを選択することができる。
「お客様は、オンプレミスで動かすのか、クラウドで動かすのかといった利用形態から最適なものを見極め、その上で、どういうハードウェアを利用するのかを選択すべきである。利用形態とハードウェアのマトリックスで、組み合わせを考えればいい。そのなかに、IBM Zをオンプレミスで利用するのか、クラウドで利用するのかという選択肢が用意されている」とする。
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