コストを抑えた第13世代CoreのPCを組みたい幅広い層におすすめのマザーボード
Intel B760チップセット搭載し、拡張や冷却も十分なMSI「MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4」レビュー
メインストリーム向けの12+1+1フェーズ構成に75A対応DrMOSの組み合わせ
CPU電源回路を見ていこう。まず、CPU電源端子は8ピンのEPS12Vが2つ用意されている。たとえば最上位CPUのCore i9-13900K/KS/KFを組み合わせる場合でも余裕だ。
CPU電源回路の構成は12+1+1フェーズ。PWMコントローラはRenesas「RAA229132」。MOSFETについて見ていくと、VCORE用には75A対応のDrMOS「RAA220075R0」を採用しつつ、1フェーズはMonolithic Power Systems「MP87670」を組み合わせている。また、Duet Rail Power Systemとされ、フェーズダブラーを用いない形でPWMの1系統に2つ(フェーズ)のMOSFETをぶら下げている。
電源フェーズ数はIntel Z790搭載モデルと比べれば減少、出力も抑えられているが、余裕という点では十分に設けられている。つまり1フェーズあたりの負荷は抑えられ、発熱も抑えられていると思われる。これに大型VRMヒートシンクが組み合わされているあたりが、スタンダードマザーボードと本製品のようなゲーミングマザーボードとの違いだ。ゲームプレイ中というのは、CPUにも比較的高負荷がかかり、それがプレイ中持続する。その上で、本製品がメインストリーム向けモデルであっても、最上位のCore i9を組み合わせることも想定される。本製品はそうしたハードな使い方も想定しつつ、メインストリーム向けの価格帯に向けたモデルだ。
では、ここで一度ベンチマークを用いて負荷をかけた状態のVRM温度を見てみよう。今回用いたCPUはCore i5-13600(未発売)。コア数はPコア6基、Eコア8基で合計14コア20スレッドという仕様はCore i5-13600Kと同様だが、PBPは65W、MTPが154Wで、Core i5-13600Kの125W/181Wといった仕様から大きく抑えられている。一応、Turbo時の最大クロックを100〜200MHz抑え、キャッシュも半分近くに抑えられている、DDR5メモリのサポートがDDR5-4800まで(本製品はDDR4モデルなのでDDR4-3200まで)といった仕様も異なる。ただ、消費電力が大きなCPUほど高性能でも比例はしないのがCPUのおもしろいところ。
BIOSでのCPU設定は、CPUの定格である65W/154W設定と無制限(BIOS上では4096W)設定を用いた。組み合わせたCPUクーラーは28cmクラスのMSI「MEG CORELIQUID S280」。冷却性能については余裕を見ているが、実際、やや過剰な性能のクーラーを組み合わせたことで非常に静音性能にすぐれた構成となった。また、今回、VRMを冷却するケースファンは用いておらず、ビデオカードには MSI「GeForce RTX 3080 GAMING Z TRIO 12G LHR」を組み合わせている。
各部の温度だが、CINEBENCH R23(Multi CPU:10分)、PCMark 10(Standard)で計測した。
まずCINEBENCH R23。スコアは定格側がMulti CPU:17620、Single CPU:1893、PL無制限側がMulti CPU:21359、Single CPU:1866だった。温度グラフに移ると、まずCPU温度については、定格設定はなにかの間違いかというほどCPU温度が上がらず、MOSFET温度もおおむね40℃台前半で推移している。続いてPL無制限設定だが、さすがにこちらのCPU温度は73℃台まで上昇し、MOSFET温度も51.5℃まで上昇した。とはいえ10分間のCPUフルロードで50℃台前半であれば発熱は小さめと言えるだろう。このようにPL無制限はMulti CPUで2万点を超えるスコアで高性能かつMAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4のVRMなら余裕あり。一方、定格運用もグラフのとおりCPU温度上昇が小さくMOSFET温度も上昇せず、とても静かといったメリットがある。
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