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物理と深層学習で地殻変動解析、地震モデリング手法を考案=理研など

2022年12月07日 06時42分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所と名古屋大学の共同研究チームは、「物理法則を組み込んだ深層学習(Physics-Informed Neural Network:PINN)」を用いて、地震に伴う地殻変動をモデリングする新たな手法を考案。従来の数値解析手法とは異なる原理に基づいた、地殻変動の理論モデルのシミュレーションに成功した。

理化学研究所と名古屋大学の共同研究チームは、「物理法則を組み込んだ深層学習(Physics-Informed Neural Network:PINN)」を用いて、地震に伴う地殻変動をモデリングする新たな手法を考案。従来の数値解析手法とは異なる原理に基づいた、地殻変動の理論モデルのシミュレーションに成功した。 今回の手法では、地球内部の位置を入力するとその場所での地殻の変位量が出力するようにニューラルネットワークを構成し、岩石内部に働く力と岩石の変形の関係を記述する弾性体力学の法則を満たすようにモデルを訓練する。PINNを地震現象に適用する際、地震時に断層両側の動きに「ずれ」が生じ、断層付近の変動を表現できない問題が発生するが、研究チームは、入力となる位置情報を適切に変換することで、全解析領域における正確な解析を可能にした。 従来の地殻変動解析では、解析領域を単純な「メッシュ」に分割してコンピュータで計算するため、複雑な地形や地下構造を正確に表現しようとするとメッシュが細かくなり、計算量が膨大になる問題がある。今回の手法では、地殻の「連続的な」変動を柔軟にモデル化できるため、これまで困難だった複雑な地下構造など、多様な問題設定における地震解析研究が進展しそうだ。 研究の成果は、科学雑誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)オンライン版に2022年11月19日付けで掲載された

(中條)

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