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東京農工大など、木造建築物の炭素貯蔵量を推定

2022年11月22日 06時35分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京農工大学、ウィーン自然資源応用生命科学大学、住友林業の研究グループは、過去52年間に建造された木造建築物の炭素貯蔵量を算出した。

東京農工大学、ウィーン自然資源応用生命科学大学、住友林業の研究グループは、過去52年間に建造された木造建築物の炭素貯蔵量を算出した。 計算の対象となったのは住友林業が1969年〜2021年までに建設した木造建築物。データは住友林業が提供した。研究グループはまず、伐採木材製品の炭素貯蔵量を推計する2種類の手法である直接計数法とフラックスデータ法がそのまま使用可能かどうかを検証。フラックスデータ法は対象の全期間で使用可能だが、直接計数法は2021年時点のデータにのみ使用可能だと分かった。 フラックスデータ法では木造建築物の減衰傾向をどう仮定するかによって結果が大きく変わることも分かった。研究グループは2021年時点での築年数ごとの住宅現存数と、それぞれの年に建設した住宅数から住宅残存率を求め、これに最も適合する減衰関数と半減期を解析した。その結果、半減期を66〜101年とし、減衰関数に対数正規分布を採用することが最も適切であると証明された。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は提示しているガイドラインで、半減期は35年としているが、今回の結果はガイドラインの値を大きく超えるものになった。 研究成果は10月27日、サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)誌に掲載された。2011年のCOP17で、伐採木材製品の炭素量変化を各国の温室効果ガス吸収量あるいは排出量として計上することが認められているが、伐採木材製品の炭素貯蔵量を企業が把握する方法は確立されていない。東京農工大は今後、さらに多くの製品や構造物を対象とした研究を展開するという。

(笹田)

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