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JBCCがローコード開発による超高速開発を拡大 クラウドシフトも鮮明に

2022年11月08日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 JBCCホールディングスは、2022年度上期業績発表会見のなかで、ローコード開発ツールを活用した超高速開発を拡大し、2023年度にはSI事業の70%以上の構成比に高める方針を示した。また、クラウドおよびセキュリティビジネスが好調に推移。オンプレミスを中心とした事業モデルから、クラウドを中心とした事業モデルへのシフトに大きな成果があがっていることも強調した。システムインテグレーターによるローコード開発ツールの活用促進と、クラウドによるリカーリングモデル確立の先行事例として注目される。

JBCCホールディングス 代表取締役社長の東上征司氏

顧客の要望をあぶり出し、高品質なシステムを届けられる超高速開発

 超高速開発は、同社独自の開発手法である「JBアジャイル」と、ローコード開発ツールを組み合わせたもの。アジャイル開発手法を用いながらも、要件定義および現状分析を行ない、システム化する機能をスリム化するとともにシステムの全体像を把握。開発単位を細分化し、5回の反復開発を実施し、要件を確認しながら開発を進めるのが特徴だ。ローコード開発ツールには「GeneXus」を採用。過去8年間で440社以上の超高速開発の実績があり、製造業、卸売・小売業、教育学習支援、金融・保険業など、さまざまな業種で活用されているという。

JBアジャイルとローコード開発

 JBCCホールディングスの内田義隆取締役は、「ウォーターフォール開発ではユーザーが最終段階まで実物を見ることができないため、手戻りが発生するリスクが大きく、スケジュール遅延やコストの追加が発生しやすい。一方でアジャイル開発は、要件定義が十分ではないため、全体像が捉えれず、スケジュール管理がしにくく、要望が収束しないため大規模が開発には向かないといった課題がある。JBアジャイルは、こうした課題を解決することができる。顧客の要望をあぶりだし、どこよりも高品質なシステムを、どこよりも速く届けることができる」と自信をみせる。

 同社では、超高速開発センターを設立。開発の標準化を推進するとともに、品質の格差を排除。従来型スキルを保有した人員のスキルシフトの促進や、アセット蓄積を専任化する役割や、情報を一元管理したりする役割を持たせている。また、全国各地に点在していたSEのリソースを一元管理し、効率的なアサインを実現するほか、構想策定や現状分析を行い、反復開発セッションの実施責任者であるセッションリーダーを設置。プログラム開発組織を一本化し、アセットの利用促進および開発の生産性向上を図っている。

超高速開発センターを設立

 内田氏は、「機能に精通し、高いスキルを持ったセッションリーダーが、単一のプロジェクトに留まり続けるのではなく、次々とプロジェクトに渡り歩かせる仕組みとすることで、専門性を高めるとともに、スキルの横展開が可能になる。また、プログラム開発組織の一本化によって、プロジェクトごとに分散していたリソースが統合できる。業務フローの設計情報や、開発済みのアプリケーションなどをアセットとして蓄積し、これを業種を問わずに活用する体制も整えている。あわせて、超高速開発センター内には、アセット化専任組織を設置し、新たなアセットを蓄積する取り組みも行っている」とする。

 超高速開発センターを通じたアセットの活用が促進でき、システム開発の効率性と生産性を大幅に向上。利益率を40%以上に高める方針も示した。

 今後、パートナー企業と連携した形で超高速開発を促進する考えであり、「パートナー企業にとっても、手戻りリスクを排除したり、JBCCが蓄積したアセットを共同利用したりすることで、生産性を高めることができる」(内田氏)とした。

クラウドは定着率の高さが強み 運用管理だけでなく、コスト最適化も

 また、クラウド事業における取り組みについても説明した。

 同社では、IaasS向けサービスである「EcoOne」を展開。さらに、SaaSではMicrosoft 365を軸として提案活動を加速している。JBCCホールディングスの薮下真平取締役は、「運用管理だけでなく、コスト最適化サービスを提供している点がJBCCの強みである。さらにセキュリティサービスも同時に提供している。IaaSとSaaSの定着率の高さでは他社にはない強みがあり、クラウドを使い倒してもらうことができる提案を行なっているのが特徴だ」と述べた。

 EcoOneでは、IaaSのコスト最適化、運用およびセキュリティサービスを提供。薮下氏は、「一部顧客はオンプレミスのまま更改するケースがあるが、90%以上の顧客がクラウドへ移行している。その背景にあるのは、最適化サービスの提供により、JBCCから能動的に、コストを削減する提案を行なっている点にある。クラウドへの移行によるコスト削減率は平均30%という高い水準を維持し、これが定着化につながっている。AWSおよびAzureによるマルチクラウドのコスト最適化の提案に加えて、2022年11月には新たなGoogle Cloudのコスト最適化サービスを発表することになる。マルチクラウド環境でコスト最適化サービスを提供しているのはJBCCだけである」と語った。

JBグループのIaaS EcoOneサービス

 同社によると、コスト削減や、最適なインフラ環境の策定、移行までをサポートするIaaS コンサルティングサービス「ITモダナイゼーションクリニック」は、2014年4月の提供開始以来、790社の採用実績があるという。

 また、SaaSへの取り組みでは、「73%の企業が他社からJBCCへと移行している。一度、SaaSを導入したが、活用しきれないという課題を持っている企業が、JBCCからSaaSを再導入している」という。ここでは、同社独自の「DXワークショップ」を通じて、SaaS導入済み企業が、SaaSが持つあらゆる機能を理解、活用し、企業のDXを推進。SaaSの定着率を高めることを支援できているという。

 たとえば、無償で提供している「Microsoft 365ワークショップ」では、Microsoft 365が持つ多様な機能を活用できるように支援。同社のソリューションスペシャリストが、企業のシステム部門や現場部門と一体となり、半日をかけて機能を紹介したり、解決策を共同で策定したりといったことを通じて、Microsoft 365の活用、定着を図ることになる。

 DXワークショップは、2021年4月にスタートして以降、これまでに約500件の実績があるという。

DXワークショップ

 さらに、今後は、EcoOneで提供していたサービスをSaaSにも展開。2022年度下期には、Microsoft 365向けログ監視サービスを新たに提供することも明らかにした。

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