日本時間6日夜に、グーグルから「Pixel 7」と「Pixel Watch」が発表され、13日に発売される。iPhone 14と比べれば、比較的リーズナブルな価格が設定され、特に日本では為替レート以上にオトクになっている。そこで格安SIMとPixel 7を組み合わせようと考えている人も多いだろう。ただ、Pixel Watchの回線については問題が生じそうだ。
Pixel 7はコスパ良好の高性能Android機
まずは、Pixel 7について。プロセッサ的には高性能機に分類されるが、iPhoneはもちろん、他社Android機と比べても、コストパフォーマンスがかなりいい製品になっている。
単純な日本での価格だけなら、7万4800円だったPixel 6と比べると8万2500円と上がっているが、この1年に急速に進んだ円安から考えるとPixel 7の価格は良心的。iPhoneに比べれば割安感は十分だ。他のAndroid機と比べてみても割安であることに違いはない。
なお、7月に登場した下位モデルの「Pixel 6a」もまだまだコストパフォーマンスは良好だ。現在の価格は128GBモデルで5万3900円。他社のFeliCaに対応した“全部入り”のAndroid機は4万円前後することを考えれば、それらよりも上位のプロセッサを搭載していて、1万円を少し超える程度の上乗せならば価値は十分ある。
Pixel 7やPixel 6aは格安SIMでも問題なく使える。デュアルSIMも可能だが、そのためにはeSIMの利用が必要となる。最近ではオンライン専用プランを含めた3大キャリアと楽天モバイルのサービスはeSIMへの対応が進んでいるが、MVNOの格安SIMの場合、eSIMを提供するサービスは限られてしまうので、デュアルSIMで使うなら、よく考えて選ぶ必要がある。現時点でeSIMを提供しているのは日本通信、IIJmio、mineoなどが挙げられる。
Pixel Watchの4G LTEモデルはauかソフトバンクしか使えない
続いては冒頭で問題になるとしたPixel Watch。
Pixel Watchは、Apple Watchと同じように、単独で通信ができる4G LTEモデルが用意されている。これがあれば、スマートフォンが近くになくても通話や通信が可能。たとえばランニングをするとき、アームバンドなどでスマートフォンを腕に着けたりせずに、Pixel Watchだけで外出しても通話やデータ通信ができる。
しかし、iPhoneとApple Watchのときと同じだが、Pixel Watchの4G LTEモデルでは、対応キャリアの専用プラン、しかも親機と同じキャリアに契約する必要がある。そして現在、Pixel Watchに対応したプランはauとソフトバンクしか提供していない(UQ mobileやY!mobileといったサブブランド、povoやLINEMOなどのオンライン専用プランも非対応)。
auのスマートウォッチ向けのプランは「ナンバーシェア」で、利用料は月385円。ソフトバンクも同様のプラン「ウェアラブルデバイスモバイル通信サービス」があり、料金は同じ。au/ソフトバンクともに、新たに加入した場合、月385円が最大48ヵ月にわたって0円になるキャンペーンが実施されている。
ただし、格安SIMに比べ、auやソフトバンクのスマートフォン用プランは一般的に高額という印象で、特に月5GB程度の利用の場合、割高感はさらに強くなる。
auやソフトバンクの料金は月5GBくらい使う人には厳しい
たとえば月5GB程度通信するケースを考えてみたい。MVNOの格安SIMなら月1000~1500円程度で済んでしまう。格安SIMの感覚からすると、auやソフトバンクは随分高い。具体的には、月5GB使う場合、auは段階制料金の「ピタットプラン5G」となり、4~7GBのゾーンに入り、月6765円。3人以上の家族割や光回線などの割引が最大限加わって、ようやく月4928円だ。
ソフトバンクで月5GB使う場合は「メリハリ無制限」しか選択肢が無く、月7238円。同様に割引が最大限入って、ようやく月4928円でauと並ぶ。もちろんスマホで動画をたくさん見るような“使い放題”系プランを求める人なら、コスパは悪くないのだが、月5GB程度のユーザーにはauやソフトバンクの料金プランは適切なものがない。
格安SIMを前提にするなら、残念ながら4G LTEモデルの利用はできず、スマートフォンが近くにないと外部通信ができないBluetooth/Wi-Fiモデルを組み合わせることになる。

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