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新型コロナの口腔内感染リスク、「女性」「飲酒」で上昇

2022年09月19日 07時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学の研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の口腔内からの感染リスクが「女性」と「飲酒」で高まることを明らかにした。SARS-CoV-2の感染では、ウイルスが受容体「ACE2」に結合し、その後「TMPRSS2」によって細胞への侵入が促進される。これらの2つの分子は口腔内に多く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症初期には味覚障害が発生することから、口腔内が感染で重要な役割を持つとされている。

名古屋大学の研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の口腔内からの感染リスクが「女性」と「飲酒」で高まることを明らかにした。SARS-CoV-2の感染では、ウイルスが受容体「ACE2」に結合し、その後「TMPRSS2」によって細胞への侵入が促進される。これらの2つの分子は口腔内に多く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症初期には味覚障害が発生することから、口腔内が感染で重要な役割を持つとされている。 研究チームはヒトの舌サンプルを用いた研究で、感染リスク上昇について解明した。研究チームは、同大学附属病院で手術を受けた舌がん患者の細胞41名分を集め、免疫組織化学染色と免疫ブロット法で受容体の発現度合いを調べた。マウスの舌と比較したところ、ACE2はマウスに比べてヒトでは相対的に発現が低い一方、TMPRSS2はマウスと比べてヒトにおける発現が高く、舌上皮、血管、神経周膜、唾液腺、味蕾で特に高く発現していた。 さらに、ACE2とTMPRSS2の発現に影響する因子として「年齢」「性別」「喫煙」「飲酒」の4要因についてロジスティック回帰分析で検証したところ、ACE2では特定の因子との関係はなかったが、TMPRSS2では「飲酒」と「女性」が増強因子として働くとの結果が得られた。 研究成果は9月1日、ジャーナル・オブ・クリニカル・バイオケミストリー・アンド・ニュートリション(Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition)誌にオンライン掲載された。研究チームは今後、ACE2とTMPRSS2に結合している関連タンパク質を解析することで、SARS-CoV-2による味覚障害のメカニズム解明を目指すとしている。

(笹田)

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