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衝動買いしたキヤノン「EOS R7」を「EOS 90D」と撮り比べてわかった両モデルの良いところ

2022年09月18日 12時00分更新

文● 写真 松永和浩 編集● ASCII

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写真を見れば
どちらのカメラで撮ったかは一目瞭然!

 EOS R7とEOS 90Dの2台を8月7日に富士スピードウェイで開催された2022 AUTOBACS SUPER GT第4戦「FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE」の決勝レースに持ち込んで、走行写真での比較をしてみました。

 なお、以下の作例で使用したレンズは、すべてEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMとエクステンダー1.4Xとなっています。

コカ・コーラコーナー立ち上がりのグッドスマイル 初音ミク AMG (EOS 90D撮影)

コカ・コーラコーナー立ち上がりのARTA NSX GT3(EOS R7撮影)

 定番の流し撮りと言えるマシンが、横向きの写真です。グッドスマイル 初音ミク AMGはEOS 9OD、ARTA NSX GT3はEOS R7で撮影しています。ここでは手振れ補正の状態を確認していただきたいのですが、EOS 90Dで撮影したものはレンズに搭載される手振れ補正を使用したもので、モードは縦ブレのみ補正し、横ブレは流し撮りのために補正しないようにしています。EOS R7もレンズの手振れ補正モードはEOS 90Dと同じ、ボディー内の手振れ補正は回転軸ブレ、水平回転軸ブレ、縦回転軸ブレに対応させています。その効果はてき面で、写真を拡大表示した場合のロゴの精細な描写やエンブレムの奥行きなどに効果が表れています。

コカ・コーラコーナー進入のENEOS X PRIME GR Supra(EOS 90D撮影)

コカ・コーラコーナー進入のau TOM'S GR Supra(EOS R7撮影)

 走り寄ってくるマシンを正面から捉える写真の場合は、フォーカス性能の違いが確認できます。ENEOS X PRIME GR SupraはEOS 90Dで撮影、au TOM'S GR SupraはEOS R7で撮影しています。EOS 90Dで撮影したものはエクステンダー1.4Xを使用しているために、フォーカスエリアが写真の高さに対して中央の三分の一のエリアとなっているので、フロントウィンドウに貼られたBOSCHのロゴにピントが合っています。EOS R7で撮影したものではフォーカスエリアが全域となるので、任意に設定したフォーカスポイントによりボンネットの先端にピントが合っています。

コカ・コーラコーナー進入のリアライズコーポレーション ADVAN Z(EOS 90D撮影)

コカ・コーラコーナー進入のリアライズコーポレーション ADVAN Z(EOS R7撮影)

 高速で迫ってくるマシンに、どれだけピントが追従しているかもご確認いただきましょう。ともにリアライズコーポレーション ADVAN Zの写真ですが、ノーズ先端の日産のロゴマークを見れば、EOS R7が正確にピントが追従していることがわかります。

最終パナソニックコーナーへ向かう、WedsSport ADVAN GR Supra(EOS 90D撮影)

 ここまでの両カメラの作例の差異は、拡大表示して目を皿のようにしてアラを探すことでやっとわかる程度とも言えますが、カメラから遠ざかる被写体に対しては両モデルで大きな差が生まれます。WedsSport ADVAN GR SupraはEOS 90Dで撮影、カルソニック IMPUL ZはEOS R7で撮影しています。EOS 90Dで撮影したものはフォーカスが追従しきれていない状態で、軽くピンボケしているといってもいい状態と言えます。それに対してEOS R7で撮影したものは完璧にフォーカスが追従しており、細部のロゴに至るまで美しく描写されています。

ダンロップコーナーを立ちあがるRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(90D撮影)

ダンロップコーナーを立ちあがるグッドスマイル 初音ミク AMG(R7撮影)

【まとめ】性能はEOS R7だが使い勝手はEOS 90Dに軍配

 EOS R7とEOS 90D。この両モデルを比較すれば、新しいEOS R7の方が性能が高いということは当然の結果と言えます。しかし、EOS 90DにはEOS R7に勝る点もあります。EOS 90Dではバッテリーグリップを装着でき、そのバッテリーグリップには2個の電池を搭載できます。電池の使用量はミラーレスよりも一眼レフの方が少ないため、そこに2個の電池を搭載できればサーキットでの走行写真、特にSUPER GTの決勝レースでの撮影では電池交換が不要になります。これがEOS R7だと電池が1個しか搭載できないうえに、EOS 90Dに比べて電池の消耗が大きいため、予備バッテリーを2個持ち歩いていないと決勝レースの前にカメラが終わってしまいます。

 そして一眼レフ機はファインダーをのぞいた状態で目に入る被写体はリアルタイムとなりますが、ミラーレス機の電子ビューファインダーは、撮像素子に届いた光を内部システムで処理してから表示するので、1000分の1秒単位で遅延が生じます。人物や風景を撮影する場合はその程度の遅延を気にすることはありませんが、走行写真を撮影する場合は高速で動くレーシングマシンに合わせてカメラを振るわけで、その際に「なんか変?」程度の違和感を覚えることがあります。これは慣れてしまえば問題のないことですが、直感で撮れる一眼レフ機にはこの違和感はありません。

 これらを踏まえて、この両モデルの価格差が3万円(キヤノンオンラインショップにて)と考えると、3250万画素のEOS 90Dはまだまだ使えるカメラなのでは? という気もしてきます。EOS R7は品薄どころか、今から注文してもギリギリ年内納品らしいので、中古市場ではプレミア価格で取引されていることも。そのため、安く買えるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。EOS 9ODであれば少ないながらも中古から探すこともできます。

 結局のところ、どちらを選ぶかは自分の好み(使い方)次第にはなりますが、納期を待てるのであれば、筆者としては新品のEOS R7をオススメします。

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