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日本の親子は「ネットいじめ」に対する危機感が薄い 気をつけるポイントは

2022年09月16日 09時00分更新

文● せきゅラボ編集部

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日本のネットいじめ発生率は低いが……

 マカフィーは、世界10ヵ国の親1万1687人とその子供を対象に、子どもが直面するネットいじめの現状を明らかにするため、「Cyberbullying in Plain Sight (見え隠れするネットいじめに関するグローバル調査)」を実施した。

 これは2022年6月に発表した、「McAfee Connected Family Study (ネット接続している家族に関するグローバル調査)」に続くものだ。

 調査結果で目を引くのが、日本の子供たちにおけるネットいじめ発生率が低いことだ。10ヵ国中もっとも低い、29%だった。世界平均の63%と比べると、報告されている被害件数はおよそ半分となっている。

 ただし、ネットいじめの発生場所として考えられる著名プラットフォーム(Webサービス)でのいじめ発生報告件数を調査した結果、Twitterだけは例外で、世界平均18%のところ、日本だけ38%と倍以上の数値になっている。日本では飛び抜けてTwitterでのネットいじめが多いということになる。

 また、ネットいじめの主な発生源としての調査対象は、Twitterのほか、Facebook、Instagram、WhatsApp、Facebook Messengerというサービスが並んでおり、日本の子どもにとっては、Instagram以外はあまり使わないサービスかもしれない。また、世界で調査したアンケートのため、「LINE」が入っていないことも考慮する必要があるだろう。

 また、6月の「ネット接続している家族に関するグローバル調査」の調査結果では、「SNSや掲示板への投稿が子どものいじめや虐待の原因になると思うかどうか」という問いに対しては、「原因になると思う」と答えた人間が日本は10ヵ国中もっとも少ないという結果になっている。

 ネットがいじめや虐待の原因になると思うと答えた割合がすくないことは、日本の親子は「ネットいじめ」に対する危機感が薄い、とも考えられる。ただ、同調査では、「サイバーいじめを経験したことがあるか」という問いについては世界平均が17%のところ、日本の子どもは6%にとどまっているため、そもそもいじめがきちんと可視化されているかを考慮したほうがよいだろう。

 以上のようなデータは、未成年の子どもを持つ、あるいはその年代の子どもと関わるなら、覚えておきたいところだ。多くの子どもが、スマートフォンを持ち、SNSを日常的に利用している時代。大人は、ネットいじめの問題の実情を、しっかり把握しておく必要があるだろう。

オープンなコミュニケーションをとれる環境を作りたい

 子どものネットいじめを防ぐために、あるいは、子どもがネットいじめに巻き込まれている(おそれがある)と知ったとき、我々には何ができるだろうか。

 先述の「ネット接続している家族に関するグローバル調査」によれば、日本の親は、子どものモバイルデバイスでセキュリティや安全性の対策を施すことが少ないという結果が出ている。たとえば、世界的な回答と比較すると、「保護者機能ソフトウェアの使用」は15%、「特定サイトへのアクセスの制限」は14%少ない。

 しかし、信頼のおけるセキュリティソフトをスマートフォンなどにインストールするだけで、問題がすべて解決するわけではない。

 まずは、子どもとのコミュニケーションが良好でなければ、デバイスにセキュリティソフトなどを導入できない。相手が納得していなければ、その気になれば機能の制限や、アンイストールなどをされる可能性もある。そもそも、ネットいじめを受けていることも把握しにくいだろう。

 そのため、オープンなコミュニケーションをとれる環境を作ることが大切になってくる。また、ネット上でリスクの伴う行動についても話し合っておこう。子どもたちがサイバーいじめなどの危険性を理解することは、「なぜ、セキュリティソフトが必要なのか」という理解にもつながるはずだ。

 ネットいじめは、オンライン上にいる子供なら誰にでも起こりうることでもある。一方、Twitterでのリツイートなど、他の人に便乗してからかうことも、ネットいじめにつながる可能性がある。これらの事情を、大人と子どもの両面が理解することが肝心だ。

 今回はネットいじめに関するグローバル調査の結果についての、マカフィーのプレスリリースを紹介する。(せきゅラボ)

※以下はマカフィーのプレスリリースからの転載となります。

マカフィー、ネットいじめに関するグローバル調査の結果を発表

マカフィー、ネットいじめに関するグローバル調査の結果を発表
子供たちはこれまで以上にネットいじめの危険性が高まる時代へ

マカフィー株式会社(本社:東京都渋谷区)は、世界10カ国の親11,687人とその子供を対象に、子どもが直面するネットいじめの現状を明らかにするため、「Cyberbullying in Plain Sight (見え隠れするネットいじめに関するグローバル調査)」を実施しました。

この調査は、接続された世界で家族の安全を守るという当社の取り組みをさらに補強しようとするものです。ネット接続している家族が安全な生活を送れるように、オンラインで危険にさらされる可能性がある行動に関する知識を提供し、消費者をサポートすることを目的としています。本調査によって、子供たちはこれまで以上にオンライン上での脅威に直面しているだけでなく、最も頻繁に利用するソーシャルメディアやメッセージプラットフォームにおいて標的になっていることを示す世界的な傾向が明らかになりました。調査の結果、ネットいじめの定義や考え方、行動などが、急速に変化していることが分かりました。

マカフィー 日本・アジア地域チャネルマーケティング本部長の青木大知は、次のように述べています。「友人や家族とのコミュニケーションから部活動の連絡、日々の勉強のお供としても、オンライン・ソーシャルは、学生たちにとって必須アイテムです。日本の子供たちは日々ネットを有用に使う一方、ネットいじめへの脅威にも向き合っていて、その59%がその脅威におびえている状況にあります。国、年齢や性別によって多少の違いはありますが、ネットいじめは、世界の子供たちにとって共通した問題です。その状況について大人、保護者が理解を深めること、子供と一緒に向き合うことの重要性について改めて考えていきたいと思います。」

McAfee Cyberbullying Report: ネットいじめの脅威は高まる傾向

本調査は、今年発表した「McAfee Connected Family Study (ネット接続している家族に関するグローバル調査)」に続くもので、子供のネットいじめは、現代の家族が直面している最大の脆弱性の一つであることが明らかになりました。日本の主な調査結果は以下の通りです。

日本の子供たちのネットいじめ発生率は、最も低い結果に

・日本の子供たちのネットいじめ発生率は 29% で、これは世界と比べ最も低い結果です。

世界平均の 63% と比べると、報告されている被害件数はその半分であり、世界トップのインド (85%) と比べると約三分の一となっています。

日本におけるネットいじめの報告件数は、すべてのプラットフォームで低い結果にとどまるが、唯一の例外は Twitter

・世界中でネットいじめの主な発生源と見られている Facebook, Instagram, WhatsApp, Facebook Messenger に関しては、日本の子供たちははるかに低い数値を報告しています。一例として、Facebook Messenger でのネットいじめは七分の一の数値を示しました (全世界で 28%、日本ではわずか 4%)。世界平均の 63% と比べると、報告されている被害件数はその半分であり、世界トップのインド (85%) と比べると約三分の一となっています。

・しかし、Twitter でネットいじめを受けたと答えた子供の数は、世界ではわずか 18% であるのに対し、日本の子供は 38% です。これは世界の 2 倍以上となっており、Twitter の数値は注目すべき値であることがわかります。

・上位のプラットフォームを並べて比較すると、日本と世界の子供たちの報告率は以下のようになっています。
  ○Twitter - 38% (日本)、18% (全世界)
  ○Facebook - 16% (日本)、49% (全世界)
  ○WhatsApp - 5% (日本)、38% (全世界)
  ○Instagram - 21% (日本)、36% (全世界)
  ○Facebook Messenger - 4% (日本)、28% (全世界)
  ※今回の調査対象には、LINEは含まれていません。

利用プラットフォームの違いはあるが、日本の子供たちは世界の子供たちと同じようにネットいじめを心配している

・日本では、ネットいじめの報告件数が並外れて少ないにもかかわらず、日本の子供の 59% が、今年は昨年よりもネットいじめに遭うことを心配していると回答しています。この数字は、世界平均の 59% とほぼ同じ結果となっています。

・ネットいじめを受けたと回答した子供のうち、その理由のトップ 3 は、友人に関するいじめ (29%)、容姿に関するいじめ (24%)、家や休暇などのライフスタイルに関するいじめ (15%) と報告されています。しかし、これらはまたもや国際平均に近いかそれ以下となりました。

性別および年齢別で見ると、日本の 15 - 16 歳の女子が最も心配していると回答している

・国際平均を上回っているのは 15 - 16 歳の女子の67% で、今年は昨年よりネットいじめに遭うことを心配していると回答しています。

・また同様に、61% が友人とネットいじめについて話すと回答しています。一方、日本の 10 — 18 歳の男子で同じように回答した割合は 46% にとどまりました。

・日本の子供たち全体の中でネットいじめを最も心配していないのは、17 — 18 歳の男子で 49% に過ぎず、これも国際平均を下回っています。

日本の子供たちはネットいじめについて親に最も正直に話している

・日本の子供たちは、親にオープンに打ち明けるという点では、他のどの国よりも優れています。ネットいじめを親に隠していると答えた子供は、日本ではわずか 9% であるのに対し、イギリスとフランスでは19%、カナダでは 20% となっています。

子供がネットいじめを受けていると分かったときの行動とは?

・専門家に相談しましょう。地域の適切な団体に連絡を取り、いじめが子どもに与える精神的影響に関する知識をつけましょう。
・オープンで正直なコミュニケーションをとれる家庭環境を作りましょう。子供たちに、こうした経験がネット上で起こりうることに理解を促し、必要な時には親としてサポートする姿勢を示すことが重要です。
・いじめを受けたときの家族の対策を考えましょう。残念ながら、ネットいじめはオンライン上にいる子供なら誰にでも起こりうることです。危険にさらされたネット生活を送る子どもたちに伝えられるような計画を家族で立てましょう。
・ネットいじめについて子供と一緒に学びましょう。他の人に便乗してからかったり、オンライン上に誰かの名前をさらしたりすることは、いじめの一種であると伝えてください。ネットいじめの定義は進化していることを理解する必要があります。
・ネットに接続した家族を守るために行動を起こしましょう。マカフィーセーフファミリーは、不適切なサイト、アプリ、コンテンツをブロックし、お子様が安全なネット生活を送るための保護者機能を設定することができます。

マカフィーは消費者に役立つ情報をブログで定期的に発信しております。安全なオンライン生活のためのヒントについては、ブログをご覧ください。

調査手法について
2022年7月、McAfee LLCは、ネット接続している家族の成員(個人および家族単位)に対して、ネットいじめに関する調査を実施しました。親と子を対象としたグローバル調査であり、子供には親と一緒に回答してもらいました。親と子を一緒に調査しましたが、親に先に回答してもらい、続いて同意を得たうえで子供に回答してもらいました。これは個人の集まりではなく、ネット接続している家族に対する調査の結果です。調査は、2022年6月15日〜7月5日に、世界10カ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、イギリス、アメリカ)の10歳から18歳の子供を持つ11,687人の親とその子供を対象として、MSI-ACIがオンラインアンケートで実施したものです。

フルレポート(英語)は、こちらよりダウンロードできます。

※本記事はアスキーとマカフィーのコラボレーションサイト「せきゅラボ」への掲載用に過去のMcAfee Blogの人気エントリーなどを編集して紹介する記事です。

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