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ASCII Power Review 第188回

バッテリーの持ちはさすがでした

Snapdragon搭載の最新WindowsノートPC「ThinkPad X13s」実機レビュー = 5GはもちろんSub6対応だ!

2022年09月13日 10時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 レノボはARM系プロセッサーを搭載した13型モバイルノートPC「ThinkPad X13s」(Gen1)を発売した。本製品は「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3」を搭載したクラムシェルスタイルのノートPCである。

 ARM版のWindows 11が搭載されており、エミュレーション機能により32bit(x86)アプリだけでなく、64bit(x64)アプリも利用可能となっている。

 またSnapdragonの低消費電力性を生かし、最大約31.2時間という非常に長いバッテリー駆動時間が謳われている。

レノボ「ThinkPad X13s」16万4109円~

ノートPCでおなじみのプロセッサーメーカーのシールが存在しない。Qualcommのシールがほしかった

ThinkPadシリーズで初めてサブ6+ミリ波の5G対応モデルを用意

 「ThinkPad X13s」はOSに「Windows 11 Home 64bit」/「Windows 11 Pro 64bit」、プロセッサーに「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3」を採用。メモリーは8GB/16GB/32GB(LPDDR4X)、ストレージは256GB/512GB/1TB SSD(PCIe Gen4)を搭載する。

 ユニークなのがディスプレーのラインナップ。サイズが13.3型、解像度がWUXGA(1920×1200ドット、アスペクト比が16:10、リフレッシュレートが60Hz、表面処理がアンチグレア(非光沢)という点は同じだが、IPS液晶(300cd/m²、100% sRGB)、IPS省電力液晶(400cd/m²、100% sRGB、ブルーライト軽減)、10点マルチタッチ対応IPS液晶(300cd/m²、72% NTSC)と3種類を用意。またウェブカメラも500万画素カメラ(MIPI)と500万画素&IRカメラの2種類から選択できる。

 スペック選定で悩ましいのがワイヤレスWAN。本製品にはWi-Fiモデル、5G Sub6モデル、5G Sub6+ミリ波モデルの3種類が用意されている。現在本製品には下記の3つの直販モデルがラインナップされている。

・Win11Home / RAM8GB / SSD256GB / WWANオプション / 指紋センサーなし
25万5310円
・Win11Pro / RAM16GB / SSD256GB / WWANオプション / 指紋センサーあり
28万610円
・Win11Pro / RAM16GB / SSD512GB / Sub6+ミリ波対応 / 指紋センサーあり
36万4540円

 これら以外のスペックは共通。インターフェースはUSB 3.2 Gen2 Type-C(ビデオ出力対応)×2、3.5mmコンボジャック×1を搭載。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2をサポートする。

 本体サイズは約298.7×206.4×13.4mm、重量は約1.06kgから。49.5Whの4セルリチウムイオンポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は約31.2時間(JEITA 2.0基準)と謳われている。

 ボディーの90%には再生マグネシウムが使われており、12項目の米軍調達基準に準拠しているとのこと。実際ボディーに軽く力を加えると、剛性の高さを感じ取れる。薄型、軽量に仕上げられているが、多少ラフに扱ってもめげない堅牢性を備えている。

ボディーの90%には再生マグネシウムを使用。カラーは「サンダーブラック」の1色のみ

底面はフラット。ファンレス使用で放熱口はない。中央にある小さな穴は「緊急用リセット・ホール」だ

ディスプレーはIPS液晶、IPS省電力液晶、10点マルチタッチ対応IPS液晶の3種類を用意

キーボードは6列、88キーの日本語配列。英語配列も選択できる。入力デバイスとしてはTrackPoint、ThinkPadクリックパッドが搭載されている

本体前面(上)と本体背面(下)。ウェブカメラ周りがせり出していて、ディスプレーを開けやすい

右側面(上)には3.5mmコンボジャック、SIMカードトレイ、セキュリティーロックスロット、左側面にはUSB 3.2 Gen2 Type-C(ビデオ出力対応)×2が配置

SIMカードトレイはnanoSIMサイズ。抜き差しにはSIM取り出しピンが必要となる

ディスプレーは最大137度まで展開可能。ThinkPadシリーズで180度開けないのは珍しい

パッケージには、本体、ACアダプター、電源ケーブル、説明書類が同梱

ACアダプターのコード長は実測180cm、電源ケーブルの長さは実測90cm

ACアダプターの型番は「ADLX45YDC2D」。仕様は入力100-240V~1.2A、出力20V 2.25A、15V 3A、9V 2A、5V 2A、容量45W

本体の実測重量は1110.5g

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測254.5g

入力デバイスはさすがThinkPadクオリティ
ディスプレーの輝度・発色も良好

 「ThinkPad X13s」のキーボードは、キーピッチは実測18.5mm前後、キーストロークは実測1.4mm前後。

 ThinkPad X1シリーズよりやや狭く、わずかに浅いが、実際にタイピングしているとそんなことは忘れてしまうほどフィーリングがいい。ThinkPadクリックパッドのクリック感も良好だ。フルスピードでテキスト入力できるし、繊細なクリエイティブワーク以外ではマウスも必要としない。極上の入力デバイスと太鼓判を押せる。

キーピッチは実測18.5mm前後

キーストロークは実測1.4mm前後

キーボードバックライトは明るさを2段階で調節可能

ThinkPadクリックパッドの面積は実測115×57mm

指紋認証センサーの有無は選択可能。プラス1100円で搭載できる

 ディスプレーの色域については、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」用のアプリ「i1Profiler」が動作しなかったため計測できなかった。しかし、少なくとも室内灯下では十分な明るさを備え、発色にも特に癖はない。表面処理が非光沢(アンチグレア)なので照明の映り込みも気にならない。

 低価格、省電力、マルチタッチ対応のどれを重視するかによって、どの液晶パネルを選択するか検討してほしい。個人的に購入するなら、利便性を重視したマルチタッチ対応液晶パネルを選択する。

色域を計測できなかったが、一般的な用途であれば実用上十分な輝度、発色を備えている

カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」用アプリ「i1Profiler」は、「XRiteDevice.dllが見つからないため、コードの実行を続行できません」というエラーメッセージが表示されて起動しなかった

 試用機には、ウェブカメラに500万画素&IRカメラが搭載されていた。Windows 11の「カメラ」アプリで、HDRオフ、「HDR on」、「HDR pro」で撮影してみたところ、かなり補正が強めにかかっており、「HDR on」では赤味が強く、「HDR pro」ではややのっぺりとした印象を受けた。解像感はHDRオフが最も高く、発色もナチュラル。ウェブ会議アプリを利用する際にも、さまざまな画質設定を試すことをお勧めする。室内灯の色温度でも結果は変わってくるはずだ。

試用機には500万画素&IRカメラが搭載されていた。プライバシーシャッターは電子式だ

Windows 11の「カメラ」アプリで、HDRオフ、「HDR on」、「HDR pro」で撮影した写真を並べてみた。発色は「HDR pro」が好ましいが、ややのっぺりとした印象を受ける

速度計測では、「Snapdragon 8cx Gen2」の約2倍のハイ・スコアを記録!!
バッテリーも実用レベルで13時間動作

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。CPU性能については、ネイティブで動作する「Geekbench 5.4.5」で計測してみたが、Multi-Core Scoreは5898、Single-Core Scoreは1123となった。

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