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量子コンに最適な量子演算シーケンスを体系的に特定する新手法

2022年09月08日 09時27分更新

文● MIT Technology Review Japan

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情報通信研究機構(NICT)、慶應義塾大学、東京理科大学、東京大学の共同研究チームは、量子コンピューターに最適な量子演算シーケンスを体系的に見つける手法の開発に成功した。数十キュービット(量子ビット)程度の中規模量子コンピューターのパフォーマンス向上や環境負荷低減につながる成果である。

情報通信研究機構(NICT)、慶應義塾大学、東京理科大学、東京大学の共同研究チームは、量子コンピューターに最適な量子演算シーケンスを体系的に見つける手法の開発に成功した。数十キュービット(量子ビット)程度の中規模量子コンピューターのパフォーマンス向上や環境負荷低減につながる成果である。 量子演算シーケンスは、人間が理解できる言語で記述されたコンピューター・プログラムを、量子コンピューターが情報処理できるように変換したもの。1量子ビット演算と2量子ビット演算から成り立っており、最も少ない操作数で、高いパフォーマンスを発揮するシーケンスが最適なシーケンスとなる。 研究チームが今回開発した手法は、数値最適制御理論アルゴリズムである「GRAPE(GRadient Ascent Pulse Engineering)」を使用して、基本的な量子演算の全ての可能なシーケンスを分析するというもの。量子ビットの数と調査対象の操作の数に応じ、数千から数百万の範囲の中から、蓄積されたデータに基づいて最適な量子演算シーケンスを体系的に特定できる。 量子コンピューターがタスクを実行するには、量子演算シーケンスを書く必要がある。従来は、コンピューターの操作者がそれぞれ、既存の方法に基づいて独自のやり方で、最適だと思われる量子演算シーケンスを書いていた。今回の手法により、考えられる全ての量子演算シーケンスの中から体系的に、理論的に最適なものを特定することが可能となる。 研究成果は、米国の科学雑誌フィジカルレビューA(Physical Review A)に、2022年8月23日付けで掲載された

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