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クエーサーの明るさ変動に特性を発見、輝線の強さと関連=京大

2022年09月05日 16時16分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学の研究チームは、クエーサー(遠方で強い光を発している銀河中心)の明るさの時間変動が、天体が発する特定の輝線(発光元素に特有の波長を持つ光)の強さと関係していることを明らかにした。

京都大学の研究チームは、クエーサー(遠方で強い光を発している銀河中心)の明るさの時間変動が、天体が発する特定の輝線(発光元素に特有の波長を持つ光)の強さと関係していることを明らかにした。 研究チームは今回、全天の25%以上を対象とした観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(Sloan Digital Sky Survey)」で得られた観測データから、明るさの変動が大きい約1万天体のスペクトルを用いた大規模な解析を実施。輝線の強度と明るさの変動との関係性を調べた。その結果、ある時点での酸素輝線の強度と鉄輝線に対する強度比が、後の明るさの変化量を決める重要な要素であることを発見。さらに、その輝線強度や明るさが、長期的には一定の相関関係を保ちながら変化していることを明らかにした。 研究チームによると、この結果は、クエーサーのランダムな変動がスペクトルから予測できる可能性を示すと同時に、クエーサーの大規模な変動が平均的な明るさを中心とした振動現象であることを示唆しているという。スペクトルにはその天体の典型的な明るさの情報が含まれていると考えられるため、銀河中心の超巨大ブラックホール(太陽の100万倍以上の質量のブラックホール)の成長過程を知るうえで、重要な考察を与えることが期待される。 クエーサーの明るさはランダムに変動することが観測的に知られていたが、その規則性は未解明であった。今回の研究成果は、2022年8月30日に日本天文学会の欧文学術誌である日本天文学会欧文研究報告 (Publication of the Astronomical Society of Japan)にオンライン掲載された。

(中條)

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