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マーケットリーダーが語るコロナ禍とサブスクの関係

サブスク企業はコロナ禍でも影響回避? 成功するコツをZuora創業者が伝授

2022年09月05日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集●大谷イビサ

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――サブスクが成長している業界、地域などトレンドはありますか?

ツォ氏:地域については、米国、日本、欧州など地域に関係なく成長している。

業界も幅広いが、特に成長しているのが、テクノロジー、ビデオやニュースなどのメディア、製造だ。製造はIoTにより製品がインターネットに接続するようになり、デジタルサービスを提供できるようになった。新しい大きな収益源として期待されている。

これらに加えて、財務サービス、小売業、エネルギー領域などでも需要が出始めている。

――これまで製品を売っていた従来型の企業もサブスク企業として成功できるのでしょうか?

ツォ氏:4年前に「Subscribed」(邦題「サブスクリプション」)を出版した。サブスクで成功している企業をまとめ、どのように業界を変革しているのかなどを分析し、既存企業にインスピレーションを与えたいと思って執筆した。この本は、アメリカに次いで日本でよく読まれており、日本企業の関心は高いといえる。

一方で、企業は変革に支援を必要としていることから、サブスクライブ戦略グループを立ち上げた。次の4つのフェイズで企業がサブスクモデルに移行するのを支援している。

最初のフェーズが「ローンチ」で、まずは事業を立ち上げることだ。ローンチ後にサブスク顧客が増えてきたら、学んだことを活かして改善する「最適化」のフェーズとなる。メディア企業なら最初1種類の価格体系でスタートし、このフェイズで複数の料金体系を用意することが考えられる。

われわれの顧客であるiRobotの場合、当初はサプライ品をサブスクで提供していたが、iRobotそのものをサブスクで提供してほしいと言う声があり、「iRobot Select」としてiRobotを含むプランを用意した。

――当初はサプライ品だけでしたが、本体自体もサブスクになったわけですね。

ツォ氏:3フェイズ目が「規模拡大」、そして「成長を維持」となる。最後のフェイズでは、サブスク事業が軌道に乗ってきた後、エコシステムを構築して自社の領域でリーダー企業になるための支援をする。

4つのフェーズ

企業の多くがいきなり最後のフェーズに進もうとするが、そこまでのフェーズが重要だ。そこで、各フェイズで必要な能力や目標設定などを行い、学びながら進めていくようにしている。

――サブスクで成功している企業に共通点はありますか?

ツォ氏:伝統的な企業は、営業、研究開発、財務などの部門がサイロ化されていて、連携が難しい。そこで、ローンチフェイズで部門をまたいだ小規模なチームを作ることを推奨している。というのも、ある部門がローンチしても、営業をどうするのか、財務モデルをどうするのかという問題にぶつかり、スムーズに進まないからだ。

小さく初めることはポイントの1つ。スタートアップのように振る舞うチームを作ってローンチする。規模拡大フェイズで大企業に戻ることができる。

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