このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

ビジネス/開発/運用のサイロ化を防ぐ、イノベーションと信頼性を両立させる

SREとは? Google Cloudがその基本を説明、JCBも導入/実践経験を紹介

2022年08月30日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 グーグル・クラウド・ジャパン(Google Cloud)は2022年8月29日、グーグルが提唱する「SRE(Site Reliability Engineering、サイト信頼性エンジニアリング)」に関する記者説明会を開催した。グーグルからSREの基本な考え方が説明されたほか、ゲストとして実際にSREチームを組成しているジェーシービー(JCB)も出席し、SRE導入と実践の経験を紹介した。

Google CloudからSREという手法、考え方の基本を紹介

グーグル シニアデベロッパーリレーションズ エンジニアの山口能迪氏、ゲスト出席したジェーシービー システム本部 デジタルソリューション開発部 DXテックグループ 主査の笹野真平氏

SREとは? システム運用チームとSREチームとはどう違うのか?

 グーグル シニアデベロッパーリレーションズ エンジニアの山口能迪氏はまず、SREとは「本番システムを信頼性高く開発/運用するための一連のプラクティスと心構え、および職務を指す」言葉だと説明する。現在のような変化の多い時代においては、頻繁なサービス開発/リリースや、ユーザーニーズの変動に応じた急なスケール変更などが求められる。ただし、それらはすべてサービスの信頼性に大きな影響を及ぼす。そこで、信頼性を確保しながら運用していくSREの考え方、取り組みが必要となっている。

 上述したSREの定義に、運用だけでなく「開発」という言葉も含まれている点は非常に重要だ。

 一般に、開発チーム側が新しい機能やサービスをなるべく早くリリースしたいと考える一方で、運用チーム側はリスクを嫌ってなるべくリリースのスピードを下げようと考える。それぞれ異なる動機(インセンティブ)を持つために協調的な働き方が難しく、チーム間の分断=サイロ化も生じてしまう。SREはこうした分断の“壁”を取り払うためにも重要であり、その考え方や取り組みは運用チームだけでなく開発チームでも(さらには開発チームに新製品開発を要求するビジネスチームでも)共有しておくべきものとなる。

 チーム間のサイロ化、壁を解消することを目的として、ビジネスチーム/開発チーム間では「アジャイル」、また開発チーム/運用チーム間では「DevOps」という概念も提唱されてきた。山口氏は「DevOpsはグーグル社内でSREが提唱されたのと同時期に広まった」と述べ、両者の違いを「DevOpsはチーム間の壁を取り除くための文化的なプラクティス(経験則)やガイドライン、SREはそれを実践するための具体的な方法と職務」だと定義する。

ビジネス/開発/運用のチーム間の“壁”は、チーム間の協調を阻害して開発スピードの低下を招く。それを軽減すべく「アジャイル」「DevOps」といった概念が提唱されてきた

DevOpsとSREの関係。山口氏は、DevOpsの概念を具体的に実装したものがSREだと定義する

 SREでは意思決定にデータを活用し、運用をソフトウェアエンジニアリングの問題として扱う。そのため、ソフトウェア開発のスキルを持つ人材が携わり運用の自動化を進めること、システムそのものも開発完了後に改修するのではなく、初めから信頼性が高くなるように設計を行うことが必要となる。SREチームはこうした役割も担うことになる。

 「簡単に言うと、SREチームはソフトウェアを書いて、システムをスケールして、信頼性が高く効果的なかたちで設計する、ということになる。したがって、SREチームには『人間(人材)』『哲学とマインドセット』『エンジニアリングの実践とツール』という3つすべてが必要になる」(山口氏)

SREチームが果たす具体的な役割

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

  2. 2位

    ビジネス・開発

    富士ソフトがエンジニア1万人超を「AIネイティブ」化 実装力を武器にフィジカルAIなど3本柱に注力

  3. 3位

    ITトピック

    IT技術者の8割超「AI生成コードには人間のレビューが必要」/「偽・誤情報を見破れる」と自信を持つ人はICTリテラシーテストの正答率が低い、ほか

  4. 4位

    sponsored

    「現場に行くのが当たり前」を変えたアズビルのリモート調整 効果はプライスレス

  5. 5位

    TECH

    攻撃するAIと防御するAI 日本企業のセキュリティ対策にいま何が必要か?

  6. 6位

    デジタル

    東京タワー相当の紙を“完全撤廃” 点検業務をkintone化した“現場ファースト”な改善術

  7. 7位

    ITトピック

    実用化が楽しみすぎるスマート技術たち 「長距離ワイヤレス給電」から「室内向け太陽電池」「超音波センサー」まで

  8. 8位

    TECH

    パンや酒、チョコづくりにも関わる微生物「酵母」の進化を追求

  9. 9位

    デジタル

    IoTデバイスをサイバー攻撃から守る IoT向けゼロトラストの“3つのアプローチ”

  10. 10位

    ITトピック

    6割超の企業で「セキュリティは取引条件」 SCS対応も進む/パワハラと指導の違い、あなたの基準は?/AIへの危機感か 転職希望のIT人材が増加、ほか

集計期間:
2026年07月22日~2026年07月28日
  • 角川アスキー総合研究所