
きりっとした顔の黒猫の顔をアップで。健康的でしっかりした顔が凛々しい。レンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」で、望遠端で撮影。2022年8月 OMデジタルソリューションズ OM SYSTEM OM-1
前回、猫たちと出会った、とある神社の話をした際、今度晴れた日に再訪しようと書いたのだけれど、さっそく行っちゃったのである。曇った日に。晴れてないじゃん。
しかも、時刻は14時くらい。夏の地域猫は、人目につかない涼しい場所を探して昼寝してる時間だ。でも、世の中には諸般の事情というものがあり、そういう時間になっちゃったのである。
でも、せっかく近くに来たのだから立ち寄ってみようと鳥居の前で一礼して境内に入ると、蝉の声と湿気だけがただよってて、人の気配も猫の気配もない。まあしょうがないよねと散策してると、大黒天の隣にちょこんと座ってるチャシロを発見。
ほかにはいなさそうだし、お昼寝タイムのじゃまをしてもいけないなと別の鳥居から外へ出ると、ご近所のおばさま方が3名ほど井戸端会議(って言い方、最近聞かないよな)をしてたのだが、その足元には猫がいたのだ。
彼女らは、どうやら猫を囲んで猫談議。皆さん、ここいらの猫とはなじみのようで、声をかけてみる。こちらは首からカメラをぶら下げたよそ者なので、怪しい人と思われないよう一声掛けるのは基本。
すると、このあたりの猫の様子や、それぞれの猫の名前も教えてくれる。
よく見ると、猫は3匹くらいうろうろしてる。カメラを構えようとすると、「この子は誰にでもなつくから大丈夫よ」と、しゃがんで猫をごろんと転がしてなで始めるではないか。無防備にお腹を出して気持ちよさそうになでられてるので、私も人差し指でちょいとご相伴。
こういうときに取り出すのはiPhone。目の前にちょこんと現れた猫をぱっと撮るには、カメラが小さければ小さいほどいいのだけど、今日持っているのはOM-1に12-100mm F4.0というそこそこ目立つカメラなので、とっさに構えるには向かない。猫は不意の動きに敏感なので、近くにいるときは目立たないほうがいいのだ。さっと取り出せる小さくて軽いカメラ(例えば、RICOH GR IIIとか)を持ってるなら別だけど、そうじゃないならスマホがいちばんいい。

左手で人差し指を差し出しつつ、右手でiPhone 13 Proを構えて撮影。今のiPhoneは、おおむね猫を見つけるとそれにピントを合わせてくれるのでありがたい。2022年8月 アップル iPhone 13 Pro
おもしろいことに、一度猫たちと出会うと流れが大きく変わるもので、道路脇に集まってきた猫たちも三々五々境内に入っていき、さらに、おなじみらしい別の方も境内にやってきて、さっきまで閑散としてた境内が一気に賑やかになったのである。
あとはもう、カメラを持ってのんびりと猫の様子を楽しむだけ。2匹並んで境内の外を眺める様子を愛でたり。
用意されている水は無視して、石の窪みにたまった雨水を飲んだり。
そして、黒猫は人を怖れない。しゃがんで、ほかの猫をねらってたら、いきなりとことことやってきて、私の背中をぐるっと回ってすぐ横に来たので、なでようと手を伸ばしたらひょいと飛び退き、そのまま去るのかと思いきや、いきなり毛繕いを始めたのだった。
そういう姿が、また猫っぽくていい。で、毛繕いする場所が近すぎたので、再びiPhoneの出番。右手で逆さに持ち、ちょっとローアングルで撮ったのであった。

目の前で毛繕いを始めた黒猫。iPhoneを逆さに持って片手でさくっと、ほぼ画面は見ないで勘で撮影。iPhoneのカメラはタイミングを取りやすくていい。2022年8月 アップル iPhone 13 Pro
この黒猫の顔のアップが冒頭写真。程良い距離まで近寄れたので、顔のアップをねらってみた。健康そうで何よりである。
かくして、ミラーレス一眼とスマホの二刀流は「最強」なのだった。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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