時価純資産、上がるも下がるもAlibabaの影響
会計上では、第1四半期業績として、日本の上場企業ではかつてない大規模な赤字を計上したソフトバンクグループだが、孫会長兼社長が重視している指標は、NAV(Net Asset Value、時価純資産)と、LTV(Loan to Value、保有株式に占める純負債)であり、その観点からは違う見方できると説明する。
NAVでは、ドルベースでみると、3カ月で160億ドル減少し、1350億ドルとなったが、これを円ベースで見ると、3カ月前も、6月末時点も18兆5000億円と横ばいとなる。「NAVは円ベースでは減っていない。為替影響も、プラスで2兆2000億円の効果が出ている。NAVでは為替に助けられている」とする。
とはいえ、NAVはピーク時から約10兆円減少している。ここでは、Alibabaの時価資産が3分の1にまで下落していることが影響。「NAVが上がるのも、下がるのもAlibabaの影響である」とする。今後のAlibabaの位置づけが注目される。
また、「唯一、良かった要素」としたのが、LTVが改善した点である。ソフトバンクグループでは、内部財務規律として、LTVが25%未満になるように運営しているが、2022年6月末時点では、14.5%へと大きく改善した。
「LTVは、自らがコントロールできる部分である」とし、「ソフトバンクグループは、半年以上前から守りに入ることを宣言し、純負債を大きく減らすことができた。また、今後2年分の償還財源を手元現金として積み上げることを目指しており、いまは、その2倍を持っている。守りはしっかりと固めている」と自信をみせた。
この連載の記事
-
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの - この連載の一覧へ