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「医師の働き方改革」にも役立つ

医師が語る! 医療現場でのコミュニケーションツールの活用と定着のポイント

2022年09月29日 09時00分更新

文● 指田昌夫 編集●MOVIEW 清水

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親しみやすいインターフェイスで反対者はゼロ

 大森氏は、LINE WORKSの導入に際して、使い始めてからも評判が良く、部内で反対勢力はいなかったと語る。「別のツールを4年間使っていた土壌が大きかったと思っている。また、LINEを使ったことがある人には馴染みがあるインターフェイスのおかげで、抵抗なく始められた」

診療スタッフどうしの業務連絡だけでなく、例えば論文の情報を紹介し合うなど、職員の知識向上にも活用されている。LINEに近いUIの他、こうしたやりとりが、時間が経っても検索しやすいのが、LINE WORKSのいいところだと大森氏は語る。

UIがLINEに近く、使いやすい

無料プランでアカウント管理が可能

 さらに、管理者機能が無料プランでも使える点も、LINE WORKSのメリットだと語る。管理者はアカウントの作成や修正、削除が可能で、デバイスの紛失時にアカウントを停止させることもできる。「今のところ、スタッフの端末はBYOD(Bring Your Own Device:私物スマホの業務利用)で運用しているため、管理者機能が使えることはとても重要」(大森氏)

 メンバーの招待は、当初は管理者がアカウントを発行してログインを依頼していたが、現在は、招待用のメールを送り、自身でアカウントを作成しメンバーとして加入してもらう形に変更した。また、緩和ケア科では外部からの研修医も受け入れており、院外のスタッフとの情報共有にもLINE WORKSを活用している。研修医が新規で参加する際も、招待用のQRコードを発行し、研修医自身がアカウントを作成している。年度が終わって不要になったアカウントは、管理者が1年に一度確認して削除する。

 「事前に告知をすると、勤務開始の前日までにほとんどのメンバーが登録してログインしてくれる」(大森氏)

無料プランでもアカウントの作成や削除ができる管理者機能

 ログイン後は管理者に通知が届くので、大森氏は、最初にログインしてくれたお礼とスタンプを押して返信することにしている。「事務的な連絡に終始すると、本当にほしい情報が得られなくなる。トークへの書き込みのハードルを下げて、心理的安全性の担保を意識する必要がある」

 管理者ツールの使い方については部門内で共有。管理ノウハウを個人の頭の中にとどめず、形式知として共有することを心がけた。また、運用をルール化し限られたスタッフには管理権限を与え、タスクシェアをしている。

残業時間削減につながる医師の勤務状況の見える化

 他の医師の空きスケジュールが確認できるカレンダー機能も使いやすく好評である。

 緩和ケア科では残業時間が問題になっており、それを1人あたり月間20時間以内に抑えることが目標だった。そこで働き方改革の専門家の書籍などを参考に、チームメンバーが各自の出勤時にその日のスケジュールを書き出し、退勤時にそれが実行できたかを共有する取り組みを開始した。これによってスタッフの残業時間を減らすことに成功したものの、分単位のスケジュールをテキストベースで入力、共有していたためにメンバーの負担が大きく、共有された情報も非常に見づらいものだった。

 この問題を解決するために、LINE WORKSのカレンダー機能を活用し、予定を入力している。「医師ごとに当日の予定が一目でわかるため、新規の依頼は手の空いている医師に対して声をかけることができる」(大森氏)。ミーティングの予定確認や参加者への通知も1画面で行えるため、使い勝手がいい。

勤務状況を一度に把握できるカレンダー機能が好評

非常時シミュレーションで混乱を事前に対策

 緩和ケア科では、チームメンバー内でコロナの陽性者が発生した際、LINE WORKSでどのように対応するかのシミュレーションを実施した。「感染予防の対策はもちろん必要だが、もしも感染者が出たときに業務を維持するためにどう対応するのかを訓練しておくことも非常に重要」と大森氏は言う。

 訓練は、各チームから発熱者が出て、そのうちの1人が陽性と診断されたという設定からスタートした。連絡は全てLINE WORKSのみで行ない、30分以内にチームでの対応を決め、それを全体共有グループに報告するルールとした。

 結果は、事前の想定以上に混乱が起きたという。「メンバー間で、濃厚接触者の判定基準の解釈に違いがあった。また、上司に何を報告したらいいのかが定まっておらず、過剰に報告されていた。さらに、陽性者の医師が担当していた患者さんの割り振りを、誰が決めるかも明確でないなどの問題が多数噴出した」(大森氏)

 大森氏は、こうした問題が事前にわかってよかったと言う。例えば院内の職務規程は、イントラネットからしか閲覧ができず、外部からアクセスができなかった。そのためコロナ時に確認ができず、混乱を助長した。

 訓練の結果を踏まえ、緩和ケア科では対策としてLINE WORKSの掲示板を活用することになった。発熱時や家族がコロナのときに見る掲示板を作り、対応フローとともに、病院のイントラネットでしか見ることができなかった職務規程を転載した。さらに、これらの情報で緊急時に確認すべき重要な部分は色分けして、不安なときにもすぐに対処の仕方がわかるようにした。

LINE WORKS掲示板を活用し、外部から必要な情報を見られるようにしている

 通常業務の効率化だけでなく、非常時のBCP対応にもLINE WORKSの活用が進んでいる。2024年4月に施行される医師の働き方改革にむけて、医師の業務効率化・働き方を変え、能力を最大限に発揮できる仕組みの構築にコミュニケーションツールの活用は大きく貢献するだろう。


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