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北大と塩野義、下水中の新型コロナ高感度検出技術を開発

2022年08月10日 17時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学と塩野義製薬は共同で、下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの高感度検出技術を開発。「EPISENS-S法」として論文で公開し、同手法により測定した下水中ウイルス濃度が新規報告感染者数と連動することを実証した。

北海道大学と塩野義製薬は共同で、下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの高感度検出技術を開発。「EPISENS-S法」として論文で公開し、同手法により測定した下水中ウイルス濃度が新規報告感染者数と連動することを実証した。 EPISENS-S法は、下水試料を遠心分離して得られた固形物の沈渣から、市販のキットを用いてRNAを抽出。逆転写・前増幅反応後に定量PCRにより試料中のウイルスRNA濃度を測定する手法である。迅速で費用対効果が高い、特別な機器を必要としない、検出感度が高いなどの特徴があり、日常的な下水疫学調査に適した手法だという。 同手法を使用して札幌市の2カ所の下水処理場における流入下水中の新型コロナウイルスRNA濃度の長期定量調査を実施したところ、正規化した下水中新型コロナウイルスRNA濃度の変動は札幌市内の感染者数の増減と概ね合致。さらに、同濃度と感染者数との間には高い相関が認められ、下水中のウイルス濃度測定により地域の感染動向を把握できることが示された。 下水疫学調査は、不顕性感染者や軽症者も含めた集団レベルでの新型コロナウイルスの感染状況を効率よく把握するツールとして活用が期待されている。北海道大学と塩野義製薬は2020年10月から下水疫学調査の実用化に向けた共同研究を実施しており、今回の手法は、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村で実施した下水疫学調査にも使用された。 研究成果は、サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロンメンント(Science of the Total Environment)誌に2022年8月8日付けでオンライン掲載された

(中條)

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