このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

誕生から約4年「Galaxy Z Fold4」まで折りたたみスマホの進化を振り返る

2022年08月11日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 サムスン電子が8月10日に発表した「Galaxy Z Fold4」は、サムスンの4世代目となる折りたたみスマートフォンである。ハイスペックなSoCに、隙間を減らしたフォルダブル構造、5000万画素カメラを搭載し、スタイラス「Sペン」による手書き対応と、Galaxy Z Fold4は折りたたみスマートフォンとしての完成度を高めた。

 しかし、ほかのメーカーもサムスンに追いつき追い抜こうと折りたたみスマートフォンへの参入を本格化している。Galaxy Z Fold4登場までの歴史と進化を振り返ってみよう。

2018年、世界初の折りたたみは
サムスンではなかった!

 サムスンの折りたたみスマートフォン開発の歴史は長い。同社がコンセプトビデオを発表したのは2014年と今から8年も前にさかのぼる。その後しばらくの間は製品のうわさ話が出てくる程度だったが、2018年に入ると「いよいよサムスンが発表か」と期待が日増しに高まっていった。同年9月にサムスンは11月7~8日にサンフランシスコで「Samsung Developper Conference 2018(SDC18)」を開催するとアナウンスを行ない、その場で折りたたみスマートフォンが出ることが確実視された。

 ところがSDC18のわずか数日前の11月1日、中国のディスプレー関連ベンチャー「Royole」が世界初の折りたたみスマートフォン「FlexPai」を発表、サムスンに先駆けて製品をリリースしたことで大きな注目を集めた。サムスンとしてもまさか伏兵が自社より先に発表するとは思ってもいなかっただろう。FlexPaiは7.8型(1920×1440ドット)のディスプレーを搭載、カメラは2000万画素+1600万画素、チップセットはSnapdragon 855を採用。夢にまで見たディスプレーを曲げることのできる世界初の折りたたみスマートフォンがついに登場したのだ。

Royole FlexPai:世界初の折りたたみスマートフォン

 サムスンは予定通り(?)に、SDC18で折りたたみスマートフォンをチラ見せし、2019年に製品化することを明言した。このように2018年は折りたたみスマートフォン誕生の「元年」となったのだ。

サムスンvsファーウェイは
折りたたみ構造の「山か谷か」競争へ

 SDC18から3ヵ月後の2019年2月20日、サムスンはサンフランシスコで開催した「Galaxy Unpacked 2019」で「Galaxy Fold」を発表した。ディスプレーは7.3型で解像度は2152×1536ドット、内側に折りたたむ「谷型」構造のため、閉じたときに使う4.6型(1680×720ドット)のカバーディスプレーも搭載した。チップセットはSnapdragon 855だが5G対応は韓国など一部にとどまり、多くの国では4G版が投入された。メインカメラは1200万画素を搭載。発表は2019年夏予定、だが発表会では実機は外観だけを見せるにとどまった。

Samsung Galaxy Fold:コンセプトから5年越しで折りたたみスマートフォンが登場

 サムスンとしては製品の市販直前に発表会を開催したかったのだろうが、悠長に発表を後回しにする余裕はなかった。それはファーウェイがサムスンの発表のすぐ直後、2月24日に折りたたみスマートフォン「HUAWEI Mate X」を発表したからだ。HUAWEI Mate Xは8型(2480×2220ドット)ディスプレーを搭載し、チップセットはKirin 990 5G。メインカメラは5000万画素を搭載した。

 HUAWEI Mate XはGalaxy Foldより大画面かつ高性能カメラを搭載し、5Gモデルのみ投入と性能面で大きく勝った。しかもそれだけではなく、FlexPai同様にディスプレーを外側に折りたたむ「山型」構造を採用したのだ。

 折りたたみスマートフォン登場の黎明期はどちらの方向に折りたたむ構造が使いやすいか、まだ誰もが判断できない状況だった。サムスンとファーウェイという2大メーカーの折りたたみスマートフォンの競争は、「山か谷か」というフォームファクターの優位性の争いでもあった。

HUAWEI Mate X:サムスンを追いかけるように高スペックで登場

 さてサムスンは2019年夏前にGalaxy Foldを発売予定だったが、4月にサンプル出荷したモデルではフォルダブルディスプレーの構造に弱さが見つかり、発売は大幅に延期され9月となった。一方のファーウェイも発売予定を夏→9月→11月とずらし、何とか年内に市場への投入を間に合わせた。やはりフォルダブルディスプレーの製品化は特に強度の面で難しく、大手メーカーといえどもいきなり生みの苦しみを味わったのだ。

2020年:サムスンが欠点を大幅に改良

 2020年に入るとファーウェイは2月に「HUAWEI Mate Xs」を発表したが、前年のHUAWEI Mate Xのチップセットを変更し、ヒンジのホコリ混入防止などマイナーチェンジを施したモデルだった。Galaxy Fold同様に、ヒンジ部分のディスプレーの隙間から異物が入るトラブルは、折りたたみ型の大きな弱点だった。なお、HUAWEI Mate Xは中国国内のみ発売だったが、HUAWEI Mate Xsはヨーロッパなどグローバル展開も行なわれた。

 一方、サムスンは同じ2月に縦折り式の「Galaxy Z Flip」を発表。横開き式のFoldモデルの新製品は8月に「Galaxy Z Fold2 5G」をリリースした。初代Galaxy Foldはディスプレーの内側にカメラを搭載したことでディスプレーの一部に食い込むノッチ型形状だったが、Galaxy Z Fold2 5Gではパンチホール式として無駄なエリアをなくした。また、フォルダブルディスプレーの最大の欠点である表面層の弱さ対策として、保護フィルムではなくガラス素材のUTG(Ultra Thing Glass)を採用。爪がちょっと当たっただけでディスプレー表面に傷がつく心配もなくなった。

Samsung Galaxy Z Fold2 5G:UTGでディスプレーを多い強度を高めた

 Galaxy Z Fold2 5Gは7.6型(2208×1768ドット)ディスプレーを搭載、またカバーディスプレーは6.23型(2260×816ドット)となりGalaxy Foldより大型化され、閉じた状態でもスマートフォンとしての使い勝手が高まった。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン