まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第76回
〈前編〉アニメの門DUO キャラクター・データバンク陸川和男社長が語る
プロが語る「コロナ禍のアニメとキャラクタービジネス」
2022年08月26日 18時00分更新
国内唯一の「キャラクターに特化」したマーケティング会社
今回は株式会社キャラクター・データバンク代表取締役社長の陸川和男さんをお迎えして、「コロナ禍はキャラクタービジネスをどう変えたのか」について語っていただいた。
◆
まつもと まずは陸川さんのプロフィールと会社のご紹介をいただければと思います。会社概要には「国内唯一のキャラクター・マーケティング・コンサルティングカンパニー」とありますね。
陸川 では、簡単に自己紹介させていただきます。私は広告・マーケティング専門誌で編集者として勤めた後、マーケティングリサーチの会社で消費者調査や市場調査を担当し、2000年にキャラクター・データバンクという会社を設立させていただきました。
以降、ライセンスビジネスの協会の立ち上げやメディアへの出演をはじめとして、キャラクターとそのビジネスに関わることはだいたいやらせていただいています。
キャラクター・データバンクは、国内唯一のキャラクタービジネスに特化したマーケティングコンサルティング会社です。メディア事業、マーケティングリサーチ事業、コンサルティング事業と、私が会社設立までにやってきたことをキャラクタービジネスに特化しています。
毎月どんなキャラクター商品が市場で売れているか、といった自主調査を実施して、その結果を業界の方々に配信させていただいたり、さまざまな統計資料を発刊させていただいたり、キャラクタービジネス/ライセンスビジネスの人材育成講座をやらせていただいたり……そんなことをやりながら、もう20年以上が経ってしまいました。
まつもと キャラクター・データバンクさんでは、マーケティングリサーチの結果をまとめた『CharaBiz DATA』という年鑑を発刊されています。この本は私も含めた研究者にとって非常に貴重なデータとなっています。
陸川 これは国内唯一の、キャラクター商品指標をデータ分析した資料集です。会社設立後まもなくから発刊し続けておりまして、2022年の今年は21冊目となります。今回は、まつもとさんにも特集で原稿を書いていただいていますので乞うご期待(笑)
まつもと すでに原稿があるような感じでご紹介いただきましたが、連休中にがんばって書きます(笑)
※『CharaBiz DATA 2022(21)』は発売済み。
さて、ここで1点うかがいます。日本はキャラクター市場が大きな国であるにも関わらず、こういった専門のリサーチ会社が御社しかありません。私が参照する統計資料も御社のCharaBiz DATAです。これ、意外だなと。他所がやらない理由は?
陸川 キャラクター/エンタメビジネスはトレンドの移り変わりが激しいこともあり、業界のことを長く詳しく知っているからこそ調査もできる、というところがあるのでは。「ライセンスビジネスとはなんぞや」を理解せずに調査設計するのは難しい側面もありますし。
まつもと 確かに。
陸川 「このキャラクターとあのキャラクターは同じようにマルチアンサーで聞いてよいのか?」といったところから始まり、実は専門特化していないと難しい分野だなと、やっていて思います。
弊社はもともと20年前に、『日本のキャラクターやアニメは世界で通用しているのだから、マーケティングを強化すればマーケットがもっと大きくなるのでは』という思いから作った会社ですから。
まつもと 参照する側としても、「定義を定めて20年間、ほぼ同じフォーマットでデータが出力され続けている」というのはすごく貴重でありがたいことだと思います。
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