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“業務用音響機器”と“ネットワーク機器”の両方を手がけるヤマハだからこそできること

SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ヤマハ

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「Inter BEE 2025」ヤマハブースのAV over IPコーナー。多くの来場者が注目していた

 いま、世界では「AV over IP」技術の採用が加速している。オフィスや会議室に設置されるマイク/スピーカーや大型ディスプレイをはじめ、商業施設のデジタルサイネージやビデオウォール、コンサートホールや大講堂の音響設備など、幅広い業務用音響/映像(ProAV)システムのIPネットワーク化が進んでいるのだ。

 今年(2025年)11月、幕張メッセで開催されたProAV業界向け展示会「Inter BEE 2025」でも、多くの音響/映像機器メーカーがAV over IP関連製品を展示し、来場者の注目を集めていた。

 しかし、日本のAV over IP市場は、海外の動きに大きく後れを取っているという。IPネットワークの設計/構築スキルを持つエンジニアが、ProAVの世界にまだ少ないことが、その一因となっている。

 こうした状況を打開しようと、業務用音響機器、ネットワーク機器の両方を手がけるヤマハでは、AV over IP製品のラインアップ強化、設定操作の簡素化などを進めるのと同時に、ProAV業界のみならずIT業界のシステムインテグレーター(SIer)やネットワークエンジニアに対するアピールも始めている。

 本記事ではIT業界のネットワークエンジニアを対象に、AV over IPとはどんなものか、なぜ「ネットワークエンジニアにこそ向いている」のか、ヤマハがどのようなアプローチでエンジニアを支援し、市場を盛り上げようとしているのかといったことを紹介したい。

ヤマハブースで行われたインテグレーター向けAV over IPセッションには、多くの聴講者が集まった

ネットワーク技術者が理解しておきたい「AV over IPとは何か」

 「AV over IP」とは、高品質な音声や映像(AV:Audio/Visual)の信号をIPパケットに変換し、IPネットワークを使って伝送する(over IP)技術の総称である。

 音声と映像のそれぞれに、業界標準の伝送プロトコル(たとえば音声ならばDante、映像ならばNDIやSDVoEなど)やメーカー独自の伝送プロトコルが存在する。それに対応する機器どうしをIPネットワークで接続し、組み合わせることで、音響/映像システムが構築できる仕組みだ。

高品質な音声/映像信号をIPネットワーク経由で伝送し、音響/映像システムを構築するのがAV over IP技術だ

 AV over IPネットワークは、アプリケーション層(レイヤー7)のプロトコルが音声/映像専用である点を除けば、IT機器を接続する一般的なITネットワークと変わらない。機器を接続するケーブルも、汎用的なLANケーブルや光ファイバーケーブルをそのまま利用できる。さらに、複数の異なるプロトコルの音声/映像機器を、1台のネットワークスイッチにまとめて接続することも可能だ。

 こうした仕組みのため、AV over IPネットワークの設計や構築においては、これまでITネットワークで培われてきた高度なスキルやノウハウがそのまま生かせる。たとえば、必要な帯域幅の計算、VLANやQoSの設定、マルチキャスト設定、冗長化設計、トラフィック監視といった、ITネットワークの品質向上や安定稼働に役立つノウハウは、AV over IPネットワークでも同じように役立つのだ。

 実際に海外市場では、ITネットワークのインテグレーターやエンジニアの多くが、AV over IPシステムの設計構築を手がけるようになっているという。これまでは別々に存在してきた「IT」と「ProAV」の世界が、AV over IP技術の登場によって接近、融合しつつある。

AV over IPのメリット:「シンプル」「柔軟」「運用/管理が容易」なシステムを実現

 ProAVシステムが新たにAV over IP技術を採用することで、いくつものメリットが生まれる。

 1つ目が、「システム設計/構築の簡素化」だ。従来は、音声と映像のそれぞれに異なる専用規格のケーブルやスイッチャーを用い、機器どうしの接続も基本的には“1対1”で固定されていた。そのため、あらかじめ設計段階で入力側(カメラやマイク、再生機器)と出力側(ディスプレイ、スピーカー)の機器数を決定し、それぞれの規格に対応したケーブルを何本も敷設する必要があった。

 一方、AV over IPならば、汎用的なネットワークスイッチやケーブル(LANケーブル、光ファイバーなど)が利用できる。ケーブル1本で映像+音声+制御信号を送受信できるうえ、光ファイバーケーブルを用いれば、離れた会議室間や異なるフロア間、建屋間など、100メートルを超える長距離の伝送も可能だ。加えて、AV over IP対応のマイクやスピーカー、映像信号のコンバーター(エンコーダー/デコーダー)には、PoE対応の製品も多い。PoEスイッチと組み合わせることにより、設置場所の電源工事も不要にすることができる。

 2つ目が、柔軟なシステムを構築できる点である。導入後でも、ProAV機器やスイッチの設定を変更することで、入出力経路を自由に切り替えられる。加えて、多数のケーブルをスイッチに集約して“多対多”の接続ができるため、接続先の機器を切り替えたり、機器を増設してシステムを拡張したりすることも簡単にできる。

音声/映像のさまざまなプロトコルを、1つのスイッチに収容できる(写真は12月発売のAV over IP対応スイッチ「SWX3220/2320シリーズ」)

パートナー各社の機器を接続した異種混交環境のデモ展示

 3つ目のメリットは、ソフトウェアベースでシステムの運用/管理ができる点だ。

 従来のビデオウォール構築では、1つのソース映像を複数画面に分割するために高価な専用ハードウェア(マトリクススイッチャ)が必要だった。AV over IPではこれをソフトウェアで処理でき、専用機器に依存しない構成が可能となる。

 さらに、音声のミキシングや音量調整、映像ソースの画面切り替えなどの操作は、タブレットやPCのアプリケーションから行え、制御信号もIPネットワークで伝送される。そのため、設置場所に縛られることなく、遠隔地からのリモートコントロールが可能だ。

 加えて、システム全体がIPネットワーク上で構成されるため、遠隔監視/保守/復旧にも対応する。問題発生時には管理者にアラートを通知し、管理者はVPN接続などで遠隔から状態確認や復旧操作を行える。たとえば東京のエンジニアが、大阪拠点に設置されたProAV機器をリモートで管理することも可能である。

 これは、従来の企業ネットワークと同様の考え方で管理/運用ができることを意味している。そのため、IPネットワークの知見を持つSIerにとって、AV over IPは非常に親和性の高いソリューションと言える。

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