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太古の地球における酸素の起源は? 名大と理研が新説

2022年07月28日 08時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学と理化学研究所の共同研究チームは、光合成酸素発生酵素である光化学系Ⅱのアミノ酸変換が、太古の地球における酸素発生の起源となったという新たな仮説を提唱した。光化学系Ⅱは、酸素発生型光合成の光化学反応における最初のタンパク質複合体であり、光化学系Ⅰとともに光合成による光エネルギー変換の中心的役割を担う。

名古屋大学と理化学研究所の共同研究チームは、光合成酸素発生酵素である光化学系Ⅱのアミノ酸変換が、太古の地球における酸素発生の起源となったという新たな仮説を提唱した。光化学系Ⅱは、酸素発生型光合成の光化学反応における最初のタンパク質複合体であり、光化学系Ⅰとともに光合成による光エネルギー変換の中心的役割を担う。 光合成による酸素発生は、植物やシアノバクテリア(酸素発生型光合成をする原核生物)の光化学系Ⅱタンパク質中の酸素発生系において、光エネルギーによる水の分解として実行される。研究チームは、酸素発生系を構成するアミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸)を遺伝子レベルで別のアミノ酸に改変すると、それらのアミノ酸はタンパク質合成後に本来のアミノ酸に変換され、酸素発生能が回復する現象を見い出した。このタンパク質レベルでのアミノ酸変換によって、祖先型光化学系Ⅱにおいて最初の酸素発生系が形成され、太古の地球において光合成による酸素発生が始まったと推測されるという。 太古に地球において光合成による酸素発生がいつ、どのように始まったのかは地球生命史における大きな謎となっている。研究成果は、英国科学雑誌ネイチャー・コミュニケーション(Nature Communications)オンライン版に2022年7月21日付けで掲載された

(中條)

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