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業種/ユースケース別の学習済みAIモデルをダウンロード可能、幅広いユーザー活用を促進

ABBYY、“すぐ使える”AI OCRプラットフォーム「Vantage」を国内提供開始

2022年07月22日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 AI OCR/IDP(インテリジェント文書処理)とプロセスマイニングのソフトウェアベンダーであるABBYYの日本法人、ABBYYジャパンは2022年7月21日、新たなAI OCRプラットフォーム「ABBYY Vantage」の国内提供開始を発表した。「請求書」「発注書」「本人確認書類」などカテゴリごとに用意された事前学習済みAIモデル「スキル」をマーケットプレイスからダウンロードすることで、帳票設計不要、ノーコード/ローコードで幅広いユーザーが「すぐにAI OCRを活用できる」とアピールしている。

 記者発表会には、2022年4月から日本法人の代表取締役社長を務める前田まりこ氏、シニアプリセールスエンジニアの近井英樹氏が出席し、同社ビジネスの概要や顧客/パートナー、さらに新製品の特徴についてデモをまじえながら紹介した。

国内提供が開始されたAI OCRプラットフォーム「ABBYY Vantage」の特徴

ABBYYジャパン 代表取締役社長の前田まりこ氏、シニアプリセールスエンジニアの近井英樹氏

 ABBYY Vantageは、ユーザー自身が難しい設定やトレーニング作業などをすることなく、すぐに利用開始できるAI OCRを目指して開発された製品。マーケットプレイスの「ABBYY Marketplace」には、OCRを適用する業務(処理内容)や文書カテゴリ、言語に合わせてスキル(事前学習済みAIモデル)が用意されており、スキャンした文書に適用することで容易にデータを抽出できる。

 またマーケットプレイスでは、RPAやBPM、チャットボット、IDPといった外部システムと接続/データ連携するためのコネクタも提供しており、文書処理の自動化にも貢献する。たとえばRPA分野では、Blue Prism、Automation Anywhere、UiPath、WinActor、Alteryxなどの連携コネクタが用意されている。

 前田氏は、現在の市場ニーズとして、誰でも容易にツールを利用できるノーコード/ローコード化が求められていると説明した。既存製品の「ABBYY FlexiCapture」では、提供されるSDKやライブラリを使った開発が前提となるが、Vantageではそうした必要がない点が大きく異なる。

ABBYY Vantageは事前学習済みAIモデルの「スキル」を提供していることが大きな特徴

OCRのスキルだけでなく、帳票混在時の仕分けや読み取り位置のスキルもあり、組み合わせて使うことができる

 マーケットプレイスでは現時点で80種類以上のスキルが提供されている。既存のスキルをユーザー企業でカスタマイズ(追加学習など)すること、新規に作成すること、さらにはマーケットプレイスで公開することも可能だという。

 なお、日本語文書に対応したスキルは「請求書/インボイス」「本人確認書類」など、現時点ではまだ少数に限られる。この点については、日本でこれから展開する製品でもあり、「今後ロードマップに沿って対応を進めていく。(日本の)パートナーとも取り組みを進める方針で、一部ではすでに快諾をいただき、手を動かして(開発を進めて)いる部分もある」(近井氏)としている。

提供されているスキルの概要。またスキルを自社で編集/作成/提供することも可能

 ABBYY Vantageの販売価格については、処理枚数の規模などにより異なるため「個別見積もり」としている。

4つの業種をターゲットに「AI OCR」と「プロセスマイニング」の2軸でビジネス

 前田氏は、ABBYYの概要や現在のビジネス概況、国内導入事例なども紹介した。

 ABBYYは33年前の1989年に創業し、現在は15カ国に展開している(ABBYYジャパンは2014年2月に設立)。顧客企業はグローバルで数千社で、エンドユーザー数はおよそ5000万人に及ぶという。OCR技術についてはOEM提供もしており、大手メーカーの複合機やスキャナ製品などにも組み込まれている。

 現在注力しているソリューションは、今回発表されたAI OCRソリューションのVantageと、ビジネスプロセスマイニングツールの「ABBYY Timeline」の大きく2つである。後者のTimelineについては、2019年に買収を通じて獲得したソリューションとなる。

現在はAI OCRのVantage、プロセスマイニングツールのTimelineという2つのソリューションに注力している

 Vantageに注力する背景について、前田氏は「企業にはまだまだ多くのペーパーワーク、人的な作業が残っている。特に“(紙の)文書処理”がデジタル化、DXとはマッチしないということを、多くの企業が課題として挙げている」と説明する。レガシーシステムの不便さや属人化した業務の課題を、インテリジェントな文書処理ソリューションの提供を通じて解決していくというのがABBYYの狙いだ。

 AI OCRソリューションの国内導入事例(既存製品のFlexiCapture)も紹介された。たとえば伊藤忠商事では、受発注業務に対してRPA+AI OCRのソリューションを適用し、年間で約5万時間ぶんの作業時間を削減した。また住友倉庫では、通関業務におけるインボイスの処理時間を40分から4分へと10分の1に短縮して、月間でおよそ100時間の削減効果を実現したという。

 今後の国内市場におけるビジネス拡大について、前田氏は「そうした(文書処理に関する)お悩みの多い業種にターゲットを絞って、積極的にお客様の声をいただきながらビジネスを拡大しようとしている」と説明した。具体的なターゲット業種としては「銀行/金融サービス」「保険」「物流/運輸」「商社」の4つを挙げた。

ABBYYジャパンがターゲットとする4つの業種。紙帳票のやり取りが多い、組織が複雑といった課題が共通しているという

 なおプロセスマイニングのTimelineについても、ターゲット業種としては同じ4つの業種だと説明している。顧客の課題内容によっては、VantageとTimelineを組み合わせた一気通貫のソリューションとして提案することも可能であり、「よりDXの促進が可能になるのではないか」と述べている。

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