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理研など、細胞培養条件を自律的に探索するロボAIシステム

2022年06月30日 06時15分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所、ロボティック・バイオロジー・インスティテュート(RBI)、エピストラの共同研究チームは、細胞培養の条件検討を自律的に試行錯誤するロボット・人工知能(AI)システムを開発。再生医療で用いられる細胞培養のレシピを改善させることに成功した。科学実験の設計と実行を自動化する要素技術となり、生命科学実験全般の効率的な試行錯誤や再現性の向上に貢献すると期待できる。

理化学研究所、ロボティック・バイオロジー・インスティテュート(RBI)エピストラの共同研究チームは、細胞培養の条件検討を自律的に試行錯誤するロボット・人工知能(AI)システムを開発。再生医療で用いられる細胞培養のレシピを改善させることに成功した。科学実験の設計と実行を自動化する要素技術となり、生命科学実験全般の効率的な試行錯誤や再現性の向上に貢献すると期待できる。 研究チームは、高精度な生命科学実験動作が可能なRBIの汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」と、新たに開発したAIソフトウェアを組み合わせたシステムを設計。このシステムがiPS細胞(人工多能性幹細胞)から網膜色素上皮細胞(RPE細胞)への分化誘導工程において、分化誘導効率を高める培養条件を人間の介在なしに自律的に発見できることを実証した。 実証実験では、「バッチベイズ最適化を用いる」「分化誘導効率を向上させる七つのパラメータの組み合わせを探索する」「1ラウンドあたり48条件の実験をする」の3要件を自律実験戦略として実行可能なAI(最適化アルゴリズム)を開発した。48セットの実験条件を「まほろ」が実際に実験し、それぞれにおける分化誘導効率を評価した結果を基に、最適化アルゴリズムで次のラウンドで実施すべき48セットの実験条件を提案。実験計画・実験実行・評価・予測のサイクルを繰り返すことで、分化誘導効率向上に最適なパラメーターを探索した。 研究結果は、科学雑誌イー・ライフ(eLife)に2022年6月28日付けで掲載された

(中條)

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