フィッシング詐欺はたった1年で52万件超え
フィッシング対策協議会の「フィッシングレポート 2022」によると、2021年はフィッシングの届け出件数が前年比で約2.3倍の52万6504件に達した。誘導先である偽Webサイトの件数は7万件超、ブランド名を悪用された企業件数も増加している。
一方、フィッシング問題に関する国際組織APWG(Anti-Phishing Working Group)によれば、世界的には2020年下半期に届け出件数が急増、2021年上半期は減少したものの、増加傾向にある。注目すべきは偽Webサイトの件数で、2020年下半期にそれまでの3倍以上に跳ね上がり、2021年上半期もその規模を維持している。
クレジットカード情報が狙われている
2021年の傾向としては、被害者のクレジットカード情報窃取を目的としており、その結果としてネット通販やフリーマーケットなどEC系ブランドを騙るものだけで約53.6%に達している。そして、クレジットカードブランドを騙ったものも約35.2%を占めた。また、保険会社を騙る初のフィッシングが年末に確認されたとのこと。
厚生労働省や特別定額給付金を騙ったコロナ禍特有のフィッシングも発生しており、悪意ある人たちはその時々の社会情勢やイベントを把握したうえでフィッシング詐欺を仕掛けていることがわかる。
※以下は「5分で解説! あなたとスマホは狙われている」からの抜粋です。
突然、セキュリティ強化の案内が……
個人情報を盗み出す詐欺(フィッシング詐欺)は、ショッキングな内容のメッセージを送り付けて私たちの判断力を鈍らせるのが定石です。しかし、なかには真逆の手口も存在します。
Aさんが利用しているSNSのメッセージサービスに、運営を名乗るメッセージが届きました。その内容は、「最近、情報漏えい事件が多発しています。そこでこのたび本サービスではセキュリティ強化策として、新たなシステムを導入しました。つきましては下記URLからあらためてログインしてください」というもの。
SNSからの情報漏えいがたびたびニュースになっていることを知っていたAさんは、『素早い対応だな。仕事にも使うからこれで安心だ』と思い、メッセージに促されるままURLをタップ。表示されたログイン画面で自分のアカウントを入力し、OKを押しました。特に何も起きませんでしたが、Aさんはそんなものだろうと軽く考えて気にしませんでした。
しかし次の日、いつものようにSNSをチェックしようとすると、またログイン画面が表示されます。セキュリティ強化の一環かなと思い、自分のアカウントを入力しましたがログインできません。わけがわからず途方に暮れるAさんでしたが、ほどなく「現在、SNSのアカウント乗っ取りが多数発生中!」とのニュースが飛び交うに至り、自分も乗っ取り被害に遭ったのだと理解したのでした……。
※以上はフィクションです。