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理研など、ヘリウム3の磁気モーメントの超高精度決定に成功

2022年06月15日 06時12分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所とドイツのマックスプランク研究所(Max Planck Institute)などの共同研究チームは、ヘリウム4(4He、陽子数2、中性子数2)の安定同位体であるヘリウム3(3He、陽子数2、中性子数1)原子核の磁気モーメント(磁石の強さ)を超高精度で決定することに初めて成功した。今回の成果により、外部磁場の強さを測定する素子(磁場プローブ)に3He原子核を用いれば、核磁気共鳴法(NMR)や磁気共鳴画像法(MRI)を、従来の10倍、高精度化できるという。

理化学研究所とドイツのマックスプランク研究所(Max Planck Institute)などの共同研究チームは、ヘリウム4(4He、陽子数2、中性子数2)の安定同位体であるヘリウム3(3He、陽子数2、中性子数1)原子核の磁気モーメント(磁石の強さ)を超高精度で決定することに初めて成功した。今回の成果により、外部磁場の強さを測定する素子(磁場プローブ)に3He原子核を用いれば、核磁気共鳴法(NMR)や磁気共鳴画像法(MRI)を、従来の10倍、高精度化できるという。 共同研究グループはペニングトラップと呼ばれる荷電粒子を捕獲する装置を用いて、極低温に冷却した3Heの1価の陽イオンである3He+の磁場ゼロにおける超微細なエネルギー準位を100億分の1の精度で直接測定。この結果と、3He+の束縛状態について同チームが求めた精密理論計算とを比較することにより、3Heの原子核(3He2+)の磁気モーメントを従来よりも10倍高い精度で決定した。 今回の研究成果は、3Heの原子核構造(電荷分布、磁化分布)など基礎物理的な視点から重要であるだけでなく、基礎科学、工学、医学など広い分野で重要な分析法である核磁気共鳴法や磁気共鳴画像法の高度化を実現し、これらの手法の汎用性や有用性を飛躍的に広げると期待できる。 研究は、ネイチャー(Nature)に2022年6月8日付けで掲載された

(中條)

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