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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第297回

カナダ、米英豪からは遅れて、5GネットワークからファーウェイとZTEを除外へ

2022年06月03日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 カナダが国内の5Gネットワークにおいて、ファーウェイとZTEの技術を使用することを禁じると発表した。米・英・豪・ニュージーランド・カナダで構成される「ファイブ・アイズ」の中では遅れての排除となった。

カナダも5GネットワークからファーウェイとZTEの機器を排除することを自国キャリアに求めている

カナダ政府、ついにファーウェイとZTE除外を発表

 ファーウェイ閉め出しのニュースが久々に出てきた。カナダ政府が5月20日、ファーウェイとZTEの製品とサービスを5Gネットワークで使用することを禁じる計画を明らかにしたのだ。

 カナダのモバイル通信キャリアはRogers Wireless、Bell Mobility、TELUSなどがある。このうち3月に5GサービスをローンチしたRogersは、エリクソンが自社技術を採用したことをプレスリリースに出している。2番手のBellもコア5Gネットワークはエリクソンで残りはNokia、TELUSもエリクソンとNokiaの組み合わせだ。これら大手は政府の動向を見ながらファーウェイ採用を見送ったと思われるが、国土が広いカナダにはこのほかにも小規模なキャリアがあり、ファーウェイ製機器を取り入れているところもあるだろう。

 イノベーション・科学・産業大臣のフランソワフィリップ・シャンパーニュ(François-Philippe Champagne)氏は、導入済みのファーウェイ/ZTE製機器について使用を中止するように求めるとのこと(https://www.canada.ca/en/innovation-science-economic-development/news/2022/05/statement-from-minister-champagne-on-telecommunications-security.html)。政府は埋め合わせはしないとも語っているようだ。4Gについても同様に使用中止を求めるようだ。

 これに対し、ファーウェイ・カナダの広報担当は、「残念だが、驚いてはいない。この意思決定に時間がかかったことに驚いている」とAP通信などにコメントしている。ファーウェイはカナダで1500人を雇用しており、そのうちの3分の2が研究開発に従事しているそうだ。

ファーウェイ創業者の娘を逮捕したカナダ
同時期に拘束されたカナダ人2人が釈放されての動きか

 カナダとHuaweiといえば、ファーウェイ創業者の娘でCFOを務めるMeng Wanzhou(孟晩舟)氏が逮捕されたことが思い出される。時は2018年、当時米国はトランプ政権、孟氏は乗り継ぎで降り立ったバンクーバーにて、米国の要請により逮捕された。容疑は米国のイランに対する制裁措置に違反しているというもの。

 それから3年後の2021年9月、Meng氏は米国との司法取引を成立させ中国に戻った。3月末には同社のアニュアルレポート発表の席に登場して復活を印象付けた。その後、孟氏は輪番会長に昇進している。

 カナダがファーウェイに対する判断を今になって出したことは、この孟氏と同時期に中国で勾留された「2人のMichael」ことMichael Kovrig氏とMichael Spavor氏が関係あるだろう。

 孟氏がカナダで逮捕されて数日後、Kovrig氏とSpavor氏は勾留された。Kovrig氏は元外交官でInternational Crisis Group勤務、Spavor氏は中国を拠点とする実業家で、ともにスパイ容疑をかけられた。そして孟氏が釈放されると、この2人も釈放された。

 Kovrig氏とSpavor氏が中国に拘留されている間に国としてファーウェイ製品を禁じることは、中国政府が両氏をどう扱うかに影響すると考えて、無事に国に戻って数ヵ月たった今になったと想像すると違和感はない。

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