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「HPE Machine Learning Development Environment」「HPE Swarm Learning」の2ソリューション

HPE、大規模機械学習とエッジ分散型機械学習のソリューションを発表

2022年05月26日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2022年5月25日、AI開発を加速するソリューションとして、大規模な機械学習モデルの開発とトレーニングのためのターンキーソリューションである「HPE Machine Learning Development System」と、エッジや分散拠点における“共同機械学習”を促進する「HPE Swarm Learning」を発表した。

 日本ヒューレット・パッカード HPC&AI・MCS事業統括 執行役員の根岸史季氏は、機械学習モデルを進化させるためには大規模なトレーニングを実行できるインフラが必要になること、またさまざまなデータが生成されるエッジにおいても機械学習処理(エッジ学習)が必要とされることを説明し、今回の発表で「分散学習分野やシミュレーションにおいて、自信を持って提供できるソリューションが揃うことになる」と語った。

「HPE Machine Learning Development System」の概要

日本ヒューレット・パッカード HPC&AI・MCS事業統括 執行役員の根岸史季氏、AIビジネスデベロップメントマネージャーの山口涼美氏

「AIをPoCから実運用へと加速させる」ターンキーソリューション

 HPE Machine Learning Development Systemは、機械学習ソフトウェア基盤やコンピュート、アクセラレータ、ネットワーキングを統合したエンド・トゥ・エンドソリューション。大規模なトレーニング処理を容易に実現できる環境を提供することで、より高精度なAIモデルを、迅速に開発できる。

 HPEでは2021年6月、オープンソースのAIトレーニング基盤を手掛けるDetermined AIを買収した。今回リリースしたHPE Machine Learning Development Systemには、同社の技術を基にした「HPE Machine Learning Development Environment」と呼ぶAIトレーニング基盤を統合しており、これまで数週間~数カ月かかっていた機械学習モデルの構築期間を、数日に短縮できるという。

 同ソリューションは、32GPUの小規模構成から256GPUの大規模構成まで、さまざまなワークロードに対応。最適化されたコンピュート、アクセラレータ、インターコネクトを提供し、効率的に拡張することもできる。最上位構成では、AI/HPCプラットフォームである「HPE Apollo 6500 Gen10 Plus」による構成も用意している。

 HPE Machine Learning Development Environmentのほかにも、「Docker」や「HPE Performance Cluster Manager」「Red Hat Enterprise Linux」などのソフトウェア環境を搭載。これらは工場でプリインストール、構成、ベンチマークを実施したのちに出荷され、オンサイトでシステム起動と検証を行って納品される。さらに、HPEによる利用トレーニングや、フルソリューションサポートも提供する。

シームレスに統合されたプラットフォームを提供し、さまざまなモデル開発/トレーニングを効率化する

 同社 AIビジネスデベロップメントマネージャーの山口涼美氏は、「HPE Machine Learning Development Systemは、AIをPoCの段階から実運用へ加速させる大規模な開発およびトレーニングのためのターンキーソリューション」だと説明する。モデルの精度を高めるための労力を削減し、モデルの再利用やパラメータ設定の簡便化、コード書き換えの最小化、モデルの共有/再利用の促進などが図られるという。さらに「効率的なGPUリソースの利用、肥大化するコストと時間、環境やツールの多様性や変化といった、機械学習モデルエンジニアが持つ課題を解決できる」と述べた。

同ソリューションは一度実験を投入すればすべてを自動実行する。「全自動洗濯乾燥機のように、一度ボタンを押せば洗濯から乾燥まで終了するのと同じ」(山口氏)

 HPE Machine Learning Development Systemを採用したAIスタートアップの独Aleph Alphaでは、5カ国語のテキスト/画像処理のほか、人間とほぼ同等の文脈理解を組み合わせ、AIアシスタントによる複雑な文章の作成、高度な要約、何百もの文書からの情報検索、会話文脈での専門知識の活用などを可能にした。このAIモデルのトレーニングスループットを50%向上させることができたという。

エッジノード間の分散/共同機械学習「HPE Swarm Learning」

 もうひとつの新発表であるHPE Swarm Learningは、エッジにおける分散型の機械学習処理によって、データの保護と共有を両立しながら精度の高いモデル学習を実現するAIソリューションと位置づけられている。

 具体的には、API経由で実データそのものではなく学習結果(AIモデル)をノード間で随時共有し、トレーニング効果を高める。これにより、データプライバシーを維持しながら、AIモデルの学習結果を共有、統合することが可能で、医療分野での活用やクレジットカード詐欺の検出など、エッジでのインサイトを加速することができる。

「HPE Swarm Learning」の概要

 このHPE Swarm Learning は、Hewlett Packard Labsが開発した技術だ。2021年5月にはNature誌に掲載され、ベータ版を提供してきた。

 「一般的な中央集権型の学習では、あらゆる場所で発生したデータをデータセンターやクラウドに集約するため、通信帯域の圧迫や生データの転送という無駄、モデル更新のタイムラグといった課題があった。また、データプライバシーの確保や、企業間/拠点間のコラボレーション型開発ができないという課題もある」(山口氏)

 一方でHPE Swarm Learningでは、データを移動せずにパラメータを参加ノード間で共有するかたちをとるため、「データサイロを越えた共同機械学習が可能になる」(山口氏)。各ノードは機械学習処理を行ったパラメータを他ノードと共有し、「融合」したパラメータを受け取る。目的の精度が得られるまで学習と融合を繰り返すことで、最終的には全ノード共通の高精度なAIモデルが出来上がる仕組みだ。パラメータは、プライベート型ブロックチェーンネットワークを用いて共有される。

HPE Swarm Learningにおける「共同機械学習」処理の概要

 山口氏は「異なる拠点でのデータ活用や、企業や組織間の共同学習、分散管理での平等な関係の構築、参加メンバーの道的な広がりにも対応でき、非中央集権型の学習が可能になる」と、その特徴を強調した。中央へのデータ移動や複製のコストも削減される「サステナブルナAI学習環境を実現できる」としている。

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