KDDIは13日、2021年度通期の決算説明会を開催。その中の質疑応答で、楽天モバイルが希望しているプラチナバンドの再割当について、同社代表取締役社長の髙橋 誠氏は「5Gの投資に集中させてくださいというのが本音」とコメントした。
楽天モバイルは浸透性が高いプラチナバンドを持っていないことから、建物内などのエリア化でどうしても不利な状況にある。そのため、先行MNO3社が使用するプラチナバンドの再割当を希望しており、総務省でも議論が進められている状況だ。
KDDI髙橋社長は、再割当自体については否定はしなかったものの、現在利用している周波数の一部を返上したうえで他社が再割当によって利用する場合、隣接する周波数からの干渉を抑制するためにフィルター挿入などの工事が必要となる点を指摘。同社の過去の800MHz帯再編でも大きなコストと期間が必要だったと語る。
KDDIでは、政府が主導するデジタル田園都市国家構想において目標となっている、2023年度末時点での5Gの人口カバー率95%に向けて、5Gの工事や投資を集中的に実施している段階だとして、それがゆえに冒頭のコメントが出たという流れだ。
また、3月末に締め切られた5G向けの2.3GHz帯の割当申請において、携帯キャリアは常に新たな周波数を欲しているはずなのにも関わらず、KDDIのみの申請だったことについても質問があった。2.3GHz帯は放送事業者の事業用無線などでも使われており、実際に5Gで活用するには、それらと共用する技術の開発が求められるが、髙橋社長は「(KDDIしか申請しなかったことは)正直ビックリした」「KDDIの技術陣によると、なんとか対応できそうとのことだ」と語るとともに、「2.3GHz帯はグローバルで広く使われている(端末も広く対応している)エコバンド」「有効に使わせていただきたいと考えている」と他社が希望しなかった周波数の活用に自信を見せた。